土地・不動産 2018.09.09

子供に土地を相続させる際のポイントとは?

相続財産の中でも大きな割合を占めるのが、土地などの不動産です。将来自分の相続が開始したら、子供に土地を相続させようと考えている方もいることでしょう。

本当に価値ある方法で土地を相続させるためには、子供の生活状況や人数などをよく考慮して遺産配分を考えておく必要があります。遺産を遺す人が生前に準備をしておけば、子供はスムーズで円満な相続を実現できます。

そこで今回は、子供に土地を相続させる際のポイントについて解説します。

記事ライター:棚田行政書士

子供全員が納得するような遺産分割を遺言しておく

子供が複数人いるなら、それぞれが不平不満のない仕方で相続財産を手にできなければなりません。少しでも不公平感が生まれると、長く続く争いが始まりかねないためです。

子供のうち、誰か一人に土地を相続させたいなら、他の子供にも土地の価値と同等の遺産を用意しておく必要があります。

例えば、評価額3,000万円の土地を相続する子供がいるなら、もう一人の子供には現金を3,000万円用意する、などです。

もちろん、子供の側が「自分は現金が欲しかったのに」「自分には土地が必要だ」などの意見を持っており、親としての配慮が仇になってしまう可能性もあります。

難しいことではありますが、生前に子供の希望を聞いておくことができるなら、それに越したことはありません。日頃からよく意思を通わせ、子供が期待している遺産は何かを知るように努めましょう。

子供の希望が分かった場合も、そうでない場合も、遺産の分配方法については遺言書に詳細を記載しておきます。

遺言書を有効なものとするためには、いくつかのルールがあります。いざ相続が始まってから無効な遺言書だと判断されないよう、ルールに則って作成しましょう。

なお、土地以外に遺産がないという場合には、土地を子供の人数分に分ける「分筆登記」という方法もあります。分筆後の土地はそれぞれが別個の土地となるため、ひとつの土地を子供全員に公平に分けることのできる唯一の方法でもあります。

 

必ず相続登記をさせる

相続した土地は「相続登記」を行い、名義を新しい所有者のものに変更しなければなりません。しかし現実には、相続登記をしない人が後を絶ちません。相続登記が義務ではないことに加え、登録免許税の支払いや手続きの手間により、敬遠されているのが現状です。

さらに、相続させるのが子供にとっての実家である土地だと、子供としては「自分の持ち家」同然の感覚になっているかもしれません。今更わざわざ登記しなくても良いのでは?と思ってしまう可能性があります。

相続登記しないことで罰金が科されるようなことはありませんが、子供が土地の所有者として登記されていない以上は、赤の他人が土地の所有権を主張してきたとしても対抗できません。土地の所有者がいないことになるので、土地の売却や担保設定もできません。

相続登記の手続きには被相続人の戸籍が必要ですが、死亡した人の戸籍の保管期間は決まっているため、一定期間を過ぎれば戸籍が取得できなくなってしまいます。それにより、相続登記が不可能になれば、その影響は子供たちの将来まで続きます。

相続登記を放置することにメリットはひとつもありません。土地を相続させる子供には、相続登記の重要性をよく認識させておく必要があります。

 

相続させる土地に「小規模宅地等の特例」を適用する

子供に相続させたいのが宅地、または一定要件を満たす事業用地であれば、相続税評価額を減額できる「小規模宅地等の特例」という制度を適用できるよう準備しましょう。

小規模宅地等の特例とは、被相続人が所有していた宅地を相続した場合、相続人としての要件および面積要件などを満たすことで、土地の評価額を50%もしくは80%減額するという制度です。

居住用宅地であれば330㎡まで、事業用宅地であれば400㎡までが特例の対象です。特別に広大な土地でない限り、対象となることでしょう。

同居している子供であれば、相続人としての要件を満たすことは難しくありません。なお同居には、二世帯住宅も含まれます。

近年の法改正により、内部で行き来のできないタイプの二世帯住宅でも、同居しているものとして、小規模宅地等の特例を適用可能になっています。

注意したいのは、別居している子供です。別居している子供が、子供自身もしくは子供の配偶者名義の持ち家に住んでいる場合は、小規模宅地等の特例を適用させることはできません。

子供がみな持ち家に住んでいる場合は、土地の評価額を下げるための他の工夫が必要になるでしょう。

 

まとめ

土地を持つ人は自分の状況に応じ、土地の相続で子供たちが争うことのないよう、入念に準備しておくべきです。子供は複数いるのに、財産は土地ひとつしかなく、分筆することもできないのであれば、生前のうちに土地を売却して現金の状態にしておく方が良いでしょう。

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