土地・不動産 2018.06.29
不動産相続の各種手続きと、相続税の納税について解説
相続される遺産の中に、不動産が含まれることはよくあります。不動産は、相続する人にとってはとても価値ある遺産になりますが、評価額が高額になるため、相続税が負担になりやすいものです。
相続税を納められない時には、分割して納税する方法や、不動産そのものによって納税する制度を利用できる可能性もあります。ここでは、不動産を含む相続の基本的な手続きをおさらいするとともに、不動産の相続税の納税方法についても解説します。
不動産の相続に必要な基本的手続き
1.死亡届の提出など
まず始めに、被相続人の死亡に関する手続きが必要です。死亡当日か翌日までには、死亡届の提出手続きを完了させましょう。
所有する不動産の電気、ガス、水道などの利用停止または名義変更手続きや、携帯電話、クレジットカードなどの解約手続きもできるだけ迅速に行いましょう。
2.遺言書の検認手続き
遺言書が見つかった場合、封がされているなら開封せずに家庭裁判所で検認手続きを受けましょう。
検認手続きは、遺言書の内容を第三者が検証し、偽造や変造を防ぐための大切な手続きです。検認手続きをしていない遺言書では、不動産の名義変更などを行えません。
3. 相続人の確認
相続人を確定するため、被相続人の一生分の戸籍すべてを取り寄せて調べる手続きも必要です。戸籍の請求手続きは、被相続人の配偶者や子ども、親などであれば行うことができます。
4. 遺産の内容と価額の調査
被相続人の遺産の中には不動産のようにプラスのものもあれば、債務などマイナスのものもあるでしょう。遺産の内容と価額をすべて調査し、財産目録を作成する手続きが必要です。
5.相続の承認または放棄手続き
遺産の調査結果をもとに、相続をするかどうかを決定します。相続する場合は、特別な手続きは必要ありません。次の段階に進みましょう。もし、マイナスの遺産が多いために相続放棄するのなら、家庭裁判所での申立手続きを行います。
6. 遺産分割手続き
相続人が決まったら、遺産をどのように分けるかを協議して決めます。
不動産を含む相続の場合、不動産以外にも遺産があれば協議は円滑に進むかもしれませんが、遺産が不動産ひとつしかないという場合には、遺産分割手続きに長い時間を取られることでしょう。
ひとつの不動産を巡って遺産分割手続きが難航し、自分たちだけでは解決できなくなった場合には、裁判所での調停手続きや審判手続きに移ることになります。
7. 遺産分割協議書の作成手続き
遺産分割の方法が決まったら、遺産分割協議書を作成します。不動産の相続登記(名義変更)では、遺産分割協議書が必要書類として求められます。
遺産分割協議書には遺産の詳細を記載しますが、不動産については原則として登記簿の通りに記載します。
8.不動産の相続登記
不動産を相続することになった相続人は、速やかに不動産の相続登記手続きを行います。不動産の相続登記手続きは、不動産がある地域を管轄する法務局で行います。
9.相続税の申告・納付
最後に、相続税を申告し納付します。
ここまでが、不動産相続の基本的な手続きの流れです。
不動産の相続で、相続税の納付が難しい場合は?
相続される遺産に不動産があると、相続税評価額が予想外に高額になってしまい、相続税が納付できないこともあります。
相続税の納付は原則として現金一括ですが、納付が困難な事情が認められる場合には、相続税を分割で納付する「延納」が認められます。
延納ができるのは、次の4つの条件を満たしている場合です。
1.相続税額が10万円を超えること
2.金銭で一括納付することが困難な事情があること
3.納期限までに延納申請書を提出していること
4.延納税額に相当する担保を提供できること
上記、4番目の担保には、土地や建物などの不動産や、国債や地方債、有価証券や船舶などが該当します。不動産を相続する相続人であれば、不動産を担保として延納することができるでしょう。
まれに、延納でも相続税の納付が困難な場合があります。その場合は、「物納」が認められることもあります。
物納とは、金銭の代わりに不動産などの現物によって相続税を納める方法です。ただし、物納できる不動産には細かい規定があり、次のような条件に該当する不動産は物納できません。
・抵当権がついている不動産
・境界が明らかでない不動産
・複数人の共有状態にある不動産
・耐用年数を経過しており、通常の使用に耐えない不動産
・管理や処分に多大の費用がかかると思われる不動産
まとめ
不動産を含む遺産相続では、遺産の分割方法や相続税の納税に関してトラブルが起こりやすくなります。
被相続人となる人が生前に有効な遺言書を作成し、納税資金を確保するなどして対策をしておけば、トラブルを予防することができるでしょう。
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