相続放棄 2018.02.25

相続放棄が法定相続人に与える影響とは?

相続放棄をすれば、借金を相続せずにすみますが、他の法定相続人の借金の負担が増えることがありますから要注意です。ここでは、相続放棄が法定相続人に与える影響について説明します。

記事ライター:ゆらこ行政書士

相続放棄の基礎知識

・相続放棄すれば借金を相続せずに済む

相続放棄とは、法定相続人としての立場を放棄することです。亡くなった人が借金を残している場合、その借金は法定相続分どおりに分割されて各相続人が相続します。ただし、相続放棄をした人は最初から法定相続人ではなかったことになり、借金を相続することもありません。

・相続放棄すれば財産も相続できない

相続放棄には、借金を相続せずに済むというメリットがあります。しかし、相続放棄をすれば法定相続人ではなくなりますから、財産を相続する権利もなくなります。

たとえば、亡くなった人と同居していた相続人も、相続放棄をすれば自宅を相続できず、自宅を出て行かなければならないことがあります。相続放棄は一度すれば撤回できませんから、慎重に検討する必要があります。

・相続放棄には期限がある

相続放棄をするには、家庭裁判所での手続きが必要です。相続放棄の手続きは、相続開始を知った時から3ヶ月という「熟慮期間」中に行わなければなりません。この期間中に何の手続きも行わなければ、それ以降の相続放棄はできなくなります。

熟慮期間中であれば、期間延長の申請もできます。相続財産の調査がすぐに終わらず、相続放棄をすべきかどうかわからない場合には、期間延長の申請をしておくのが安心です。

 

法定相続人と法定相続分の基礎知識

・法定相続人の範囲

法定相続人となれるのは、配偶者と血族の一部の人になります。配偶者は必ず法定相続人になりますが、血族については次のような順位が設けられており、先順位の人がいない場合に後順位の人が法定相続人になります。

第1順位 子(既に亡くなっている場合にはその子や孫が代襲相続)
第2順位 直系尊属(最も親等が近い人)
第3順位 兄弟姉妹(既に亡くなっている場合にはその子が代襲相続)

・法定相続分とは

法定相続分は、民法で定められている相続割合のことです。法定相続分は、相続人の組み合わせによって次のように変わります。

(1) 相続人が配偶者のみ…配偶者が1人で相続財産を全部相続

(2) 相続人が配偶者と子(第1順位)…配偶者2分の1、子2分の1

(3) 相続人が配偶者と直系尊属(第2順位)…配偶者3分の2、直系尊属3分の1

(4) 相続人が配偶者と兄弟姉妹(第3順位)…配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

(5) 相続人が血族相続人(子、直系尊属、兄弟姉妹)のみ…相続人の人数で分割した割合

なお、(2)(4)(5)で相続人の中に代襲相続人が含まれる場合には、代襲相続人は被代襲者の相続分を引き継ぐことになります。

 

相続放棄が法定相続人に与える影響

・相続人の一部の人が相続放棄をした場合には?

法定相続人が配偶者、長男、次男の3人というケースで考えてみましょう。このケースでは、配偶者の相続分は2分の1、長男と次男の相続分はそれぞれ4分の1ですが、相続放棄があった場合には、法定相続人は次のようになります。

ア.長男のみが相続放棄をした場合

法定相続人は配偶者と次男の2人になります。この場合、配偶者の相続分は2分の1のままですが、第1順位の相続人が1人減るため、次男の相続分は2分の1となります。

イ.長男及び次男が相続放棄をした場合

相続放棄では代襲相続は起こらないため、第1順位の相続人がいなくなり、相続資格が第2順位の相続人に移ります。たとえば、亡くなった人の両親のうち母のみが生きていれば、配偶者と母が相続放棄後の法定相続人となり、配偶者の相続分は3分の2、母の相続分は3分の1になります。

第2順位の相続人がいない場合、または第2順位の相続人全員が相続放棄をした場合には、第3順位の相続人に相続資格が移ります。たとえば、亡くなった人に兄が1人いる場合、相続放棄後の法定相続人は配偶者と兄の2人となり、配偶者の相続分は4分の3、兄の相続分は4分の1になります。

第3順位の相続人がいない場合、または第3順位の相続人全員が相続放棄をした場合には、法定相続人は配偶者のみになります。

・相続人全員が相続放棄をした場合には?

上述のとおり、血族相続人については、同順位の相続人全員が相続放棄をすれば、相続資格が後順位の相続人に移ります。配偶者も第3順位までの相続人も全員が相続放棄をした場合には、相続人不存在の状態となり、借金を相続する人がいないことになります。

・相続放棄をする場合には他の相続人にも配慮

相続放棄によって自分は法定相続人でなくなっても、他の相続人の相続分が増えたり、後順位の人が新たに法定相続人になったりすることがあります。亡くなった人が借金を残している場合、相続放棄をするときには、他の法定相続人にも連絡して一緒に相続放棄をしてもらうなどの配慮が必要です。

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