土地・不動産 2019.02.08
不動産を相続する際に必要な戸籍謄本などの必要書類について
相続によって不動産を取得したら、不動産の名義人を相続人の名前に変更する必要があります。この手続きを、相続を原因とする不動産の所有権移転登記として「相続登記」といい、不動産を取得後は出来る限り早めに行うことが重要です。
そこで今回は、不動産を相続した場合の相続登記で必要となる「戸籍謄本」などの必要書類について解説します。
不動産相続で戸籍謄本が必要になる理由とは?
不動産相続に限らず、遺産相続が発生した際には、相続人を特定するために被相続人の戸籍謄本が必要になります。
通常の家族であれば、わざわざ戸籍謄本など取らなくても、誰が相続人かくらいはわかりそうなものですが、登記をする法務局の職員など、第三者から見れば誰が相続人なのかを客観的に示す証拠がなければ、登記名義を変えることはできないのです。
また、生前に子供を認知していたり、養子縁組していたりしても、生きている間については家族にも秘密にしているケースがあるため、戸籍謄本を取得することで、そういった隠れた相続人がいないかどうかも確認しておく必要があります。
不動産の相続登記をする際にも、被相続人の戸籍謄本は必ず必要になるのです。
戸籍謄本の種類について
相続不動産の登記をする際に取得する戸籍謄本には、幾つかの種類があります。不動産相続においては、それぞれ取得する必要性が出てくるため、意味について理解しておくことが重要です。
戸籍謄本の種類1:現在の戸籍謄本
現在の戸籍情報の複写となる戸籍謄本です。通常、役所で戸籍を取ると、この戸籍謄本になります。
ただし、相続不動産の名義変更をするためには、故人の出生から死亡までの一連の戸籍が必要になるため、現在の戸籍謄本だけでは情報が足りないことがあります。
戸籍謄本の種類2:改製原戸籍の謄本
戸籍がデータ化される前の手書きの台帳に書かれた戸籍を、改製原戸籍と言います。高齢の方がお亡くなりになられますと、出生までたどっていくと改製原戸籍に行き着くことがあるため、取得が必要になります。
ただ、改製原戸籍については、初心者が見ても読むことすら大変なものなので、できる限り司法書士や行政書士などに取得を依頼したほうが確実でしょう。
戸籍謄本の種類3:除籍謄本
すでに廃止された戸籍謄本のことを除籍謄本と言います。もともとの戸籍から、死亡や結婚などで徐々に戸籍から抜けていくと最終的に誰もいなくなるため、その戸籍は閉鎖されることとなり、これを除籍というのです。
よって、除籍謄本とは全員が戸籍からいなくなったことを証明する書類といった意味合いになります。
戸籍謄本と抄本の違いとは?
戸籍謄本を役所に取りに行くと、謄本と抄本が選べるようになっているのですが、そもそも何が違うのかご存じでしょうか。相続不動産の手続きにおいては、抄本でも足りる場合と、謄本が必要な場合があるため注意が必要です。
謄本とは、戸籍に入っている人全員の事項が記載された書類のことで、抄本とは、戸籍に記載された1個人の事項のみを抜粋した書類のことになります。
不動産相続において、相続人が複数になる場合については、相続人の中に戸籍謄本を出すことを嫌うケースがあるのです。
なぜなら、戸籍謄本を出すと、自分の家族構成をしばらく会っていない親戚にも知られてしまうことになるため、できる限り戸籍謄本ではなく、戸籍抄本で代用したいのです。
ケースによっては、戸籍抄本でも問題ありませんので、事前に法務局や司法書士に確認しておくとよいでしょう。
不動産相続において、戸籍謄本の取得を専門家に依頼するメリット
このように戸籍謄本と一言で言っても、さまざまな種類のものがあるため、不動産相続が初めてとなる相続人が漏れなく正しい戸籍謄本を取得することは非常に困難です。
役所については平日しかやっていないため、仕事をしている人にとっては休みを取らなければならないので、とても大きな負担となるでしょう。
弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に依頼すれば、相続人に代わって不動産相続に必要となる戸籍謄本をまとめて取得してくれますので、とても安心です。
何より、改製原戸籍など、素人にはわかりづらい書類についても、正しく読み解いて相続人を特定してくれますので、遺産分割自体も間違えずにすみます。
不動産相続以外にも、戸籍謄本が必要
戸籍謄本については、不動産相続における相続登記の際にはもちろんの事、預金口座の名義変更や有価証券の名義変更、ゴルフ会員権の名義変更など、故人の財産の名義変更をする際には、かなりのケースで戸籍謄本の提示を求められます。
故人の戸籍謄本は、相続人が誰であるのかを、他人に対しても客観的に証明できる唯一の公的な書類といってよいでしょう。だからこそ、漏れは許されないのです。
まとめ
不動産相続に限らず、相続手続き全般において被相続人の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本は必要になります。ただ、相続人自らがこれらの戸籍謄本をすべて揃えようとすると、何度も平日に休みを取って役所に行かなければならないでしょう。
戸籍謄本については、過去に本籍のあった役所でしか取得ができないため、遠方の場合はかなりの負担となりますし、本籍地が移動していれば、何箇所も回る必要があります。
このように、不動産相続の手続きにあたって戸籍謄本の取得はとても大変な作業なので、できる限り弁護士、司法書士、行政書士などの専門家に依頼したほうがよいでしょう。
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