相続人・遺留分 2018.06.15
相続人の調べ方を徹底解説
遺産相続が始まって、まず問題になるのは「誰が相続人になるのか?」ということでしょう。相続人を確定するためには、被相続人の生涯について正しい調べ方をしなくてはなりません。
相続人の調べ方を知らなくても、「自分の場合は相続人を調べなくても大丈夫」と考える方もいます。しかし、誰であっても相続人の調べ方を理解しておき、遺産相続の際には相続人の調査をする必要があります。
相続人の調べ方を知っておくべきなのはなぜ?
相続人とは、簡単に言えば「被相続人の遺産を相続する権利がある人」のことです。多くの遺産相続では、遺された配偶者と子どもが相続人になっています。
そのため、相続人の調べ方を知らなくても相続人が誰なのかはすでに知っているから大丈夫だろうと思う方がいるかもしれません。
しかし、相続人の調べ方をあらかじめ知っておくことは必要です。死亡時の家族が、その存在を知らない相続人がいる可能性があるためです。
例えば、被相続人が未婚のうちに子どもを授かっているケースや、今の家庭を築く前にも結婚していて、その時に生まれた子どもがいる場合もあります。男性であれば、婚外子を認知しているかもしれません。
また、実の子どもを養子に出していたり、養子縁組によって迎えた養子がいたりするかもしれません。養子も実の子どもと同じように相続人になることができますから、徹底的な調べ方をして、見落とさないようにしなければなりません。
人の生涯は数十年、時には百年近くにおよびますから、それだけ多くの出来事が起こるはずです。どんなに仲の良い家族でも、被相続人の生涯中に起きたことを一つ残らず知り尽くしていると断言できる方は少ないでしょう。
相続人を正確に把握していないと遺産相続の手続きは前に進みませんし、相続人が漏れた状態で進められた手続きは、ほとんどが白紙に戻されてしまいます。面倒でも、正しい調べ方をして相続人を調査しなければなりません。
相続人の調べ方
では、相続人の調べ方とはどのようなものでしょうか。どんなケースでも、被相続人の戸籍をその出生の記載がある所まで辿っていくというのが正しい調べ方になります。
戸籍とは、生まれてから死ぬまでずっと同じものを使うのではなく、結婚や転籍などの人生における大きな変化に合わせて新しいものに変わっていくものです。国の政策によって、国民全体の戸籍が改製されたこともあります。
昭和32年の改製前の戸籍は「昭和改製原戸籍」、平成19年に行われたコンピューター化以前の戸籍は「平成改製原戸籍」と呼ばれており、人生がこれらの年に重なっている人であれば、必ず各改製原戸籍を調べる必要があります。
相続人の調べ方の第一段階として、まずは被相続人の直近の戸籍を調べます。被相続人の身分事項欄を確認すると、「従前戸籍」という記載があるはずです。そこに住所と氏名が記載されていれば、現在の戸籍のひとつ前にはその人の戸籍に入っていたということになります。
ほとんどの場合、ひとつ前の戸籍は被相続人の親の戸籍であることでしょう。ひとつ前の戸籍を見ると、被相続人の名前の欄に「昭和○○年〇月〇日○○市にて出生」などの文言が見つかる可能性があります。
出生の記載がある戸籍にたどり着けば、戸籍収集作業は完了です。あとは、知らない間の婚姻などの記載がないかを隅から隅まで調べるだけです。戸籍の収集は、とにかく被相続人の「出生」の記載が見つかるまで、延々と辿っていくことになります。
相続人調査で、専門家に依頼した方が良いケース
先にご紹介した調べ方はほんの一例です。この例のように調べ方がシンプルであれば、相続人の苦労も少ないでしょう。しかし、相続人の手には負えないケースもあります。例えば、被相続人が何回も転居しており、しかも転居の度に本籍地を移していたような場合です。
この場合は調べ方が複雑になる以前の問題として、戸籍を取り寄せるだけで相当な手間がかかります。被相続人の婚姻回数が複数だったり、結婚関係外に子どもがいたりする可能性がある場合の調べ方も、一筋縄ではいきません。
戸籍謄本の表示を普段から見慣れている方は多くないはずですので、調べ方が不十分になり、見落としが生じるリスクがあります。さらに厄介なこととして、存在を知らなかった相続人を見つけたとしても、スムーズに連絡を取れないケースも多々あります。
相続人の調べ方や相続人確定の手続きに精通しているのは、弁護士、行政書士などの専門家です。余計な手間や時間の浪費、心労を避けるためにも、相続人の調べ方を熟知している専門家に最初から任せることは、賢明な選択と言えます。
まとめ
被相続人の戸籍をすべて調べるというのが相続人の調べ方です。調べ方自体は一般の方でも実施可能なものですが、戸籍の収集作業や戸籍情報の確認は非常に難しく、たくさんの時間を要します。可能な限り、専門家に任せる方が得策でしょう。
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