土地・不動産 2018.07.28
相続したマンションを売却する前に注意しておきたいこと
親などが所有していたマンションを相続で取得することがあります。相続したマンションは売却を考えることも多いと思いますが、売却する前に注意しておかなければならないことがいろいろあります。ここでは、相続したマンションを売却する際の注意点をまとめています。
他に相続人がいれば勝手に売却できない
・遺産分割を行うまでマンションは相続人全員の共有
親が亡くなってマンションを相続したけれど、住むつもりがないので売却したいと考えることは多いと思います。たとえ親と同居していたのが自分だけでも、他に相続人がいれば、勝手に売却することはできません。
亡くなった人が所有していた財産は、相続開始と同時に相続人全員の共有になります。共有不動産の売却は、共有者全員が合意して行う必要があります。
・遺産分割のために売却することも可能
相続人が複数いる場合には、相続人全員で遺産分割協議を行って、誰がマンションを相続するかを決めることになります。マンション以外にめぼしい遺産がない場合には、1人がマンションを相続すると、他の相続人が相続するものがなくなってしまいます。
このような場合には、マンションを売却して売却代金を分配する換価分割や、マンションを相続した人が他の相続人に代償金を支払う代償分割の方法を用いることもあります。
・遺言があれば1人でマンションを売却できることも
亡くなった親が自分にマンションを相続させる旨の遺言を残していた場合には、遺言が優先することになるため、遺産分割協議をすることなく1人でマンションを相続できます。この場合には、相続したマンションを自分の意思だけで売却することができます。
ただし、他に遺留分のある相続人がいる場合には、遺留分減殺請求をされ、売却代金のうち遺留分相当額を渡さなければならない可能性も出てきます。
マンションを売却する前に相続登記が必要
・相続登記でマンションの名義を変更
相続したマンションをすぐに売却する場合でも、亡くなった人の名義のまま売却することはできません。
マンションを売却する前に、名義を変更する相続登記が必要です。相続登記は、マンションの買主が決まって売買契約を締結する時点までに完了させなければなりません。
・相続登記の必要書類
相続登記を行うには、次のような書類が必要になります。
①戸籍(または除籍・改製原戸籍)謄本
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人とつながりのわかる戸籍、すべての謄本が必要になります。ただし、遺言がある場合には、亡くなった人と遺言によりマンションを相続する人とのつながりがわかる戸籍のみでかまいません。
②亡くなった人の除票または戸籍附票
亡くなった人の最後の住所地を証明するものが必要です。
③遺産分割協議書または遺言書
どのような理由でマンションを取得することになったかがわかる書類を添付します。遺産分割協議書には、相続人全員の実印押印と印鑑証明書の添付が必要です。遺言書が自筆証書遺言である場合には、検認済証明書が必要です。
④固定資産評価証明書
登録免許税の計算のために必要です。
・相続登記にかかる費用
相続登記をするときには、マンションの固定資産評価額の0.4%の登録免許税がかかります。登記手続きを司法書士に依頼したときには、別途、司法書士に支払う報酬が必要です。
相続したマンションを売却すれば税金がかかる
・マンションを売却すれば譲渡所得が発生する
不動産を売却したときに課税される可能性がある税金が譲渡所得税です。相続したマンションの売却により、譲渡所得が発生していれば、譲渡所得税の課税対象になります。
譲渡所得が発生しているかどうかは、マンションの売却代金から、取得費(マンションを取得したときの代金)と譲渡費用(売却の際の手数料など)を差し引いた額がプラスになっているかどうかで判断します。
・相続したマンションの取得費
相続したマンションの譲渡所得税を計算する際には、亡くなった人が購入したときの代金を取得費とします。購入したのがずっと昔で代金がわからない場合などには、売却代金の5%として計算します。
相続税を納税している場合には、相続税の申告期限から3年以内の売却については、納税した額の一部を取得費に含めることができます。
・譲渡所得税の特別控除
譲渡所得がプラスになっていても、特別控除が受けられ、譲渡所得税がかからないこともあります。マンションで亡くなった人と同居していた場合には、マイホームを売却した場合の3,000万円の特別控除が利用できます。
なお、空き家を相続した場合にも3,000万円の特別控除が設けられていますが、マンションの相続では空き家の特別控除は利用できません。
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