土地・不動産 2019.04.19
不動産の相続でもめるケースと対処法について
相続財産の中でも不動産については、最も高額な資産でもあるため、相続する際にはさまざまなケースでもめることがあります。不動産相続でもめると、その後の手続きが停滞してしまうため、できる限りもめるケースを回避しつつ、遺産分割を進めることが重要です。
そこで今回は、不動産の相続でもめるケースと、もめた場合の対処法などについて解説します。
不動産相続でもめる訳とは
不動産相続が他の財産とは違い、もめ事に発展するのには、次のような理由があります。
不動産相続でもめる理由1:価値が高額である
不動産は相続財産に占める価額割合が最も多いと言われており、不動産を誰が相続するのかが、不動産相続の争点となります。
相続不動産が複数あればよいのですが、自宅など限られた不動産しかないにも関わらず、相続人の人数が複数の場合は、不動産の取り合いとなってしまい、もめるケースが多いのです。
不動産相続でもめる理由2:分割がしにくい
現預金などの相続財産については、法定相続分に従って綺麗に割り算をして分割することができます。
ところが、不動産については売却して現金化しない限り、不動産を物理的に分割することができません。土地については、分筆などによって分割できるケースもありますが、必ずしも法定相続分通りに分割できるとは限らないため、もめる原因となります。
不動産相続でもめる理由3:不動産に居住している相続人がいる
相続不動産に居住している相続人がいる場合については、住み続けたい相続人と売却して現金化したい相続人の間でもめるケースがあります。
例えば、実家に住んでいる相続人がいる場合において、実家に住んでいない相続人にしてみれば、売却して現金化したいと考えることがありますが、住んでいる相続人からすると住まいを奪われることになるため、絶対にさけたいということになるのです。
このように、不動産相続についてはもめる要素となる複数の理由があることから、もめることが非常に多いです。
不動産相続でもめる具体的ケース
不動産相続では、実際にどのようなケースでもめるのでしょうか。具体的な事例をご紹介します。
もめるケース1:相続財産が不動産しかない場合
相続財産がわずかな預金と不動産しかない場合は、不動産をめぐって相続人同士で取り合いになり、もめることがあります。
いくら話し合っても合意が難しい場合は、法定相続分に従って不動産を共有登記する方法もありますが、二次相続が発生した場合に、さらに権利関係が複雑になっていくため、あまりおすすめできません。
できる限り、話し合いによって解決しておくことが望ましいです。
対策について:現金を準備する
このように目立った相続財産が不動産しかないような場合については、不動産を相続しない相続人のために、不動産相当額の現金を準備しておくことが有効な対策となります。単に預金で準備することもできますが、生命保険を活用するとさらに有効です。
生命保険の死亡保険金については、500万円×法定相続人の人数分の非課税枠があるため、生命保険の死亡保険金を、不動産を相続しない相続人に対する代償金として活用するとよいでしょう。
もめるケース2:投資物件が複数存在する場合
相続不動産がアパートやマンションなどの投資物件で、それらを複数所有している大家さんのようなケースについてももめることがあります。
投資物件については、物件ごとに収益率が違うため、相続人が複数いる場合は、誰しもが収益率がよい収集な物件を相続したいと思うため、意見が合わずもめることになるのです。
対策について:生前に現金化しておく
賃貸物件を複数所有している場合は、相続時に相続人がもめないよう、事前に売却して現金化しておくことで、相続発生ごとの遺産分割をスムーズにできます。
ただ、不動産については小規模宅地等の特例などの適用によって、相続税を大幅に引き下げることができますが、売却して現金化してしまうと、現金残高そのものに相続税が課税されてしまうため、相続税が割高になる可能性があるのです。
そのため、事前に不動産の売却、現金化を検討している方は、生前贈与も含めて税理士と相談して進めることをおすすめします。
不動産相続でもめたら弁護士に相談
不動産相続でもめる場合は、できる限り早い段階で弁護士に相談して、間に入ってもらうことをおすすめします。相続によるもめ事は、家族間の問題でもあるだけに、時として感情的になってしまうことも少なくありません。
感情論の争いになってしまうと、任意での協議では解決できないため、遺産分割調停や審判などにまで発展する恐れがあります。そのため、遺産分割協議が悪化してしまう前に、プロである弁護士に相談して、弁護士を通して交渉するようにしましょう。
まとめ
不動産相続については、他の相続財産に比べるともめる要素が多いため、事前にできる限りの対策を講じておくことが重要です。万が一、もめてしまった場合は、できる限り早めに弁護士に相談して早期解決を目指しましょう。
関連記事
-
土地・不動産
-
相続不動産の評価方法と節税方法について
不動産はどのように評価されるのか 不動産の価格というと時価をイメージする人も多いと思います。 例えば、1億円で購入した土地であれば評価額も1億円と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。 相続 ...
2020/12/25
-
土地・不動産
-
不動産相続で大トラブル!実家の価値は果たしていくら?
不動産と預貯金の違いとは? そもそも、なぜ不動産相続が揉めやすいのかというと、それにはいくつかの要因があります。 不動産は高額である 相続財産に占める不動産の価格割合を見てみると、ほとんどの相続のケー ...
2019/10/04
-
土地・不動産
-
相続対策で不動産は売るべき?売らざるべき?
今売ったらどんな得がある? 東京でも山手線の内側を中心に、不動産価格は以前よりも大きく上昇しています。 例えば、実際の事例でいうと、港区にある築10年程度のワンルームマンション、新築時に約2,000万 ...
2019/08/07
-
土地・不動産
-
家を相続するには!? 相続登記の方法!
相続登記は、できればしておいたほうが無難 相続登記は、いわゆる名義変更です。ですが、しなくても特に問題はないのです。法的な義務はありません。たとえば、その家を売ろうとしたとき、そして、建て替えをするの ...
2017/10/03
-
土地・不動産
-
相続登記申請書の書き方について
相続登記申請書の書き方 相続登記自体は自分でも申請することが可能です。その際には相続登記申請書と複数ある必要書類を添えて、不動産の所在地を管轄する法務局に提出する必要があります。 それでは、相続登記申 ...
2017/10/02
-
土地・不動産
-
相続登記の費用はいくらかかる?その内訳とは?
相続登記ってそもそも何? 相続に伴って不動産を取得した場合に、その名義を被相続人の名義から相続人の名義に変更する手続きのことを一般的に「相続登記」と呼んでいます。 ただ、正式には相続登記という登記手続 ...
2017/10/02