相続放棄 2019.07.17
相続放棄証明書とは?どんな時に必要なのか
相続が開始してから、何らかの理由で相続を放棄することもあるでしょう。相続放棄をした人は、はじめから相続人ではなかったことになるので、相続に関する一切の権利と責任が無くなることになります。
相続をするもしないも個人的な決定ではありますが、時には相続放棄したことを外部に証明する必要が生じる場合もあります。そのためには、相続放棄証明書が必要です。では、相続放棄証明書とは何なのか、どんな場合に必要になるのかを見てみましょう。
相続放棄証明書とは何か
相続放棄証明書とは、家庭裁判所に申請した相続放棄の申立が正常に受理されたことを証明する内容の書面です。
相続放棄証明書という名称の書面があるわけではなく、相続放棄の事実を法的に証明する書面のことを、包括して相続放棄証明書と呼んでいます。相続放棄証明書として認められているのは、以下の2種類です。
相続放棄申述受理通知書
相続放棄の申立が受理された時に、家庭裁判所から申立人に対して交付されるものです。交付申請などは必要ありませんが、再発行が不可なので保管には注意しましょう。
相続放棄申述受理証明書
読んで字のごとく、相続放棄の申立が受理されたことを証明する書面です。申立が受理された証明という点では、相続放棄申述受理通知書と同等の意義を持つ書面といえます。
ただし、相続放棄証明書として公的機関に認められている書面という点では、相続放棄申述受理証明書の方を相続放棄証明書と呼ぶのが適切でしょう。
相続放棄申述受理通知書と相続放棄証明書の違い
相続放棄申述受理通知書にはない相続放棄申述受理証明書(以下:相続放棄証明書)の特色は、以下の3点です。
1.交付申請と手数料が必要
相続放棄申述受理通知書には、相続放棄証明書の交付申請書が付属しています。相続放棄証明書は自動的に交付されないため、相続放棄証明書の交付を希望する場合は交付手数料を支払って取得しましょう。
2.再発行が可能
相続放棄証明書は、申請すれば何枚でも交付してもらえます。
3.相続放棄した当人以外でも取得可能
相続放棄証明書は、被相続人の債権者や共同相続人などの、いわゆる利害関係人も取得できます。本人以外の人が相続放棄証明書を取得するには、被相続人または相続放棄した人との関係を証明するための書類や、自分の身元を証明できるものが必要です。
もちろん、誰でもその気になれば相続放棄証明書を取得できるというわけではありません。利害関係人以外に相続放棄証明書を取得できるのは、委任状を預かっている弁護士くらいのものでしょう。
相続放棄証明書が必要になる場面とは
相続放棄証明書は、どんな時に必要になるのでしょうか。代表的なのは、次の3つの場面です。
債権者に対して提示する
相続放棄の理由は人それぞれですが、大多数の人は被相続人の債務を理由に相続放棄しています。相続人である間は、被相続人の債務についての弁済責任を負っていることになるため、債権者から督促を受けるとしても仕方のないことです。
しかし、相続放棄をしても、その事実が自然と債権者に知られるわけではないので、「相続放棄したから」と口頭で説明しても督促が止むことはまずありません。
相続人ではなくなったことを法的に証明し、今後一切督促をさせないためには、相続放棄証明書を提示する必要があります。
金融機関に求められる場合
一部の銀行では、被相続人の口座解約や預金引き出しの際に相続放棄証明書の提出を求められる場合があります。共同相続人の相続手続きを円滑に進めるためにも、相続放棄証明書の迅速な提出に協力しましょう。
不動産の相続登記をする場合
共同相続人の中に不動産を相続する人がいれば、相続登記の際に相続放棄証明書の提出が必要です。数ある相続手続きの中でも、相続登記は特に迅速に完了すべき手続きのため、遅れることなく相続放棄証明書を用意しましょう。
相続放棄証明書は取り寄せ可能
相続放棄証明書は、郵送で取り寄せることもできます。以下の必要書類を封入して郵送しましょう。
・相続放棄証明書の交付申請書
・申請者の身元証明書のコピー
・返信用封筒および返信用切手
・交付手数料150円分の収入印紙
相続放棄証明書を複数枚申請する場合は、返信用切手の額面に注意しましょう。裁判所によっては、上記以外の書類が必要になる場合があります。
まとめ
被相続人の財産状況によりますが、相続放棄証明書の出番は意外に多いものです。相続放棄の申立が無事に受理されたら、相続放棄申述受理通知書は自分の控えとして手元に置いておき、関係各所への提出用として相続放棄証明書を数枚取得しておくこともできます。何度も申請する手間がなくなり、共同相続人の手続きもスムーズに進むことでしょう。
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