相続人・遺留分 2018.04.22
相続人が子供のみの場合の遺産相続について
相続人のパターンとして多いものは、被相続人の配偶者と被相続人の子供という組み合わせです。しかし、配偶者が被相続人より先に亡くなっている場合などには、相続人が子供のみになるケースもあります。
ここでは、遺産相続で子供のみが相続人になる場合の相続分や遺留分、子供のみが相続人になる場合の養子・非嫡出子の扱いや代襲相続について詳しく解説します。
相続人が子供のみの場合の相続分
被相続人の遺言がある場合はその内容に従って、遺言がない場合には遺産分割協議で遺産の分割方法を話し合って決めます。
子供のみの遺産相続において遺言書がある場合、原則としては遺言書の内容通りに遺産を分割します。全員の合意があれば、遺言書とは異なる方法での遺産分割も可能です。
子供のうち一部に対してだけ相続分が指定してあることもあります。その場合、他の子供は残りの財産を法定相続分で分割するのが一般的です。
法定相続分とは民法で定められている相続分のことであり、遺言書がない遺産相続において、遺産の分割割合を決める際に参考とされます。
法定相続分は相続人の組み合わせによって異なる割合になりますが、相続人が子供のみの場合は子供のみで遺産すべてを相続することになるため、遺産全体を子供の人数で割ります。
子供のみの遺産相続で養子、非嫡出子がいる場合
遺産相続において子供は、養子であっても実の子供と同等に扱われます。子供のみの遺産相続において養子である子供が混ざっているとしても、相続分に差は設けられていません。
子供の中に非嫡出子がいる場合も同様に、実の子供と同等の相続分が与えられます。
かつて、非嫡出子の相続分は嫡出子の半分とされていましたが、平成25年9月4日の最高裁判所の違憲決定を受けて民法が改正されたことで、嫡出子と非嫡出子の相続分に差はなくなりました。
非嫡出子に関するこの改正点は、平成25年9月5日以降の遺産相続において適用されることとなります。なお、改正前の遺産相続についても、平成13年7月1日以降の遺産相続で、最高裁判所のこの判決以降に遺産分割をする場合には、嫡出子と非嫡出子の相続分は同等として扱われることになります。
相続人が子供のみの場合の遺留分
人が財産の処分方法を自分で決めることは当然の自由であり、遺産相続においても例外ではありません。
子供のみが相続人となる遺産相続に関して被相続人がどのように指示したとしても、原則としてその通りに行われることになります。とはいえ、この自由は無限のものではありません。
相続人である子供には、最低限保障されている遺産の取り分である「遺留分」があります。遺留分は法定の制度のため、いくら被相続人本人の意志でも、遺留分をつぶす仕方での財産の処分は認められていません。
相続人が子供のみの場合の遺留分は、遺産全体の半分です。子供の人数が複数なら、遺産の半分をその人数で均等に割ります。相続分と同じく、養子、非嫡出子の遺留分も実の子供と同等です。
遺留分に満たない財産しか残されていない場合は、遺留分侵害の原因を作った人に対し「遺留分減殺請求」をすることで、遺留分を取り戻すことも可能です。
遺留分減殺請求の期限は、遺留分侵害から1年です。それを過ぎると時効になってしまうので、請求は早めに行いましょう。
遺留分をもらう権利は放棄することもできます。ただし、それによって他の相続人の相続分が増えることにはなりません。
相続人が子供のみの場合の代襲相続
相続人は子供のみだが、その子供も被相続人より先に亡くなっている場合には、子供の子供(孫)が代わりに相続することができます。
このように、遺産相続ができなくなった親の代わりに相続人になることを「代襲相続」と言い、代襲相続する人は「代襲相続人」となります。
被相続人の子供のみの遺産相続では、孫がいれば孫が代襲相続をし、孫もいなければひ孫、ひ孫もいなければさらにその子供と、代襲相続の権利をどこまでも繰り下げることが可能です。
ただし、相続人である養子が亡くなり、その子供が代襲相続をする場合には、子供が誕生したタイミングに注意が必要です。
子供の親である養子が養子縁組を結ぶ前に誕生した子供であれば、被相続人の直系卑属ではないため、代襲相続人になることはできません。しかし養子縁組をした後に誕生した子供であれば被相続人の直系卑属となるため、代襲相続人になることができます。
まとめ
子供のみの遺産相続では、実の子供も養子も非嫡出子も、区別なく平等な遺産相続が可能です。ただし、養子の子供に代襲相続が発生しそうな場合は、養子縁組後に誕生した子供であることを確認しましょう。
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