土地・不動産 2019.02.19

不動産の相続に備えてやっておくべき生前対策とは?

ご自身が不動産を所有している場合は、将来発生する相続に備えて、適切な対策を講じることが、残される家族に対しての何よりの財産となります。
対策がとられないまま不動産相続が発生してしまうと、さまざまなトラブルが発生する可能性があるため、注意が必要です。そこで今回は、不動産相続に備えて、生前にやっておくべき適切な対策について解説します。

記事ライター:棚田行政書士

不動産相続の生前対策1:自宅の相続は代償金を準備する

相続不動産が自宅の場合、相続人によっては自宅に住みたい人と自宅を売却したい人に別れることがあります。特に、被相続人と一緒に不動産に住んでいる相続人がいる場合については、不動産の売却が難航して遺産分割が進まないことが多いため、注意しなければなりません。

目立った相続財産が不動産とわずかな預金しかないようなケースでは、不動産を誰が相続するのか、どのように相続するのかについて、なかなか折り合いがつかないのです。そこで不動産相続の生前対策として、代償金を準備しておくとよいでしょう。

代償金とは簡単にいうと、相続人が複数いる場合において、相続人間の法定相続分の不公平感をなくしてバランスを取るために支払うお金のことをいいます。

【生前対策を具体例で考えよう】

相続財産:自宅(不動産評価額1億円)
相続人:長男・次男

このような不動産相続の場合で、長男が不動産を相続してそのまま住み続けたいと希望しているとします。ただ、長男だけが不動産を相続すると、次男については一切財産を相続することができません。

そこで、本来なら不動産評価額1億円のうち半分の5,000万円を受け取る権利があるため、長男から次男に、現金で5,000万円を支払う代わりに、不動産を単独で相続するのです。この時に支払う5,000万円が代償金となり、代償金によって遺産分割をすることを「代償分割」といいます。

次男が何も相続できなくても文句を言わなければよいのですが、遺産相続は家族間の問題であるがゆえに、生前からの不満なども重なることもあり、そう簡単に納得できるケースは少ないため、次男に納得して不動産の遺産分割に応じてもらうためには、代償金を支払うことが最も手っ取り早い解決方法なのです。

ただ、長男もいきなり5,000万円もの現金を支払うことはそう簡単ではないため、それなりの生前対策を講じて、代償金を生前から準備しておく必要があります。

生前対策として効率的に代償金を準備する方法

生前にコツコツと貯金しておくことも有効ですが、比較的よく用いられるのが生命保険金です。生前に被相続人に生命保険をかけておけば、相続が発生した時にまとまった保険金が受け取れるため、代償金として流用することができます。

生命保険金については、生前の保険契約に基づいて受取人に対して支払われる性質上、相続が発生しても相続財産には含まれないため、遺産分割から除外して受取人が自由に使える点も魅力的です。

また、生命保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象になりますが、「500万円×法定相続人の人数」の非課税枠があるため、非課税枠内の保険金であれば、相続税もかかりません。

このように、非常に効率的に代償金を準備することができるため、生前対策として生命保険はとても有効です。

 

不動産相続の生前対策2:遺言書を作成する

不動産相続で紛争が生じる一番の原因は、相続人同士の利害関係が一致せず、話し合いが平行線をたどることにあります。遺産分割協議をゼロベースで始めると、決着がつくまでに何年もかかってしまうことも少なくありません。

そこで生前対策としておすすめしたいのが、遺言書の作成です。

遺言書というと、生前に作成する遺言状のようなイメージがあるかと思いますが、正式な遺言書は相続において、非常に強い効果を発揮し、亡くなられた被相続人の描いた通りの遺産分割を実現することができます。

相続不動産が複数あるような場合は、誰にどの不動産を相続させるのか、生前に遺言書を作成して書き記しておくことで、相続発生時に相続人同士でもめずに済むのです。

生前対策で遺言書を作成する際のポイント1:公正証書遺言で作成する

遺言書は紙に直筆で所定の事項を書いて署名捺印すれば有効なため、自分自身でも簡単に作成することができます。

ところが、遺言書は全ての相続人にとって必ずしも平等な内容で書けるわけではないため、相続発生時に納得がいかない相続人から、遺言書の無効などを訴えられるケースがあるのです。

実際、遺言書作成時の本人の意思能力が裁判上問題になって、遺言書が無効とされる事例が時々あります。

そのため、遺言書を作成する際には必ず公正証書遺言で作成することをおすすめします。公正証書遺言とは、公証役場で公証人に依頼して作成する遺言書のことで、有効性が確保できますので、相続発生時に揉める心配がなくおすすめです。

生前対策で遺言書を作成する際のポイント2:附言を書く

遺言書には遺産の分け方だけ記載すればよいのですが、それだけだと相続人の中に不満を感じる人もいるでしょう。そこで、なぜそのような分割内容にしたのか、理由を記載することで、ある程度の紛争を予防することができます。

これを附言といい、法的な効力は及ばないものの、相続人の気持ちに直接語りかけることができるため、相続を得意としている弁護士などに生前対策を相談すると、附言を書くよう勧められることもあるほどです。

 

まとめ

不動産相続は遺産分割の際に分け方をめぐって紛争化することが多いため、生前対策として、代償金の準備や遺言書の作成などについて、生前の早い段階から着手しておくことが重要です。

生前対策は「まだ早い」と考えて対応が遅くなるケースがあります。最近では、痴呆や認知症などにかかってしまい、生前対策が行えなくなる事例も多いため、まだ早いと感じているうちに生前対策を講じることがおすすめです。

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