土地・不動産 2018.10.11
土地相続において孫に名義変更できるケースとは?
一般的に、土地などの相続財産を相続するのは被相続人の配偶者と子供です。しかし、事情により、孫に土地を相続させ、土地の名義を孫に名義変更したい場合があるかもしれません。
相続において、孫が相続人となるケースはまれです。これは原則的に、孫には相続権がないためです。今回は、相続させる土地を孫に名義変更できるケースを4つご紹介します。被相続人になる人が自分で準備することで実現できるケースもありますから、ぜひ参考になさって下さい。
孫に土地を相続させる旨の遺言がある場合
遺言書は、相続財産の多少に関係なく、どんな人でも必ず作成しておくべき書類です。遺言書がなかったことで、多くの家族が悲惨な相続争いを経験しているからです。
特に、孫に土地を相続させ、土地を孫に名義変更したいのであれば、遺言書は必須と言えます。本来であれば相続人になれない人に、財産を相続させるための正式な方法こそが、遺言書だからです。
遺言書にはどんなことでも自由に記載できますが、法的効力を持つものと、そうでないものが区別されています。法的効力を持つ事項は「遺言事項」と呼ばれ、その中には、誰に、どの遺産を相続させたいかという点も含まれています。
遺言書に、土地は孫に相続させ、孫に名義変更するようにと記載しておけば法的効力を発するので、孫が土地を相続できるようになります。
なお、相続させる土地の孫への名義変更をより確実にしたいなら、遺言執行者を選任しておくことをお勧めします。遺言執行者は、弁護士などの専門家を選ぶのがベストです。
孫の親が亡くなっており、代襲相続が発生する場合
被相続人の息子や娘、つまり孫の親が相続開始前に亡くなっている場合も、土地の名義を孫のものに名義変更できます。
被相続人の子供が被相続人よりも先に亡くなったことで、孫に財産が渡るチャンスが消えてしまうとすれば、孫にとっては大変な不利益です。
そこで、相続開始前に亡くなった親の代わりとして、その子供が相続人となることが認められています。
これが「代襲相続」です。
被相続人の子供が亡くなっているが、孫は存命なのであれば、孫が土地を相続して名義変更することが可能です。それでも、他の相続人が土地を欲しがる可能性もありますので、やはり遺言書で指示をしておく必要があります。
被相続人と孫が養子縁組の関係にある場合
相続税の基礎控除額を増やしたり、生命保険金の非課税枠を広げたりする目的で孫を養子にする人もいます。
いわゆる孫養子です。
孫に土地を相続させたい人にとっては、孫との養子縁組もひとつの方法です。
相続において、被相続人の子供は、被相続人の配偶者を度外視すれば最優先順位の相続人です。そして「子供」とみなされるのは実の子供だけではなく、養子や婚外子も同様です。
孫と養子縁組を結ぶなら、相続の際に孫は「子供」として相続人となり、土地を相続することができます。
ただし、孫養子には注意したい点もあります。相続人となる以上、遺産分割協議には必ず出席しなければなりません。
未成年者は遺産分割協議に出席できませんから、孫が未成年の時に相続が発生した場合は、家庭裁判所で特別代理人を選任して代理を務めてもらう必要が出てきます。特別代理人の選任には、時間と費用がかかります。
また、孫養子が相続する際の相続税は、2割加算されます。孫に直接土地を相続させれば一世代分の相続税をスキップできるという考えで孫養子を取る人もいますが、場合によってはかえって相続税を高くする可能性もあります。
相続開始前に、孫に生前贈与で土地を贈る場合
相続が始まってからでは、すでに亡くなっている被相続人にできることはありません。その上、相続人となる家族の仲が悪かったりすると、遺言書を遺したとしても本当に土地が孫のものになるか不安に感じるとしても無理はありません。
その点、生前に孫に土地を贈与し、孫に名義変更してしまうことは、自分の目で見届けることができるために最も確実な方法です。決して安くない贈与税がかかることはデメリットですが、確実性を重視しているなら、検討する価値のある方法でしょう。
まとめ
被相続人の高齢化や、若者世代の経済的苦境により、土地を子供ではなく孫に相続させ、孫に名義変更したいと望む人は多くなっているようです。
自分の境遇に適した方法で孫に土地を相続させるには、早めの準備が必要です。なお、土地を生前贈与する場合は、2,500万円まで贈与税非課税の「相続時精算課税制度」の利用も考慮できるでしょう。
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