遺産相続・遺産分割 2018.04.17
遺産分割の手続きの流れを紹介
遺言書が遺されていない遺産相続では、遺産分割協議を開いて相続人の間で遺産の分け方を決めることになります。遺産分割協議の内容を書面にした「遺産分割協議書」は、遺産相続の様々な手続きや申請の際に必要書類として提出が求められます。
しかし遺産分割は、遺産相続の手続きの中でも特に長引きやすく、トラブルが発生しやすいポイントでもあります。遺産分割の手続きは、どのような流れで進むのかを詳しく見ていきましょう。
相続人全員で、遺産分割協議を行う
遺産相続対象の財産の調査が終わると、遺産分割の最初の手続きとして遺産分割協議が開かれます。相続人が全員参加し、遺産をどのように分けるべきかについて話し合いを行うものです。
認知症で判断能力のない相続人や未成年の相続人がいる場合は、代理人や特別代理人、後見人などの選任手続きが必要です。どんな理由があっても、相続人全員の参加がない遺産分割協議は無効となります。
遺産分割協議では、特別受益の差し引きや寄与分の考慮も行われます。特別受益の差し引きとは、被相続人の生前に財産をもらった相続人に対し、相続分の前渡しとみなして相続財産から差し引くことです。
その相続人だけが土地をもらっていた、その相続人だけが留学資金を援助してもらっていたなどについては、特別受益と呼ばれる相続分の前渡しに該当するでしょう。
寄与分の考慮は、被相続人の財産の維持や形成のために特別の貢献をしてきた相続人のためのものです。特別の貢献が認められれば、他の相続人よりも多くの相続分を得ることができます。
寄与分が認められるためには、家族として当然の範疇を超えた貢献がなければなりません。私財を用いて被相続人の自宅のバリアフリー化を行った、仕事を退職して被相続人の介護に努めたなどが、寄与分が認められる可能性のある貢献です。
これらの要素を検討しながら、相続人全員が合意する仕方での遺産分割協議が行われれば、遺産分割協議は成立となります。
合意が得られた内容を「遺産分割協議書」にする
遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議書を作成する手続きに入ります。
遺産分割協議書の作成は義務付けられている手続きではありませんが、この後に行われる各種遺産の名義変更手続きや納税の手続きでも、遺産分割協議書は必要になってきます。
時間が経ってから一部の相続人が遺産分割の内容に異議を唱えたり、やり直しを主張したりした場合にも、遺産分割協議書があればトラブルを大きくせずに済むでしょう。
遺産分割協議書には規定の書式がないため、パソコンでも手書きでも作成できます。書き方も基本的に自由ではありますが、誰が、どの遺産を、どのくらい相続するのかがはっきり分かることや、相続人全員の署名押印があることが必須条件です。
遺産分割協議書作成後に相続人の欠員が判明した場合や、他の相続財産の存在が分かった場合は、遺産分割協議はやり直しとなります。
遺産分割協議書に従って遺産分割をする
遺産分割協議書の作成手続きが済んだら、相続人それぞれが遺産分割協議書に従って遺産を相続します。相続人は遺産相続後できるだけ速やかに、自分が相続した財産の名義変更手続きを行います。
代表的な手続きとしては、自動車の名義変更手続きや不動産の相続登記手続き、預貯金の名義変更手続きや解約手続きなどがあるでしょう。これらの手続きでは、遺産分割協議書が必要書類として含まれています。
遺産分割協議がこじれたらどうする?
遺産分割協議は、相続人それぞれの取り分の増減に直結する手続きです。そのため、相続人それぞれが主張をぶつけ合う形となり、合意に至らないこともしばしばあります。
遺産分割協議がこじれてしまった場合は、家庭裁判所で調停手続きをすることになり、調停手続きをすれば、遺産分割手続きは家庭裁判所に場を移して行われます。
法律の専門家が第三者として相続人の合間を取り持つことで、遺産分割手続きがスムーズに進むこともあります。
しかし、調停手続きを経ても遺産分割手続きがうまく進まないこともあります。その場合は審判手続きに移行し、家庭裁判所が強制的に遺産分割方法を決定することになります。
まとめ
遺産分割手続きは、遺産相続の手続きの中でも特にストレスのかかる場面です。遺産分割協議が終わっていないと受けられない税額軽減措置もあるため、こじれてしまった場合は調停手続きなども利用し、できるだけ早く遺産分割手続きを済ませるようにしましょう。
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