土地・不動産 2018.09.06
利用価値のない土地の相続を拒否したい!その方法は?
せっかく相続しても、相続人にとって利用価値の無い土地もあります。自分がそこに家を建てて住む予定はないけれど、他人に貸して賃料収入を得ることや、売却することが難しい土地などがそうでしょう。
土地は、ただ存在するだけでも毎年税金がかかるため、利用価値の無い土地の相続を拒否したいと考える相続人は少なくありません。では、土地の相続を拒否するには、どうしたら良いのでしょうか。この記事を参考に考えてみましょう。
土地の相続を拒否・破棄する
相続人が複数いる場合には、遺産分割協議で「土地の相続は拒否する」と表明することができます。
これは法的な手続きではなく、あくまで相続人の間で遺産分割についての自分の意見を述べるにとどまります。しかし、土地の相続は拒否したいという意思を明らかにすることで、他の相続人が土地の相続に名乗り出てくれる可能性は多少出てくるでしょう。
なお、土地の相続を拒否することで減る相続分を、他の相続財産によって補てんできる補償はありません。そのためには、他の相続人が相続するはずだった相続財産をいくらか譲ってもらう必要が生じるためです。
土地の相続を拒否したいという要望を聞き入れてもらえたなら、それだけでも御の字と考え、手元に残った相続分で満足するようにしましょう。
ただし、すべては他の相続人の了承があって成立することです。相続予定の土地に利用価値が無いから拒否したいのであれば、他の相続人も同じことを考えていることでしょう。そう簡単に事は運ばない可能性があります。
相続放棄により、相続人の立場を退く
土地の相続を拒否する最も確実な方法は、相続放棄をすることです。相続放棄は、先に説明した単なる意思表明ではありません。家庭裁判所へ申し立てをして認められれば成立するという、立派な法的手続きです。
相続放棄とは、相続人としての立場を捨て、被相続人の財産すべてに対する相続権を放棄することを意味するため、「土地だけを相続放棄する」といったことは不可能です。
そして相続放棄をした人は、元々相続人ではなかったことになります。ですから、その人の子どもや孫が代わりに相続人となる「代襲相続」は発生しません。
また、同順位の相続人が他にもいれば、自分の相続分は他の相続人に加算されることになります。同順位の相続人が誰もいなければ、次順位の相続人に相続権が移ります。
このように、相続放棄は後になって取り消すことのできない重大な決定ですから、慎重に考えなければなりません。
例えば、利用価値の無い土地の相続は拒否したいものの、現金としての財産は数千万円分あるとしたら、相続放棄は思いとどまるべきでしょう。
相続放棄すれば、プラスの財産も1円たりとも相続できなくなってしまいます。土地の維持費を考えたとしても、ひとまずは相続しておいた方が得策と言えます。
一方で、土地の相続を拒否したいけれど他の相続人が頑として認めてくれない場合や、利用価値の無い土地だけでなく、多額の債務が遺されていて財産らしい財産がないという場合には、早めの相続放棄が最善でしょう。
なお、覚えておきたい点として、相続放棄をしても当面の間は土地の管理責任が残るということが挙げられます。
具体的には、次順位の相続人が相続を承認するか、相続人候補が全員相続放棄した後に選出される「相続財産管理人」が決まるまでの間は、相続を拒否した土地についても放置することはできません。
相続放棄をするとしても、今すぐ土地の管理責任から逃れられるわけではないことを念頭に置いておきましょう。
破棄も相続放棄もできない土地はどうする?
「土地の相続を破棄することも、相続放棄することもできそうにない」とお考えになって悩んでいる方もいらっしゃることでしょう。
本当に利用価値が無い土地であれば、市場から見た価値も無いに等しいはずです。そうであれば、毎年課税される固定資産税などの税額も、それほど大きなものではないことが予想できます。
いっそのこと、土地の相続を拒否せずに、当面の間保有してみることを検討するのもひとつの手段です。将来、自分自身の境遇が変わることで、その土地が必要になるかもしれません。
自分でなくても、子どもや孫などがその土地を活用する方法を見つけるかもしれません。あるいは、土地の周辺の環境変化によって、突如需要が生じて、買い手が見つかる可能性もあります。
土地が存在している限り、上記のような可能性を全否定することはできません。そう考えると、税金の負担もあながち無意味ではないと思えることでしょう。
まとめ
土地の相続を拒否したい場合の選択肢は、ふたつにひとつです。土地を含めたすべての遺産を甘んじて相続するか、すべての遺産を手放すかという「0か100」の選択となるでしょう。相続を拒否したい土地以外の財産の状況などをよく考え、悔いの残らない決定をしたいものです。
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