土地・不動産 2018.11.06
土地などの財産の相続方法や分け方はどうやって決まる?
亡くなった人の財産を引き継ぐ相続人は、何人もいる場合があります。相続人同士で、相続財産はどうやって分ければよいのでしょうか?今回は、土地をはじめとした相続財産の分け方と、土地の相続手続きの流れについて説明します。
相続財産の分け方の基本的なルール
相続方法には法定相続と遺言相続がある
相続の方法としては、2種類あります。1つは法定相続と呼ばれる方法で、民法で定められた相続人(法定相続人)が民法で定められた相続割合(法定相続分)で財産を取得します。
もう1つは遺言相続で、遺言に従った相続方法になります。本人が生前に遺言を書いている場合には、法定相続ではなく遺言相続になり、遺言書のとおりに財産が承継されます。
法定相続人と法定相続分
法定相続人は、次のとおり、配偶者相続人、血族相続人の2つに分かれます。
①配偶者相続人=配偶者
②血族相続人=子(第1順位)、直系尊属(第2順位)、兄弟姉妹(第3順位)
法定相続分は、法定相続人の組み合わせにより、次のように変わります。
①配偶者のみ…配偶者が全部
①配偶者+②第1順位の子…配偶者2分の1、子2分の1
①配偶者+②第2順位の直系尊属…配偶者3分の2、直系尊属3分の1
①配偶者+②第3順位の兄弟姉妹…配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
②血族(第1順位~第3順位のいずれか)のみ…相続人で均等に分割
法定相続では遺産分割協議で財産の分け方を決める
法定相続の場合には、各相続人の取得割合が決まっているので、そのとおりに財産を分けることになります。相続財産は何種類もあるのが普通ですから、実際に誰がどの財産をもらうかについて、相続人全員で話し合う必要があります。
相続財産を各相続人の財産に分けることを遺産分割といい、遺産分割のための話し合いのことを遺産分割協議といいます。
遺言相続なら遺産分割協議は不要
遺言ですべての財産について相続方法が指定されている場合には、相続財産の分け方を決める必要はありません。遺産分割協議を経ることなく、遺言書にもとづき相続手続きが行われることになります。
相続財産の中に土地がある場合の分け方
遺産分割協議で土地を取得する相続人を決める
亡くなった人が財産として土地を残している場合には、遺産分割協議で誰が土地を相続するかを決めることになります。
土地は必ず1人が相続しなければならないわけではなく、共有にすることもできます。しかし、土地を共有にすると、1人だけの意思で勝手に売却等ができないため、いろいろと不都合が多くなります。そのため、土地はできるだけ共有にしない方が無難です。
遺産分割協議における土地の評価方法
遺産分割協議では、土地をいくらで評価するかが問題になります。土地の価格には、路線価、固定資産評価額、売却価格(実勢価格)など何種類もあり、それぞれ金額が違います。
遺産分割協議の際の土地の評価額については、明確なルールはなく、相続人全員が同意していれば、土地をどのように評価しても問題はありません。
一般には、遺産分割では、土地は売却価格で評価することが多くなっています。不動産会社に土地の価格を査定してもらい、それに基づいて財産の分け方を決めます。
土地がうまく分けられないときの解決方法
相続財産として土地しかなく、相続人が多数いるような場合には、誰が土地をもらうかでもめてしまいがちです。1人が土地をもらえば、他の相続人がもらうものがなくなってしまうこともあります。
遺産分割で土地がうまく分けられない場合には、土地を売却して分割する「換価分割」や、1人が土地をもらうかわりに他の相続人に代償金を支払う「代償分割」という方法があります。
相続人全員での遺産分割協議が難しい場合や、話し合いが決裂した場合には、家庭裁判所に遺産分割調停や遺産分割審判を申し立てて、裁判所で解決する方法もあります。
土地の相続手続きの流れ
遺産分割協議で相続財産の分け方が決まったら、次のような流れで土地の相続手続きを行います。
1. 遺産分割協議書作成
遺産分割協議で決まった財産の分け方を遺産分割協議書という書面にします。遺産分割協議書には相続人全員が署名捺印し、相続人全員の印鑑証明書を添付します。
2. 相続登記の準備
土地の相続手続きは法務局で相続登記をすることによって行います。相続登記に使う登記申請書や戸籍謄本等の必要書類を準備します。
3. 相続登記申請
土地を管轄する法務局で相続登記申請を行います。窓口に持参するほか、郵送で申請する方法もあります。
4. 登記完了
登記申請から1~2週間で登記が完了し、土地の名義が相続人に変更されます。
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