土地・不動産 2018.11.23

マンションの相続に関係する税金の計算方法

価値の高い財産を相続する時には、「税金が高くなるのでは?」と心配になることでしょう。マンションを相続する可能性がある場合には、どのくらい税金がかかるのかをあらかじめ計算してみることで、必要な相続対策が分かることもあります。この記事では、マンションの相続に関係してかかる4種類の税金について解説します。

記事ライター:棚田行政書士

マンションの相続税評価額の計算

相続税の計算の基本的な流れは、次のようになります。

1.各相続人の課税価格を計算する
2.課税遺産総額を計算する
3.相続税の総額を計算する
4.各相続人が納めるべき税額を計算する

以下の式で計算される、相続税の基礎控除額を超える相続財産がある場合にだけ、相続税がかかります。

「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 = 相続税の基礎控除額」

一例として、相続人3名で総額5,000万円の相続財産を相続するとします。相続人の人数によって計算される基礎控除額は4,800万円ですから、単純に考えると200万円オーバーしています。特別控除等の適用がない限りは、この200万円に相続税がかかるということです。

相続税の税率は、以下のようになります。200万円の場合の税率は10%ですから、単純計算で相続税の金額は20万円となるでしょう。

1,000万円以下・・・10%
1,000万円~3,000万円以下・・・15%
3,000万円~5,000万円以下・・・20%
5,000万円~1億円以下・・・30%
1億円~2億円以下・・・40%
2億円~3億円以下・・・45%
3億円~6億円以下・・・50%
6億円~・・・55%

2の段階では、相続財産の価額が重要になってきます。マンションの相続税額を左右する相続税評価額も、この段階で計算に含められます。

前もってマンションの相続税評価額が分かれば、マンションを含む相続で相続税がかかるかどうかをあらかじめ予測でき、相続税の納税準備をしておくこともできるでしょう。相続対策と並行して、マンションの相続税評価額の計算もしてみることをおすすめします。

では、実際の計算方法の説明に入りましょう。マンションの土地部分は、次のように計算します。

「路線価 × マンションの土地全体の面積 × 敷地権割合 = 相続税評価額」

敷地権割合とは、持分割合とも呼ばれるもので、マンションの登記事項証明書などに表示されています。

マンションの建物部分の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じですから計算は要りません。土地部分と建物部分の相続税評価額を合算したものが、マンションの相続税評価額になります。

マンションの相続税評価額だけで、相続税の基礎控除額を超えてしまった場合には、何らかの相続対策を講じることができるでしょう。

 

マンションの登録免許税計算

マンションを相続したら、被相続人の名義から相続人の名義へ変更するための「相続登記」が必要です。

相続登記では、登録免許税を納めなければなりません。登録免許税の計算方法は、次の通りです。

「不動産の価額 × 0.4% = 登録免許税額」

マンションの価額が3,000万円なら12万円、5,000万円なら20万円の登録免許税という計算になります。

相続人が頭を悩ませるケースに、相続登記を2回行わないと相続人自身の名義にならない、という状況があります。

被相続人がマンションの相続登記をしないまま亡くなってしまったために、マンションの登記上の名義人から被相続人名義へ、次に被相続人名義から相続人名義へと、合計2回の相続登記が必要になるという厄介な状況です。

相続登記の重要性や未実施にかかるリスクは、最近になってようやく認識され始めたものです。数十年前の相続では、相続登記などはしてもしなくても良いという認識が普通に見られました。また、登録免許税の負担も相続登記の未実施の一因と考えられています。

このままでは、相続登記がされていないために、登記上の所有者がこの世にいない不動産が増え続け、子どもや孫の世代は非常に困った立場に置かれることになります。すでに、行政による街の開発や災害復興には支障が出ているということですから、軽視できません。

国は、相続登記の未実施を解消すべく、登録免許税の免税措置を講じました。2018年4月1日から、2021年3月31日までに行われた相続登記で、2回の相続登記が必要な場合に限り、1回分の登録免許税が免税となります。

 

マンションの固定資産税・都市計画税計算

相続したマンションを保有している間は、毎年固定資産税が課税されます。固定資産税は、次の式で計算できます。

「固定資産税評価額 × 1.4%」

1.4%という税率は、国土交通省が定める標準税率です。地域によって微妙に変動することがあります。

都市計画税がかかる地域にあるマンションを相続する場合には、固定資産税と一緒に都市計画税も計算することを忘れないようにしましょう。都市計画税は、次の式で計算できます。

「固定資産税評価額 × 0.3%」

0.3%は、上限税率として定められている数値です。

固定資産税と都市計画税を合わせて計算すると、相続したマンションには毎年「固定資産税評価額×1.7%」で計算される税金が必要になります。

 

まとめ

マンションの相続と保有にかかる税金は、相続前に計算してみることが重要です。マンションを保有したことがないと、税金についての計算が甘くなり「毎年の固定資産税が払えない」などという事態にもなりかねませんので、気を付けましょう。

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