土地・不動産 2018.05.06
不動産の等価交換方式の意味と注意点
不動産を活用して収入を得るための方法の一つに、不動産の等価交換方式があります。不動産の等価交換方式は、土地所有者および土地開発業者の双方にとって大きなメリットのある取引方法です。
しかし、不動産の等価交換方式は無条件で選択できるのではなく、土地によって適用できるかできないかの違いがあります。今回は、不動産の等価交換方式について考えていきましょう。
不動産の等価交換方式とは何か
不動産の等価交換方式とは、土地の所有者と土地開発業者がそれぞれ土地と建物を提供し合い、双方の共有のもとで建物を活用していく不動産事業の方式のことです。
有効利用できる立地に土地を持っている所有者が、土地活用はしたいが借金を抱えることは不安と感じる場合に、不動産の等価交換方式が選ばれることがあります。
一方、土地開発業者の立場としては、資金を自己負担して建物を建てても採算が合うと見込まれる土地でなければリスクが大きくなってしまうため、等価交換方式で取引する土地を選ぶ際には慎重になります。
不動産の等価交換方式による建物が完成すると、土地所有者には建物と土地の区分所有権が与えられます。区分所有権は、所有者が提供した土地の価値と比較してそれに見合った分、「等価」になるように計算されます。
一例として、土地に4億円、建設費には6億円を要した不動産開発では、トータルで10億円の費用がかかることになります。
この場合、土地所有者の出資割合は4割、土地開発業者の出資割合は6割という計算になります。よって、完成した建物および土地の持分のうちの4割が、土地所有者の持分になるのです。
不動産の等価交換方式の取引の流れ
実際に、不動産の等価交換方式を利用して土地を活用したいと思った時には、どうしたら良いのでしょうか?
不動産の等価交換方式のアウトラインをご紹介しましょう。
1.土地を譲渡する
まず、等価交換方式で取引したい土地開発業者へ土地の譲渡を行います。その後、土地開発業者が土地を担保にして建設費用を借り入れることになります。この段階では、金銭の授受はされないのが一般的です。
2. 建物の建設開始
事前の打ち合わせで土地所有者の住居の位置や間取りなどを決定したら、不動産の建設が始まります。建設中の住まいに困るような場合は、土地開発業者が手配してくれる仮住まいに移ることとなります。
3.完成・引き渡し
完成した建物の一部と敷地の一部に関して、不動産の区分所有権が与えられます。土地所有者が自分で住んでも良いですし、他人に貸して家賃収入を得るのも自由です。
不動産の等価交換方式における注意点
不動産の等価交換方式で建物を建てることを検討する際には、いくつか注意したい点があります。
土地開発業者を慎重に選ぶ
不動産の等価交換方式で取引する土地開発業者は、慎重に選ぶ必要があります。土地を譲渡すると、土地開発業者が借り入れをした金融機関によって土地には抵当権が設定されます。土地開発業者が倒産してしまえば、土地を取り戻すことはほぼ不可能になります。
悪意を持って計画的に倒産を重ねるような土地開発業者も実際にいます。そのため、信頼のおける堅実な不動産会社、等価交換方式での取引において実績が確かな不動産会社を選ぶようにしましょう。
等価交換方式に向く土地・向かない土地がある
土地であればどんなものでも、不動産の等価交換方式で取引できるわけではありません。先にも触れましたが、土地開発業者から見て、建物の建設費用を出しても採算が合うとみなされる土地でなければ、等価交換方式での取引は不可能になります。
具体的には、立地条件の悪い土地、過疎地の土地、狭小地で建てられる建物が小規模になる場合などは、等価交換方式で取引できない土地である可能性があります。逆に、良い立地条件の土地を持っているなら、等価交換方式で取引するチャンスがあると言えます。
等価交換方式での取引が向いている土地の例としては、駅から近かったり、十分な台数の駐車場を確保できる広い土地があったり、買い物スポット、学校、医療施設などが周辺に充実しているような土地が挙げられます。
その他、土地のイメージや治安の良さに加え、近くに新幹線やリニアの停車駅が完成する予定があるなど、将来の開発計画もポイントになる場合があります。
所得税が高額になる可能性
等価交換方式で取引した場合は、土地のままの状態と比べて評価額は下がります。代わりに、不動産所得が大きくなるため、所得税は高額になります。借金がないとはいえ、支払うべき税金が増える可能性がある点については注意しましょう。
まとめ
不動産の等価交換方式は、土地所有者と土地開発業者の双方にメリットがあります。一方で、等価交換方式は無条件に利用できるものではなく、一定のハードルがあります。地方になればなるほど、ハードルは高くなる傾向があるでしょう。
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