土地・不動産 2018.08.01
不動産を相続する配偶者が注意しておくべきこととは?
亡くなった人が不動産を持っている場合、配偶者は必ず相続人となるため、不動産を相続することになりますが、配偶者が不動産を相続する場合、気を付けておかなければならないことがあります。ここでは、不動産を相続する配偶者が注意しておきたいことについて説明します。
不動産は配偶者だけが相続するとは限らない
・配偶者以外にも血族が相続人になる
自宅など夫名義の不動産がある場合、夫が亡くなったときには、配偶者である妻は、当然自分が不動産を相続できるものと思っているかもしれません。
しかし、夫の相続人となるのは、妻だけとは限らないのです。相続では、配偶者は必ず相続人になりますが、血族の第1順位から第3順位に該当する人がいれば、その人も相続人になります。
血族の第1順位は子(既に亡くなっている場合には孫やひ孫)、第2順位は直系尊属(父母や祖父母)、第3順位は兄弟姉妹(既に亡くなっている場合には甥や姪)です。これらの人が生きている場合には、配偶者と一緒に相続人となります。
・配偶者以外に相続人がいれば遺産分割協議でもめることがある
不動産を相続するのが配偶者1人であれば特に問題はありませんが、他の相続人もいれば、遺産分割協議を行って、不動産をはじめとする相続財産の分配方法について話し合う必要があります。
不動産以外に財産がない場合などには、配偶者が不動産を相続することにより、他の相続人が相続するものがなくなってしまうため、遺産分割協議でもめてしまうことがあります。
・子どものいない夫婦は特に注意
夫が亡くなったとき、妻と一緒に第1順位の子どもが相続人になることは、多くの人が知っていると思います。また、第2順位の父母や祖父母は、既に亡くなっているケースが多いでしょう。問題になりがちなのは、第3順位の兄弟姉妹が相続人になるケースです。
子どものいない夫婦の場合、配偶者のほか、第3順位の兄弟姉妹が相続人になることが多くなります。もし兄弟姉妹が亡くなっていても、甥や姪の代まで代襲相続があります。
「子どもがいないから配偶者である自分だけが不動産を相続できる」と思っていると、足をすくわれることがあります。
妻にとっては夫の兄弟姉妹というのは全くの他人で、会ったこともないというケースも珍しくありません。妻にとって、亡くなった夫の兄弟姉妹と遺産分割協議を行って、不動産の相続について話し合うことは、大きな負担に感じるはずです。
・生前に遺言を書いてもらうのが有効
配偶者の所有している不動産を相続したい場合には、生前に遺言を書いてもらうのが有効です。相続では、遺言があれば遺言の内容に優先的に従って遺産の分配を行うことになります。
遺言を書いてもらえば、第1順位から第3順位の相続人がいても、遺産分割協議を行うことなく、不動産を相続できることがあります。
第1順位、第2順位の相続人には遺留分があるので、遺言を書いても遺留分を返還しなければならないこともあります。しかし、第3順位の兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言があれば配偶者1人が不動産を相続できます。
子どもがいない夫婦で、兄弟姉妹が相続人になるケースでは、遺言が大きな意味を持つことになります。
配偶者は税額軽減により相続税がかからないケースが多い
・相続財産に不動産があるなら相続税がかかるかも
相続の際には、相続財産の価額によって、相続税がかかることがあります。不動産は高額であることが多いため、相続財産の中に不動産が含まれていると、相続税の心配があります。
相続税がかかるケースでは、それぞれの相続人が実際に相続した額に応じて、相続税を負担することになります。
・配偶者が相続税を負担しなければならないケースは少ない
相続税がかかるケースでも、配偶者は相続税を負担しなくても良いことがあります。配偶者の税額軽減という制度があり、配偶者が相続した財産額が1億6,000万円以下の場合には、配偶者の相続税は免除されます。
配偶者が相続した財産額が1億6,000万円を超える場合でも、法定相続分以下の相続であれば、配偶者の相続税は免除になります。
相続税対策をしたいなら2次相続まで考えておく
配偶者の税額軽減の制度があるため、亡くなった人の配偶者は高額の不動産を相続しても、相続税を払わなくてよいケースが多くなります。そのため、相続の際には、配偶者の相続額をできるだけ多くするよう遺産分割をしてしまいがちです。
配偶者に不動産など高額の財産を相続させると、配偶者の負担する相続税はゼロになるケースが多くなります。
しかし、その配偶者が亡くなったいわゆる2次相続の段階では、子どもが配偶者の全財産を相続することになるため、相続税の負担が大きくなってしまうことがあります。相続税を抑えたい場合には、2次相続まで考えた対策をしておくのがおすすめです。
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