土地・不動産 2018.11.26
マンションの相続税評価額を計算する方法とは?
相続を控えた相続人の関心は、相続することになる財産の「相続税評価額」に集中していると言っても過言ではないでしょう。相続税評価額が低ければ相続税の負担は軽くなり、相続税評価額が高ければ納税資金の工面に苦労するかもしれないからです。
マンションなどの不動産は、相続税評価額が高額になりやすい財産ですから、相続が始まってから慌てることのないよう、早めにその価値を知っておくべきです。今回は、マンションの相続税評価額の計算と、相続税評価額が高額になってしまった場合の相続対策案について解説します。
マンションの土地の相続税評価額計算
マンションの相続税評価額は、土地と建物を別々に計算して求めます。まずは次の計算式で、マンションの土地部分の相続税評価額を計算してみましょう。
「路線価 × マンション全体の面積 × 自分の持分割合」
マンション全体の評価額は、マンションが接している道路に設定された路線価によって決まります。
ただし路線価は、一部地域の道路にのみ設定されています。相続するマンションの周辺道路に路線価が設定されていない場合は、評価倍率表に記載された倍率をマンションの固定資産税に乗じて計算しましょう。路線価も評価倍率表も、インターネット上で国税庁が公表しています。
マンションの土地全体の相続税評価額が分かったら、そこへ自分の持分割合を乗じる計算をします。この計算で算出されるのが、マンションの土地部分の相続税評価額です。なお、持分割合はマンションの登記簿を確認すれば分かります。
マンションの建物の相続税評価額計算
マンションの建物部分の相続税評価額は、マンションの固定資産税評価額と同額になります。そのため、計算の必要はありません。
固定資産税評価額を確認したい場合は、毎年送付される固定資産税の課税明細書を確認するか、東京都であれば都税事務所、他の地域では市町村役場の税務課などで「固定資産税台帳」を閲覧しましょう。
なお、相続したマンションが居住用ではなく、賃貸マンションとして貸している状態だと、相続税評価額は一段と安くなります。
マンションにも適用できる税額特例
マンションの相続税評価額を計算してみたところ、意外なほど相続税評価額が高いことに気が付くかもしれません。そのままだと、相続税も高額になってしまうでしょう。そんな時には、生前にマンションを贈与してしまうことで相続税を節税できないか、検討してみて下さい。
マンションの生前贈与に利用できる税額特例の1つに、「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」という特例があります。
正式に結婚して20年以上経っている夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合に、贈与税の基礎控除110万円とは別に最高2,000万円まで控除できるという特例です。
この特例は、相続開始前3年以内の贈与財産についてもみなし相続財産とはならないため、いつマンションを贈与しても相続税がかかる心配が無いのが大きなメリットです。
もし、マンションの評価額が2,110万円を超えてしまうようであれば、マンションの評価額に応じて夫と妻の間で持分を分け、2人で共有する形を取っておくこともできます。
例えば、評価額が4,000万円のマンションを夫と妻で2分の1ずつの持分とした場合、お互いの持分は2,000万円ずつになります。
共有のままマンションを売却した時には、夫と妻双方に3,000万円の特別控除が適用できる可能性があるため、マンション売却時の譲渡所得はゼロ円になることもあります。
この3,000万円の控除は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」という特例によるものです。いずれマンションを売却するかもしれないのであれば、この特例を利用する価値は十分にあるでしょう。
ちなみに、夫婦間の贈与の特例を利用する場合でも、登録免許税と不動産取得税はかかってしまいます。しかし、それを踏まえても節税メリットの大きい特例と言えるでしょう。
さらに、マンションの相続では「小規模宅地等の特例」も適用可能です。
小規模宅地等の特例とは、被相続人や相続人が居住している不動産や、被相続人が事業に使用していた店舗や事務所などの不動産に、相続税評価額を大幅に減額するという制度です。
マンションなどの居住用不動産は330㎡まで80%の減額、事業に使用していた不動産は400㎡まで80%の減額になります。「小規模」という名称ではありますが、相当広いマンションでない限りは十分収まる面積設定でしょう。
この特例は、相続税を納税するためのお金がないばかりに、遺族が生活の本拠地を失うことがないようにという意図で設けられた特例です。遠慮なく利用しましょう。
まとめ
相続が始まる前に相続税評価額を計算しておくことは、ゆとりある相続対策をする上で非常に重要です。
特に、マンションは残された遺族の生活の場として絶対に必要な場合もあります。生前贈与や税額特例を駆使して、相続人の利益を守るための相続対策を早めから講じましょう。
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