土地・不動産 2018.07.08

不動産の相続放棄について知っておきたい3つのこと

利用価値や市場価値の高い不動産であれば、相続人は喜んで相続するでしょう。しかし近年は、相続しても相続人にとっては負担にしかならないことから「負動産」とも揶揄される不動産が増えています。

相続財産の中に価値のない不動産があることを理由に相続放棄を考える相続人もいますが、相続放棄の決定は非常に重大なため、慎重に考慮するべきです。この記事では、不動産を理由に「相続放棄」を検討する場合に知っておきたい3つの点について解説します。

記事ライター:棚田行政書士

不動産を理由に相続放棄する前に「限定承認」の検討を

相続放棄は非常に重大な決定です。被相続人の債務だけでなく、資産も、相続人としての立場も一切合切、手放すことになります。

維持費や管理の手間がかかりそうな不動産があるからと言って、早急に相続放棄をすべきではありません。相続放棄を考える前に、「限定承認」を検討してみましょう。

限定承認とは、相続財産の範囲内に限定して被相続人の債務を支払う、という条件付きで相続を承認する相続パターンです。

限定承認であれば、被相続人の財産を超えた債務を支払う必要はありません。もし債務の支払いを終えてなお相続財産が残れば、相続人として取得できます。

限定承認は、不動産以外の財産の全貌がどうしても把握できない場合や、できることなら不動産を残したいと考える場合には検討する価値のある制度です。

注意したい点ですが、相続放棄と異なり、限定承認には共同相続人全員の合意が必要です。また、手続きにも少々手間がかかります。限定承認が受理された後には、公告などで相続財産の清算手続きを行わなければなりません。

公告後も法の定めるところに従い、債権者への弁済や清算手続きを行うことになります。不動産を維持し財産取得の可能性を残せる限定承認ですが、少々時間と手間がかかりますので、相続放棄と慎重に比較検討しましょう。

 

不動産の相続放棄をする際に注意したいこと

被相続人の債務や、ほとんど価値のない不動産からは免れられる相続放棄ですが、いくつか注意したい点があります。

1. 相続放棄後の取り消しはできない

原則として、相続放棄は取り消すことができません。相続放棄してから不動産以外の財産が見つかっても、財産が欲しいので相続放棄を取り消しますというわけにはいかないのです。

過去の判例では、プラスになる相続財産が何もない、または圧倒的にマイナスの財産が多いと思い込んでいたために相続放棄した人に対し、その思い込みに正当な理由があった場合に相続放棄の取り消しを認めた例もありますが、極めて稀なケースです。

相続放棄とは、相続人という重要な立場を放棄することです。後悔のないよう、意味をよく考えて決定しましょう。

2. 相続放棄による代襲相続は発生しない

代襲相続とは、本来であれば相続人となっていたはずの親などに代わり、子どもや孫が相続人となることのできる制度です。

子どもや孫に不動産などの財産を譲りたいので相続放棄するという例もありますが、相続放棄で代襲相続は発生しません。

なぜなら、相続放棄した人は相続放棄により、最初から相続人ではなかった人となるからです。相続人ではない以上、その人に代襲相続が起こることはあり得ませんから、相続放棄では代襲相続は発生しません。

3. 次順位の相続人へ相続権が移行する

相続放棄をした人と同順位の相続人が全員相続放棄すると、次順位の相続人へ相続権が移行します。

負動産状態の不動産を理由に相続放棄をするなら、次順位の相続人へも相続放棄の事実を報告し、不動産についても知らせておくことが必要です。

次順位の相続人が、先順位の相続人からの報告以外の経路で、自分に相続権が移行した事実を把握することは困難です。義務ではありませんが、マナーとして、一言報告することを忘れないようにしましょう。

 

相続放棄しても、不動産の管理責任は留まる

相続放棄の要因となる不動産であれば、老朽化していたり、大規模な修繕を要したりする状態かもしれません。

不動産の維持管理を避けるつもりで相続放棄をする人もいますが、相続放棄と、不動産などの相続財産の管理責任は別個のものとして考えなければなりません。

相続放棄をしても、不動産など相続財産の管理責任は問われます。次順位の相続人が相続を承認するまでは、不動産に関係して起きることについては責任を持たなければなりません。

 

まとめ

不動産を理由に相続放棄しようとする場合は、限定承認を検討する余地があるか検討するとともに、相続放棄することの結果をよく理解してから行動しましょう。

問題になっている不動産の可能性も、十分考慮しましょう。厄介な不動産だと思っていても、売却や賃貸で、まだまだ活用できる不動産かもしれません。

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