土地・不動産 2019.04.11
不動産を所有しているなら法人化による相続税対策を検討
所有している不動産を賃貸し、家賃収入を得ている人は、法人化により相続税を減らせることをご存じでしょうか?ここでは、不動産のオーナーが知っておきたい法人化のメリットを説明します。法人化が相続税対策になる理由についても理解しておきましょう。
不動産の所有者が相続税対策として行う法人化とは?
投資用不動産を持っているなら相続税対策を
不動産を所有し、他人に賃貸して不動産収入を得ている人は多いと思います。しかしながら、不動産の価格は大きいですから、自宅不動産だけでなく投資用不動産も持っている場合には、亡くなった後の相続税が心配です。
相続税は、税金の中でも税率が高いので、課税されたときの負担が大きくなってしまいます。相続税を払うのは相続人ですから、次世代に負担を残さないためにも、相続税対策は重要です。
会社を設立して相続対策をする方法がある
投資用不動産のオーナーの相続税対策として、法人化があります。法人化とは、不動産事業を行うための会社を設立し、個人が行っていた不動産事業を会社が行う形にすることです。会社は、通常、株式会社を設立します。
不動産事業を法人化すれば、家賃収入は会社の収益になり、会社に帰属することになります。個人と法人は、法律上別人格です。法人化により家賃収入が個人の財産として積み上がっていくのを防ぐことができますから、相続税を軽減することができます。
不動産事業の法人化は、相続税対策として一般に行われているもので、脱税の手段ではありません。不動産事業の法人化により、合法的に相続税を減らせます。個人で不動産事業を行っている人は、相続税対策として、法人化を検討してみましょう。
相続税対策のために不動産事業を法人化するやり方
資本金1,000万円未満で株式会社を設立
相続税対策のための不動産事業の法人化では、まず、株式会社を設立します。株式会社を設立するには資本金が必要ですが、今は資本金がいくらでも会社を作れます。
ただし、設立時の資本金が1,000万円を超えると、設立の年から消費税の申告が必要になってしまいます。そのため、会社の資本金は、1,000万円未満にしておきましょう。
相続人を株主にする
株主とは会社に出資する人です。相続税対策のための不動産事業の法人化では、相続人を会社の株主にします。このとき、相続税対策の対象となる本人は、株主には含めません。本人が株主となって株式を所有すると、相続財産が増えてしまうからです。
相続人を役員にする
法人化の際には、相続人全員が役員に就任する形にしましょう。役員には会社から役員報酬を払うことができます。つまり、会社に帰属した財産を贈与税なしで会社から相続人に移転できるということです。
建物を法人に譲渡する
相続税対策で法人化を行うときには、土地は個人所有のままにしておき、建物だけを法人に売却する形で譲渡しましょう。
古くから土地を所有している場合、土地を売却すれば、譲渡所得税がかかることがあります。賃貸によって収益を得ているのは建物部分なので、建物だけを売却したのであればかまいません。
建物を法人に譲渡した後の家賃収入は、法人のものです。不動産収入による個人の所得税の負担を減らせるだけでなく、亡くなったときの相続税の負担も軽減できます。
土地については個人のものですから、会社が土地を利用するために借地権が発生します。個人から法人に対して借地権の贈与があったとみなされると認定課税されてしまうので、「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出しておきましょう。
会社から退職金を支払う
個人事業では自分に対して退職金を支払うことはできませんが、会社にすれば会社から自分に対して退職金を払うこともできます。
退職金を支払えば、会社の経費として計上できます。退職所得は所得税の課税においても優遇されていますから、退職所得を受け取った側も節税効果を得られます。
相続税対策のための不動産事業の法人化にデメリットはある?
会計処理の手間がかかる
会社を設立したら、個人事業のときよりも厳密なルールで会計処理を行わなければなりません。法人税の申告は、個人事業の確定申告よりも複雑ですから、手間がかかってしまいます。
赤字でも税金が発生することがある
会社を設立すると、法人税のほかに、法人住民税の負担も発生します。法人住民税の均等割は赤字でもかかってくるため、税金の負担が大きくなる可能性があります。
登記が必要
不動産事業を会社にした場合には、設立時だけでなく、役員変更時や会社移転時、会社閉鎖時などにも登記が必要になります。法人化により、登記手続きのための手間や費用がかかってしまうことは、やむを得ないでしょう。
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