遺産相続・遺産分割 2018.03.08
遺産相続において家庭裁判所ですること
家庭裁判所は、家事事件と少年事件をメインに扱う裁判所として昭和24年に創立されました。遺産相続では様々な申立てや請求などで、しばしば家庭裁判所のお世話になることがあります。
ここでは、遺産相続において家庭裁判所で行う手続きの中の「遺言書の検認」、「遺言執行者の選任申立て」、「相続放棄や限定承認の申立て」、「遺産分割調停・審判」について、ご紹介します。
家庭裁判所において、遺言書の検認を行う場合
遺産相続における初期段階で家庭裁判所に関係する手続きは、遺言書の検認です。
遺産相続開始後はすぐに、遺言書を探すことになります。もし、自筆証書遺言が見つかったなら、開封しないで家庭裁判所で検認を受けます。
封印のない遺言書であれば開封して読んでも構いませんが、やはり家庭裁判所での検認は必要です。封印があれば、家庭裁判所での検認の際に遺産相続する相続人の立ち会いのもと、裁判官が開封します。
検認を申立てる家庭裁判所は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
家庭裁判所において、遺言執行者の選任申立てを行う場合
遺言書で遺言執行者が指定されている場合は、その人に連絡を取ります。遺言執行者は遺産相続における遺言執行に関する一切の権限を持っており、遺産相続される財産も遺言執行者によって交付されます。
もし遺言執行者の指定がない場合には、遺産相続の相続人同士が協力し合って遺言を執行することになります。
しかし相続人同士は遺産相続において利害関係が対立する者同士でもあるため、遺言執行はスムーズに進まないことも多くなります。そのような場合は、家庭裁判所で遺産相続における「遺言執行者の選任」の申立てを行うことができます。
これも、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てます。
家庭裁判所において、相続放棄・限定承認の申立てを行う場合
遺産相続できる遺産を調査した結果、債務超過が明らかであるなどの理由で遺産相続を放棄することを決定した場合には、家庭裁判所へ相続放棄申述書を提出します。相続放棄でも、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てを行います。
遺産相続できる財産の調査がスムーズに進まず、債務超過かどうか確信が持てない場合には、限定承認の申立てを家庭裁判所で行うことができます。限定承認でも、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ、限定承認申述書と財産目録を提出します。
遺産相続をするかどうかは、自己のために相続あったことを知った日から3カ月以内に決定しなければなりません。この3カ月という期間は「熟慮期間」と呼ばれており、遺産相続する相続人が結論を出すための時間として与えられているものです。
もし、遺産相続するかしないか、限定承認するかしないかを3カ月以内には決められない場合には、家庭裁判所へ遺産相続の熟慮期間伸長を申立てることもできます。
熟慮期間の伸長申立ても、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てることになります。
家庭裁判所において、遺産分割調停を行う場合
遺産相続において遺産分割協議がうまくまとまらない場合や、理由なく遺産分割協議に参加しない相続人がいて協議が進まない場合など、遺産分割協議で困った事態になってしまった場合にも、家庭裁判所を頼ることができます。
この場合、家庭裁判所に対して、遺産相続における遺産分割調停という裁判手続きを申し立てることになります。
家庭裁判所で行われる遺産分割調停では、遺産相続において当事者同士が理解を示し合いながら納得のいく遺産分割ができるよう、調停委員会や家庭裁判所の裁判官が手助けをしてくれます。
調停の趣旨は、遺産相続で争いになってしまった相続人同士が和解することで遺産分割協議を無事に終え、遺産相続を円滑に進められるように支援することです。
もし家庭裁判所での調停でも解決しない場合は、遺産分割審判手続きに移行します。
家庭裁判所において、遺産分割審判を行う場合
遺産相続における遺産分割について調停でも折り合いがつかない場合は、最終手段として遺産分割審判が行われます。
調停で解決できなかった事案は自動的に審判に移行するため、審判についての家庭裁判所での手続きや申立ては不要です。
審判においても、できるだけ遺産相続の相続人同士の和解を促すよう手が尽くされますが、それでも解決しない場合には、最終的に家庭裁判所の裁判官が強制的に、遺産相続における遺産分割方法を決めます。
まとめ
遺産相続の時には、家庭裁判所を頼る場面が度々出てきます。遺産相続でもめてしまった場合など、自分たちでは到底手に負えないと思える状況になったら、早めに家庭裁判所へ相談や申立てを行いましょう。
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