土地・不動産 2018.07.30
不動産の相続手続きと、その際にかかる費用について
相続が発生すると財産の所有者が変わるため、相続手続きが必要になります。相続手続きが必要な財産の代表的なものに不動産があります。不動産の相続手続きでは、どのようなことをするのか、手続きにかかる費用はどれくらいなのかを知っておきましょう。
不動産の相続手続きではどんなことをする?
・不動産の相続では名義変更が必要
不動産は、誰が所有者であるかという名義が、「登記」という形で公に登録されています。亡くなった人が家や土地などの不動産を持っていた場合には、相続により所有者が変わることになるため、登記されている不動産の名義変更が必要です。
相続により所有者が変わるということは、不動産の所有権が亡くなった人から相続人に移るということです。そのため、「所有権移転登記」という種類の登記を行って、不動産の名義を変更します。
・不動産の相続手続きは法務局で行う
不動産は法務局で登記されているので、所有権移転登記は法務局に申請する形で行います。法務局には管轄があるため、不動産の所在地を管轄する法務局に登記申請書を提出して相続手続きを行うことになります。相続を原因とする所有権移転登記は、一般に相続登記と呼ばれます。
不動産の相続手続きでかかる書類取り寄せ費用とは?
・相続登記の前提として戸籍謄本等の取り寄せが必要
相続登記をするときには、登記申請書のほかに必要な書類が多数あります。相続登記の必要書類として代表的なものは、戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、固定資産評価証明書などです。これらの書類は役所で取得しますが、取得する際に役所に支払う費用が発生します。
・役所で戸籍謄本等を取るのにかかる費用
役所で書類を取得するときにかかる費用は、戸籍謄本が1通450円、除籍・改製原戸籍謄本が1通750円、その他の住民票などは1通300円程度になります。郵送で取得する場合には、定額小為替を購入して同封する必要があり、小為替1枚につき100円の手数料がかかります。
不動産の相続手続きでかかる登録免許税とは?
・相続登記でかかる主な費用は登録免許税
法務局で登記申請をする際には、登録免許税という税金(国税)がかかります。登録免許税を納めるときには、税額分の収入印紙を購入し、登記申請書と一緒に提出する収入印紙貼付台紙に貼ります。
所有権移転登記の際の登録免許税額は、課税標準である固定資産評価額に税率をかけたものです。税率は登記原因によって変わりますが、相続の場合には1,000分の4となっています。
・登録免許税が免税になる場合
平成30年度の税制改正により、平成33年3月31日まで、次の場合の土地の相続登記では、登録免許税が免税となる措置が設けられました。
①相続登記未了の土地を相続した場合
AからBへの相続登記がされていない土地を、Bが亡くなったことによりCが相続する際には、AからBへの相続登記とBからCへの相続登記が必要です。
この場合、AからBへの相続登記については登録免許税が免税になり、BからCへの相続登記のみ登録免許税がかかります。
②固定資産評価額が10万円以下の土地を相続した場合
固定資産評価額が10万円以下という少額の土地については、相続登記の際の登録免許税が免税になります。
不動産の相続手続きを司法書士に依頼した場合にかかる費用とは?
・司法書士には報酬を支払う必要がある
法務局での登記手続きは、司法書士に代理してもらうことができます。司法書士に登記手続きを依頼した場合には、司法書士費用(報酬)を払う必要があります。司法書士費用には統一された基準はなく、依頼する事務所によってかかる費用は変わってきます。
相続登記の際には、遺産分割協議書や相続関係説明図なども合わせて作成してもらうことが多くなります。これらの書類作成に関しても別途費用がかかることがありますから、注意しておきましょう。
・事前に見積もりしてもらうのが安心
不動産の相続手続きでかかる司法書士費用は、依頼する前に見積もりしてもらうのがおすすめです。費用の見積もりは無料で出してもらえますので、複数の事務所に見積もりしてもらい、費用や対応に納得がいくところを選ぶとよいでしょう。
自分で不動産の相続手続きをすれば費用を抑えられる?
相続登記を自分ですれば、司法書士費用がかかりません。書類取り寄せの実費や登録免許税だけで不動産の相続手続きができることになるため、手続き費用を抑えられます。
ただし、不動産の相続手続きに必要な戸籍謄本類は膨大な数にのぼることがあり、戸籍を揃えるだけでも、大変な手間がかかってしまうことがあります。
先代の相続手続きがされていない不動産については、先代の相続人全員の関与も必要になるなど、手続きが複雑なケースもあります。
不動産の相続手続きは、費用をかけても専門家である司法書士に依頼した方が、メリットが大きい場合があります。
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