相続放棄 2018.02.05
相続放棄のやり方教えます
現金や価値の高い不動産を相続するのは喜ばしいことですが、そのような財産よりも負債や債務などマイナスの財産の方が多いこともあります。そのまま相続してしまうと自分が負債を背負うことになるので、相続放棄というやり方ですべての財産を相続しないことにする人もいるでしょう。
相続放棄には、注意するべき点や、やり方があります。相続放棄の概要、また相続放棄のルールや具体的なやり方をご紹介します。
相続放棄のやり方とは
相続放棄は、相続に関する3つの選択肢のうちのひとつのやり方です。相続の3つのやり方の選択肢は、具体的には以下のものがあります。
1.単純承認
被相続人の負債や債務も含め、すべての相続財産を無条件で受け継ぐこと
2.限定承認
相続したプラスの財産の範囲内で、被相続人の負債や債務などマイナスの財産を弁済すること
3.相続放棄
被相続人のすべての財産の相続権を放棄すること
相続放棄した人は、相続人ではなくなります。被相続人のすべての遺産が対象となるので、相続放棄する遺産としない遺産を選択するというやり方はありません。
ですからマイナスの財産を負わない代わりに、プラスの財産も一切受け継ぐことができなくなるということになります。
限定承認では相続人全員の同意が必要なのに対し、相続人が複数いたとしても相続放棄は1人で決定することができるやり方です。一旦、相続放棄のやり方で進めると、あとから撤回はできません。
次順位の相続人がいるなら、相続権がその人へ移ることになります。先順位の相続人の相続放棄を次順位の相続人へ知らせてくれるようなシステムはありませんので、次順位の相続人とのトラブルを起こさないやり方をするためには、自分が相続放棄することをその人へ報告しておくことが必要です。
相続放棄の期限に関するルール
相続放棄のやり方としては、原則として「自分のために相続があったことを知った時から3カ月以内」に手続をすることになります。相続開始の起算日となるのは、被相続人が亡くなったこと、それによって自分が相続人となったことを認識した時です。
先順位の相続人が相続放棄したために自分が相続人となった場合は、その事実を認識した時が起算日となります。
3カ月という期間は「熟慮期間」と呼ばれています。相続するか相続放棄するかについての結論を出すための時間として与えられています。
もし3カ月以内に被相続人の財産調査が終わらなかったり、結論が出せなかったりという場合のやり方としては、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長申し立てを行うことができます。そうすればさらに猶予をもらうことができます。
期限を忘れてしまったり、手続しないまま3カ月が経過してしまったりすると、相続(単純承認)したものとされてしまいます。
負債や債務が多くある可能性があるなら、それらを相続してしまわないよう早めに相続放棄の手続を行いましょう。
相続放棄のやり方
相続放棄のやり方としてはまず、家庭裁判所へ必要書類を提出します。
必要書類の内容は、次のようなものです。
1.相続放棄の申述書(家庭裁判所にあります)
2.被相続人の住民票除票または戸籍附票
3.800円分の収入印紙(手数料)
4.予納切手(受理証明書などの返送時などに使う切手)
5.申述人(放棄する人)の戸籍謄本(続柄によって異なります)
※続柄別の申述人の戸籍謄本について
申述人が被相続人の配偶者の場合
1.被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人が被相続人の子またはその代襲者(孫、ひ孫など・第一順位相続人)の場合
1.被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
2.申述人が代襲相続人(孫、ひ孫等)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人が被相続人の父母・祖父母等(直系尊属・第二順位相続人)の場合
1.被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
2.被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している人がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
3.被相続人の直系尊属に死亡している人(相続人より下の代の直系尊属に限る)がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
このようなやり方で書類をそろえて提出したら、数週間後に送られてくる書類に回答します。回答して署名捺印したら返送し、あとは受理されるのを待ちます。
回答に問題がなければ、「相続放棄申述受理通知」という証明書が送られてきます。これで相続放棄手続は完了です。
まとめ
相続人の続柄によっては必要な書類が多くなりますが、相続放棄のやり方は決して難しいものではありません。
ただ、相続放棄をするにあたっては、他の親族への影響を事前に考慮して検討しなければなりません。また、相続放棄をすると適用できなくなる相続税の非課税制度もありますので、そのあたりも含めて慎重に判断しましょう。
相続放棄のやり方のルールをよく理解して、早めに手続を進めることをおすすめします。
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