遺産相続・遺産分割 2017.10.02
相続手続支援センターとは?
私たちは生きていく上で「相続」の問題を避けて通ることはできません。
しかし相続には、お金にせよ、土地にせよ、不動産にせよ、とても面倒な手続きがついて回ります。
例えば、一人の人が亡くなると約108もの相続手続きが必要になると言われていますが、大切な家族を失った遺族が、これらの手続きをこなすのは心理的に大きな負担となります。そればかりか相続を巡る関係者同士の争いに巻き込まれてしまうこともあるので、慎重な対処が必要です。
そこで今回は、そんな相続手続きを支援してくれる「相続手続支援センター」についてご紹介したいと思います。
相続手続支援センターとは何をするところ?
相続には様々な期限が設定されており、これを超えると余計な税金や借金を背負ったり、受け取れるはずのお金が受け取れなくなるなどの不利益が発生する可能性が出てきます。
これらの手続きを、専門知識のない個人が滞りなく進めることは不可能と言ってもいいかも知れません。そんな相続に関わる手続きを一手にサポートしてくれる機関が「相続手続支援センター」です。
全国各地に設置されている支援センターでは、相談員が事前調査を行い、それぞれの問題にマッチする専門家を選定し、問題の解決に当たります。また、手続きに関わるスケジュール管理や、相続完了後のアフターサービスなども行ってくれるとのことです。
相続手続支援センターでの相談に必要なもの
相談の具体的な流れですが、まず相談者は「相続税がどれくらいかかるか知りたい」、「遺言書を作成したい」「事業承継について悩んでいる」など、相続に関わることすべてに関する無料相談を受けることができます。
相談は電話ではなく、直接の面談が必要とのことです。また、その際には以下のような資料があるとより具体的なアドバイスが可能になるようですので、参考にしてください。
・土地・家屋固定資産税課税明細書と公図、建図、各階平面図、地積測量図など
・確定申告書一式
・生命保険・損害保険関係の分かるもの
・有価証券の銘柄と株数
・法人税確定申告書および決算書の直近3年分(法人をお持ちの方のみ)
・その他財産に関するもの
・銀行口座の残高証明書
・不動産の権利証(不動産を賃貸している場合は賃貸借契約書)
また、これら以外にも相続財産に関する具体的な資料があれば、まとめて準備しておきましょう。
相談後、「相続人は誰か」、「費用はどのくらいかかるのか」、「相続税を払う必要はあるか」などの事前調査を相談員が行い、見積もりを作成する流れです。
ここで相談者がサービス内容に合意すれば、専門家による実際の手続きに移行し、問題を解決します。なお、相談後の調査にかかった実費は、相談者の負担になりますので注意してください。
相続手続支援センターに依頼するメリット
相続手続支援センターに任せることの利点は「プロに全てを委ねられる」という信頼性や心理的な負担減だけではなく「予算を削減できる」というところにもあります。
あくまでも一例ですが、相続の際に信託銀行などの機関を間に挟んだ場合、「相続財産評価額の1.5~2%程度+最低料金(108万円前後)+専門家費用」の料金がかかるのに対し、相続手続支援センターを窓口にすれば「相続財産評価額の0.5%+専門家費用」のみで済むので、経済的な負担を減らすことができます。
相続手続支援センター以外の相談先について
相続手続支援センターは、無料相談を実施していることもあり、初心者でも比較的相談しやすいように見えます。ただ、すでに遺産分割協議や遺言執行、遺留分減殺請求などで争いが発生している、もしくは、発生しそうな場合については、相続手続支援センターではなく、直接相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。
相続手続支援センター向きなのは、まだ紛争化していない相続案件です。紛争化が明確になっているような場合は、スタンダードな立ち位置の相続手続支援センターよりも、自らの代理人になってくれる弁護士に早く依頼した方が、より早く解決ができるでしょう。相続に強い弁護士であれば、依頼者の代理人となって他の相続人と直接交渉し、遺産分割協議を適切に解決してくれます。
相続には悩みや苦しみがつきものですが、悩んでいるだけで解決する悩みは一つもありません。親身になって悩みを聞き、解決に導いてくれるプロの存在が必要です。「相続手続支援センター」への一本の電話が、その糸口となります。
関連記事
-
遺産相続・遺産分割
-
預貯金は遺産分割の対象?
預貯金を分ける前には遺産分割協議が必要 もともと遺産分割における預貯金は、法定相続分にしたがって分割されるものとされてきました。このため、それぞれの相続人が自らの相続分に基づいて、金融機関に対し遺産分 ...
2020/12/28
-
遺産相続・遺産分割
-
遺産相続争いの種、特別受益と遺留分のトラブル
特別受益の持ち戻しとは? そもそも特別受益とは、被相続人から生前に受けていた贈与のことをいいます。 遺産相続が発生した際、相続人間の不公平感を無くすために被相続人から生前に受けていた贈与分を相続財産に ...
2020/06/25
-
遺産相続・遺産分割
-
遺産相続の際に取得する戸籍謄本について徹底解説
なぜ戸籍謄本が必要になるのか 遺産相続した財産の名義を変更するためには、必ず添付書類として被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本など一式が必要になります。これは、被相続人を中心に誰が相続人なの ...
2020/06/23
-
遺産相続・遺産分割
-
相続とは何か
相続とは? 相続とは、亡くなった人の財産を相続人が引き継ぎ、財産を次世代へ受け継いでいくことです。現金や預貯金、土地や建物などの不動産といったプラスの財産は勿論ですが、借金やローンなどのマイナスの財産 ...
2017/10/02
-
遺産相続・遺産分割
-
生命保険は相続対策になる?
生命保険で相続対策となる仕組み 生命保険がなぜ相続対策になるのかということですが、まず生命保険の支払いを相続財産、つまり被相続人が支払うことにより相続財産を減らすことができます。 相続財産が減るという ...
2017/10/02
-
遺産相続・遺産分割
-
遺産分割に大きく影響する寄与分とは?
被相続人に貢献した人は、「寄与分」という取り分がある?! 遺産分割協議による話し合いにおいては、様々な主張が繰り広げられますが、もめているケースで多いのが、被相続人に対する貢献度にみあった財産を相続さ ...
2017/10/02