土地・不動産 2020.12.25
相続不動産の評価方法と節税方法について
不動産を相続する際にとても重要なポイントになるのが、不動産評価です。
不動産評価は相続税申告の有無にかかわらず必要なので、評価方法について知っておく必要があります。
そこで今回は、相続不動産の評価方法の基本的な知識について解説します。
不動産はどのように評価されるのか
不動産の価格というと時価をイメージする人も多いと思います。
例えば、1億円で購入した土地であれば評価額も1億円と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。
相続税申告の際に用いる評価方法は、国税庁が公表している路線価という1㎡あたりの土地の値段に面積をかけて算出します。路線価は実際の売買価格よりも数割低く設定されていることから、1億円で買った土地でも相続税の課税対象となる相続税評価額は低くなるのです。
では、なぜ路線価は時価とは違い低く設定されているのでしょうか。
これには様々な見解がありますが、一般的には納税者から不満が出ないようにするためだといわれています。
例えば、路線価を実勢価格に近い金額に設定すると、土地の所有者から購入価格よりも高いなどのクレームが入る可能性があるからです。実勢価格よりも明らかに低い金額を路線価に設定することで、こういった不満が生じないようにしているといわれています。
相続税評価額の計算方法
不動産のうち土地の相続税評価額の計算方法は次の通りです。
路線価×地積=相続税評価額
また、土地が崖地や旗竿地など利用価値の低いような土地の場合、一定の補正率を加えて評価額を減額することが可能です。
路線価が設定されていない土地については、一定の倍率をかけて算出する倍率方式によって相続税評価額を算出します。
倍率方式で相続税評価額を算出する地域は固定資産税が課税されていないケースがあるため、相続税も課税されないだろうと相続人が油断していることがよくあるため注意が必要です。
なぜなら、固定資産税が課税されない土地でも相続税評価額と倍率方式で計算をすると、相続税はしっかり課税されることがあるからです。現状、固定資産税がかかっていない土地が相続対象だとしても、相続税については当然に非課税とはならないので十分注意しましょう。
不動産相続における節税方法について
現預金の相続については、その金額自体が課税対象となるので節税するためには生前贈与などの方法くらいしかありませんが、不動産相続については運用の仕方による節税方法があります。
もっともオーソドックスな節税方法が、賃貸経営です。
同じ面積の土地でも、更地のまま放置している土地と他人に貸借している場合とでは、相続税評価額が大幅に変わってきます。
更地にアパートを建てた場合、土地の評価額は「貸家建付地」として次の計算式によって相続税評価額を計算します。
貸家建付地の評価額=自用地とした場合の価額×借地権割合×借家権割合
このように自用地として利用している場合と比較すると、アパートを建てて賃貸運用した方が合法的に相続税評価額を引き下げられます。また、アパート経営することで家賃収入も得られるようになるので、投資としても非常に魅力的です。
遺産分割における不動産評価額
相続税を計算する際に相続税評価額を算出することから、遺産分割においても相続税評価額をベースに話し合いをしなければならないかというと、実はそうではありません。
相続税の計算上は公平な課税を担保するためにも、相続税評価額という統一された基準が必要ですが、遺産分割における遺産配分を決める際の不動産の評価額についてはこれに拘束されません。
すなわち、すべての相続人が納得すれば、不動産をどのように評価をして遺産分割の話し合いをしても問題ありません。例えば、実際の購入価格をベースにしてもいいですし、周辺相場を調査して時価を算出してもいいのです。
遺産分割協議は全員が納得すればいいので、相続税申告のように決められた基準はありません。
まとめ
不動産の相続税評価額は路線価を用いて計算するだけなので、そこまで難しいものではありません。ただ、土地が崖地など特殊な土地の場合は補正率の計算などが必要になるので、できるだけ税理士に相談することがおすすめです。
また、更地の場合はアパートを建てて賃貸経営するなどの運用方法を検討することで、同じ土地でも評価額を引き下げて相続税を節税できますので、これから相続税対策を検討するという方は是非参考にしてください。
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