土地・不動産 2018.05.22
等価交換で特例を受けて取得したマンションを売却する時のポイント
等価交換でマンションを取得した際には、居住用財産の特例や立体買換えの特例などの制度の利用をする場合もあるでしょう。
買換えの特例を利用した等価交換マンションを売却する際には、特例に関係して留意したいポイントがいくつかあります。
ここでは、買換えの特例を受けて取得した等価交換マンションを売却する際に確認したいポイントについて解説していきます。
買換えの特例を利用してマンションを取得した場合の共通事項
等価交換でマンションを取得した際に適用される代表的な特例には、次の4つが挙げられます。
居住用財産の買換えの特例
立体買換えの特例
特定事業用資産の買換えの特例
特定資産の買換えの特例
これらの特例には個人向けと法人向けのものが混在しており、適用要件も様々ですが、すべてに共通する点もあります。
それは売却時に、「取得費は引き継ぐが、取得日は引き継がない」というものです。
「取得費を引き継ぐ」とは、どういうことでしょうか?
等価交換で取得したマンションを売却する際には、譲渡所得から取得費を差し引くこととなります。
取得費を引き継ぐとは、等価交換で取得したマンションの売却時の実際の売買価額を取得費とするのではなく、等価交換で取得して売却することになったマンションの当時の取得費を、売却時に取得費として計上するという意味になります。
売却対象の等価交換マンションを最初に取得した時の取得費はいくらだったのかという情報が引き継がれるのです。
では、「取得日を引き継がない」とは、どういうことでしょうか?
等価交換マンションの売却において取得日を引き継がないことは、売却対象マンションを譲渡する際の所有期間を計算する起算日に影響します。
等価交換で取得したマンションを売却する場合、売却対象マンションを取得した日が起算日となって所有期間が計算されるのではなく、売却した後に不動産を取得した日が起算日となって計算されます。
例を挙げて説明しましょう。
平成元年に買換えの特例を適用して取得した等価交換マンションがあり、平成26年には別の不動産を取得したとします。
平成30年になって、平成元年に取得した等価交換マンションを売却することにしました。売却対象の等価交換マンションはすでに取得から30年目に入っていますので、所得税の税率の低い「長期譲渡所得」扱いになるように思えます。
取得日が引き継がれれば長期譲渡所得になるのですが、等価交換に関する買換え特例を利用して取得した等価交換マンションの場合は、取得日の引き継ぎはありません。
そのため、平成26年に取得した不動産の取得日が起算日となって所有期間が計算されます。この場合、所有期間は5年未満となるので、税率の高い「短期譲渡所得」扱いになります。
等価交換マンションを、居住用財産の特例を利用して取得した場合のポイント
先に説明したように、居住用財産の特例を利用して取得した等価交換マンションを売却する際には、取得費だけが引き継がれ、取得日は引き継がれません。
したがって、居住用財産の特例を利用して等価交換マンションを取得する場合には、売却する時にかかってくる税金についても理解しておく必要があります。
等価交換マンションを、立体買換えの特例を利用して取得した場合
売却予定の等価交換マンションが居住用で、次に取得する不動産も居住用なら、立体買換えの特例を利用して、売却・買換えをすることもできます。
この場合、居住用財産の買換えの特例を利用していないので、等価交換マンションの所有期間に関係なく、居住用財産の特別控除を受けることが可能になります。
等価交換マンションを、特定事業用資産の買換え特例を利用して取得した場合
等価交換マンションを、特定事業用資産の買換え特例を利用して取得している場合の売却では、一部の法令に注意が必要です。
既成市街地等内から外への買換え特例、および長期保有資産の買換え特例の適用に関しては、当該不動産の所有期間が10年以上でなければならないとされているので、売却予定のマンションを取得してから10年以上が経過していなければなりません。
等価交換マンションを、特定資産の買換えの特例を利用して取得した場合
法人が、特定資産の買換えの特例を利用して取得した等価交換マンションを売却する場合は、圧縮記帳によって売却対象マンションの帳簿価額を引き継ぎます。
帳簿価額から譲渡費用を差し引いて固定資産譲渡益を算出し、譲渡益を他の営業利益に合算して、法人税や法人住民税を計算します。
まとめ
等価交換マンションを売却する際には、利用している特例によって税金面で不利な状況に立たされる場合があります。
特例措置にメリットもありますが、売却時のことも考えた上で特例を利用するかどうか決定することが重要です。
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