遺産相続・遺産分割 2018.01.18
相続財産調査の方法と注意点
相続開始後は、早急に相続財産調査を行って相続財産を確定し、相続手続きにとりかかる必要があります。ここでは相続財産調査の方法や注意点について説明します。
相続財産調査とは
・相続財産調査は相続財産を確定する作業
相続が発生したとき、相続手続きを行う前提としてまず行わなければならないのが、相続人調査と相続財産調査です。
相続人調査とは、相続人を確定する作業です。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍・原戸籍謄本含む)を集め、そこから相続人に該当する人を探していくことで、相続人を確定することができます。
相続財産調査とは、相続財産を確定する作業になります。相続財産としてどのようなものがあるのかを正確に把握しなければ、遺産分割をすることができません。遺産分割をして個々の財産を相続する人を決めなければ相続手続きも進まないことになりますから、相続財産調査は相続開始後に、まずはやらなければならない作業といえます。
・相続財産調査の期限
相続財産調査には、いつまでにしなければならないという期限はありません。しかし、相続財産を確定しなければ後の相続手続きができませんから、相続財産調査は相続開始後できるだけ早い時期に行う必要があります。
なお、被相続人に借金などの負債がある場合、負債もマイナスの財産として相続の対象となります。相続人は相続放棄や限定承認の手続きを行うことで借金の負担を逃れることができますが、これらの手続きには相続開始を知った時から3ヶ月以内という期限が設けられています。相続放棄等の検討のためにも、相続財産調査はできるだけスピーディーに行わなければなりません。
また、相続財産の額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合には、相続開始から10ヶ月以内に相続税の申告をする義務が生じます。相続税の課税対象となるケースでは、10ヶ月以内に相続財産を確定させなければ相続税の申告ができません。相続開始から10ヶ月の期間はあっという間ですから、油断しないように、早めに相続財産調査にとりかかることが大切です。
相続財産調査の方法
・被相続人の自宅を調べる
相続財産調査では、被相続人の自宅を調べることが重要です。自宅を探せば、被相続人がどのような財産を持っていたのかを知る手がかりが見つかります。
預貯金については、通帳やカードのほか、ATMの利用明細や郵送で届く領収証などから存在がわかることがあります。預貯金口座がある金融機関や支店がわかれば、残高証明書を発行してもらうことで、相続開始時点の残高がわかります。また、借金がある場合には毎月口座から返済額が引き落としされていることがありますから、これについてもチェックしておいた方がよいでしょう。
被相続人の自宅に届く郵便物からは、その他に、株式や生命保険などについてもわかることがあります。不動産がある場合には毎年固定資産税の納税通知書が届きますから、これで確認できることもあります。
・役所で調べる
被相続人が不動産を持っているけれど、どこにあるのか正確な場所がわからないという場合、不動産があると思われる場所の市区町村役場(※東京23区内の場合には都税事務所)で固定資産課税台帳(名寄帳)の写しの交付請求をすることで、場所等を特定できる場合があります。名寄帳とはその役所にある所有者ごとの不動産の一覧表になります。
・法務局で調べる
被相続人所有の不動産がわかれば、法務局で登記事項証明書を取得して、その不動産の権利関係がどうなっているかを確認します。たとえば、不動産に設定されている抵当権から借金についてわかることがありますから、登記事項証明書もしっかりチェックしましょう。
・信用情報機関で調べる
被相続人の借金の有無は、信用情報機関の登録情報を調べることでもわかります。信用情報機関には個人の信用情報(ローン・クレジット等の契約内容、返済状況、利用残高などの情報)が登録されており、本人が亡くなっている場合には相続人が情報の開示請求をすることができます。
信用情報機関には、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センターの3社があります。信用情報の開示請求の方法は、各社のホームページで確認できます。
相続財産調査の注意点
相続財産調査は地道な作業で、手間がかかります。面倒だからと相続財産を大まかにしか把握できていないまま相続手続きをしてしまえば、後で新たな相続財産が見つかり、手続きのやり直しが必要になってしまうことがあります。
相続財産調査は、行政書士、司法書士、弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。相続手続きを専門家に依頼すれば、相続人調査や相続財産調査から任せることができます。調査にかかる手間をなくし、スピーディーかつ確実に相続手続きを進めることが可能になります。
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