土地・不動産 2019.01.11
不動産の相続で争いになるパターンは?解決方法や予防方法をご紹介
相続争いは、財産がある家だけの問題ではありません。遺産の金額に関係なく、不動産があれば相続争いになりやすい傾向があります。今回は、不動産の相続で争いになるケースと、相続争いの解決方法や予防方法について説明します。
不動産の遺産分割では争いが起こりやすい
遺産が不動産しかなければ分けにくい
相続が発生したとき、不動産しか遺産がないことがあります。不動産は、物理的に簡単に分けられるようなものではありませんから、遺産分割に困ることがあります。
不動産を共有にしても、共有者同士で不動産の管理や処分について争いになることがあります。遺産分けができないからといって、相続人の共有にするのは問題の先送りにすぎません。
不動産を現金化すれば分けられる
不動産はそのままの状態では分けにくいですが、売却して金銭に換えれば簡単に分けられます。不動産を売却して現金化してから分ける遺産分割の方法は、換価分割と呼ばれます。
相続人全員が換価分割に賛成すれば、不動産はスムーズに分けられます。しかし、相続人の中に不動産を売却したくない人がいれば、争いになってしまうことがあります。
代償分割で争いが解決することもある
不動産を売却したい相続人と売却したくない相続人とで争いになったら、代償分割を検討してみましょう。不動産の代償分割とは、特定の相続人が不動産を取得した上で、他の相続人に対し、相続分に相当する代償金を支払う遺産分割の方法です。
代償分割を選択すれば、各相続人が取得する財産の額が法定相続分になるように調整できます。
代償金の支払いで争いになることもある
代償分割をするには、不動産を取得する人が、代償金を払えるだけの現金を持っている必要があります。不動産を取得する人の手元に現金がない場合、他の相続人が分割払いに応じなければ、争いになってしまうことがあります。
不動産をいくらで評価するかでも争いになりがち
代償分割では、不動産の評価額に各相続人の相続分をかけて代償金の額を算出します。このときに、不動産の評価額をどうするかで争いになることがあります。
不動産には、市場価格(取引価格)のほか、固定資産評価額、路線価など何種類もの価格があります。遺産分割では、不動産をどう評価するかの明確な決まりはなく、相続人全員が合意していれば、どの価格を使ってもかまいません。
代償金を払う側は、不動産を低く見積もりたいはずです。一方で、代償金を受け取る側は少しでも高く不動産を評価したいでしょう。結局両者が争いになってしまい、解決が困難なことがあります。
不動産の相続で争いが解決しない場合には?
遺産分割の争いは裁判所で解決できる
不動産の相続や遺産分割で争いになり、当事者だけで解決が難しい場合には、家庭裁判所に申し立てて解決できます。
遺産分割の争いについて裁判所に申し立てる場合、通常、最初は調停を申し立てることになります。調停とは、裁判所を利用して当事者間が話し合いをする方法です。
遺産分割調停は話し合いの延長
遺産分割調停は、相続人の1人(または複数の人)が申立人となり、他の相続人を相手方として申し立てます。調停では、調停委員及び裁判官が相続人の間に入り、意見の調整を行います。
調停はあくまで話し合いの延長で、裁判所が遺産分割の方法を決めるものではありません。相続人同士の話し合いがまとまれば調停成立となり、調停で決まった内容で遺産分割されます。
遺産分割調停で争いが解決しないなら審判へ
遺産分割調停をしても相続人同士の争いが解決しない場合には、調停不成立となり、遺産分割審判に移行します。
遺産分割審判は、相続人が提出した書類や調査官による調査結果などを含むあらゆる資料に基づき、裁判官が一方的に遺産分割方法を決める手続きです。遺産分割についての争いは、基本的には審判で決着することになります。
なお、遺産分割審判では法定相続分に従って遺産が分けられるので、不動産は売却しなければならないことがあります。不動産の売却を避けたい場合には、話し合いによる解決を目指しましょう。
不動産の相続争いを防止するには?
遺言で相続争いを防ぐ
不動産の相続で将来相続人同士が争いになることが予想される場合には、生前から対策をとっておくのがおすすめです。相続では、遺言が優先になりますから、遺言を作成しておくことは有効な対策です。
遺言を書くなら遺留分に注意
遺言で不動産を特定の相続人に相続させる場合には、他の相続人の遺留分(民法上保障された最低限の取り分)に注意しておきましょう。
遺言の内容が他の相続人の遺留分を侵害するものであれば、その相続人が遺留分減殺請求をし、結局争いになってしまう可能性があります。
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