土地・不動産 2018.10.24

土地の相続で出てくる「路線価」って何?

相続税は、お金に見積もることのできるすべての財産に対して課税されます。しかし、「お金に換えるといくらになるか」が分かりづらい財産もあります。土地はその代表的な例です。
唯一無二の存在であるため、価格を計算する基準が複数あります。計算目的によって、どの基準で計算するかを使い分けなければなりません。土地の相続では、路線価を使って土地の価格を計算します。
この記事では、土地の相続における路線価について解説していきたいと思います。

記事ライター:棚田行政書士

路線価とは?

路線価とは、道路ごとに設定された値段のことで、その道路に接する標準的な土地の1㎡当たりの価額を表しています。

相続する土地の相続税や贈与税の計算をするために使用する路線価は、正式には「相続税路線価」と呼ばれるものです。

相続税路線価は、地価公示法に基づいて国土交通省が定めている「地価公示価格」のおよそ8割程度を目安に設定されています。

相続税路線価を基準にした土地の評価額は、土地が面している道路の相続税路線価を土地面積にかけることで算出できます。相続した土地の相続税路線価は、国税庁のホームページで「路線価図・評価倍率表」を確認すれば分かります。

路線価図はたいていの人にとっては見慣れないものですから、ここで簡単に見方をご説明します。

まずは路線価図で、相続した土地の前にある道路を確認します。道路の上に、数字とアルファベットが記載された部分があると思います。

数字は、千円単位で表された路線価です。500とあれば、その道路に接する土地の路線価は50万円ということになります。

アルファベットは、借地権割合を表します。アルファベットごとに、A・90%、B・80%、C・70%、D・60%、E:50%、F・40%、G・30%と割合が割り振られています。

道路の上に「500B」という記載があったとすると、土地1㎡あたりは50万円、借地権割合は80%ということになるので、40万円が借地権の価格となります。

相続した土地に借地権が付いていて、他の人に貸している場合は、土地の評価額から借地権の価格40万円を差し引いて計算することになるので覚えておくと便利です。

ちなみに、路線価には「固定資産税路線価」という種類もあります。相続税路線価と違い、土地の固定資産税や都市計画税、土地の不動産取得税や登録免許税を計算するために使用する基準です。

少し紛らわしいですが、一般に「路線価」と呼ばれるのは、相続税路線価のことだと考えて差し支えありません。

 

土地の相続における路線価と、画地調整について

土地は、相続税路線価で算出される相続税評価額に基づいて課税されます。相続税路線価の高い・安いが、相続税の金額に直接影響するわけです。

しかし、あくまで相続税路線価は「標準的な土地」をベースに設定された価格です。国内には標準的ではない土地もたくさん存在するわけですから、どの土地にも、同じ相続税路線価を適用しては不公平なことになります。

相続税路線価を土地の状況にあわせて調整するため、相続税路線価には「画地調整」という規定が設けられています。標準的でない土地について、評価額を上げたり下げたりするための調整です。

相続する土地が画地調整に該当する場合は、標準的な土地として計算した後に、評価額の増減をします。

例えば、入口が極端に狭い土地や、横または縦に細長い形状の土地は、土地としての利便性に欠けるため、評価額が下がります。一方で、2本の道路に接する土地や角地にある土地だと、土地としての価値が高いため、評価額が上がります。

 

路線価の無い土地はどうする?

路線価は、どの道路にでもあるものではありません。全国の、主要な市街地の道路にだけ設定されているため、相続した土地が地方にある場合は路線価がない場合もあります。

路線価がない土地は、倍率方式という計算方法で評価します。ここで言う倍率とは、路線価の部分でご紹介した国税庁ホームページ内の「路線価図・評価倍率表」で確認できるもので、地域ごとに設定されています。

相続した土地の倍率を確認したら、土地の固定資産税評価額に倍率をかけてみましょう。これで算出されるのが、土地の評価額となります。

 

まとめ

相続税路線価は土地の相続税額を左右しますが、もっと影響するのは画地調整です。画地調整を正しく適用できていなければ、余分な相続税を払うことになりかねません。相続した土地の評価は自分では行わず、必ず専門家である税理士に依頼しましょう。

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