土地・不動産 2018.09.16
土地の相続で相続人が先に死亡している場合、誰が相続する?
土地を相続できる機会は、被相続人との親族関係が近い人から順に訪れます。
しかし、相続させたい土地があるのに、相続させる相手が先に死亡しているとしたら、誰が土地を相続するのでしょうか。また、土地を相続する可能性を持つ相続人が一人もいなくなったら、どうすれば良いのでしょうか。
この記事では、これら2つの疑問点について解説します。
土地を相続するための法定順位
土地などの遺産を相続できるのは、被相続人の家族のうち一部の人のみです。誰が相続人になるかについて、民法では一位から三位までの順位を定めているためです。
第一順位は、被相続人の直系卑属です。
卑属とは、子供や孫など、自分の下の代の人のことを表します。被相続人に子供がいれば、第一順位の相続人です。子供が被相続人より先に死亡している場合は、孫やひ孫が代わりに相続人となる「代襲相続」が発生します。
第二順位は、被相続人の直系尊属です。
尊属とは、親や祖父母など、自分の上の代の人のことを表します。第一順位の相続人が存在しないか、相続開始前にすでに死亡している場合に限り、第二順位の相続人が相続します。
第三順位は、被相続人の兄弟姉妹です。
被相続人の直系卑属も直系尊属も死亡している場合に限り、相続人となります。相続開始前に兄弟姉妹も死亡しているものの、兄弟姉妹に子供がいる場合は、代襲相続が発生します。
被相続人の配偶者は、被相続人より先に死亡していない限り、必ず相続人です。第一から第三のいずれの順位の相続人も死亡しているなら、配偶者が土地を含む全財産を単独で相続することになります。
土地を相続する配偶者が死亡している場合
被相続人となる人が、自分の死亡後は配偶者に土地を相続させようとしていたものの、配偶者が先に死亡している場合もあります。
その場合は、被相続人の子供が土地を相続できます。子供が相続放棄をしていたり、相続欠格や廃除で土地を相続できなかったりした場合は、代襲相続で孫やひ孫が土地を相続することもできます。
孫が死亡していて、ひ孫はいないという場合は、第二順位の相続人が土地を相続する可能性が生まれます。
土地を相続する子供が死亡している場合
第二順位の相続人である、被相続人の父母や祖父母が相続人として土地を相続します。父母と祖父母、どちらかが死亡している場合は、健在の方が土地の相続人になれます。
父母も祖父母も健在の場合は、双方のうちで被相続人に世代の近い父母を優先して、相続人とします。土地を相続できる父母も、祖父母も先に死亡している場合は、第三順位の相続人に土地の相続権が移行します。
土地を相続する父母・祖父母が死亡している場合
被相続人の父母や祖父母が先に死亡しているなら、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人の子供や両親などが全員先に死亡しているか、全員が相続放棄したなどの場合のみです。
比較的まれなケースであり、偶然性の高い相続となるでしょう。
土地を相続できるはずだった兄弟姉妹も、被相続人より先に死亡している場合があります。被相続人から見た甥か姪にあたる兄弟姉妹の子供がいれば、代襲相続をして親の代わりに土地を相続できます。
甥や姪まで先に死亡している場合、それより下の代への代襲相続は発生しません。
土地を相続する兄弟姉妹が死亡している場合
被相続人の兄弟姉妹は、土地を相続できる可能性を持つ最終順位の相続人でした。では、兄弟姉妹までが先に死亡しているなら、どうなるのでしょうか。
この場合は前述の通り、死亡した兄弟姉妹に甥や姪である子供がいれば、代襲相続が可能です。甥や姪がいなければ、相続人になり得る人はひとりもいなくなったということで、「相続財産管理人」を立てることになります。
土地の相続人がいないなら「相続財産管理人」を選任
土地は、誰かが相続して面倒を見なければならない財産です。誰も管理しなくなった土地は、思わぬことで近隣へ損害を与える可能性もあります。土地だけでなく、他の財産も誰かが管理しなければなりません。
そこで、相続人がいなくなった場合には、家庭裁判所へ相続財産管理人の選任を申し立てることになります。
相続財産管理人の選任申立ができるのは、土地やその他の財産について、利害関係にある人や検察官などです。
相続財産管理人が選任されると、相続人の代わりに土地などの財産を管理しつつ、相続人や相続財産の再調査や、相続財産の換価作業を行います。
相続財産から債権者や特別縁故者などへの支払いを終えても、まだ財産が残る場合は、残った財産を国庫に帰属させます。これで、相続財産管理人の業務は終了します。
まとめ
土地を相続させようと思っている相手が死亡している場合は、次の順位の相続人が土地を相続することになります。相続人が誰一人いなくなる可能性は低いですが、家族の人数が少ない場合は、自分の死亡後に土地などの財産をどう処分したいか、遺言しておく必要があるでしょう。
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