遺産相続・遺産分割 2018.01.22
相続で取得した資金を預入できる相続定期預金とは?
金融機関で「相続定期預金」という商品が取り扱いされているのをご存じでしょうか?相続で取得した現金や相続財産を売却して得た現金を銀行に預けるなら、金利の高い相続定期預金がお得です。ここでは、相続定期預金とはどのような商品なのか、メリットやデメリットも含めて解説します。
相続定期預金とはどんな商品?
・相続で取得した資金を預入できる定期預金
相続定期預金は、相続により受け取った資金を預入できる定期預金です。相続で取得した現金だけでなく、相続で取得した不動産や株式を売却して得た現金も相続定期預金に預入することができます。
・相続定期預金の金利
定期預金に預入するとなると金利が気になるところですが、相続定期預金の金利は通常の定期預金よりも高金利となっています。通常の定期預金の金利は0.01~0.02%程度ですが、相続定期預金は0.3~0.5%のものが多く、条件によっては1%を超える金利が設定されているものもあるのです。
・相続定期預金の取扱金融機関
相続定期預金は、主に地方銀行、信用金庫、信用組合、JAなどで取り扱いされており、大手都市銀行などでは取り扱いがありません。
・相続定期預金の預入金額
相続定期預金は大口の定期預金で、預入金額も100万円以上となっているところが多くなっています。ただし、金融機関によって多少ばらつきがあり、10万円以上から預入可能なところもあれば、300万円以上でなければ預入できないところなどもあります。上限については、相続で受け取った金額の範囲内であれば、いくらまででも預入ができるところが多くなっています。
・相続定期預金の預入期間
相続定期預金の預入期間は、比較的短期間となっており、3ヶ月、6ヶ月、1年のものが多くなっています。1年を超える長期のものは少なくなっています。
・相続定期預金の金利が高い理由
相続の際には、大きなお金が動くことになります。金融機関では大口の預金を確保したいものですから、通常よりも高い金利を設定して、相続で資金を取得した顧客を集めています。
相続定期預金は新規顧客を誘導する目的のものですから、金利が優遇される期間は短くなっており、満期後はスーパー定期預金などに自動継続される扱いになります。
相続定期預金の預入方法
相続定期預金の預入方法は、細かくは各金融機関で違いますが、預入の際に相続で取得した資金であることがわかる書類が求められる点は共通しています。
たとえば、遺言書、遺産分割協議書、相続手続きを行った金融機関に提出した相続手続き依頼書の写しなどを用意する必要があります。また、相続した不動産を売却した場合には、売買契約書の写し等が必要になります。
なお、相続定期預金を預入する金融機関で相続手続きを行った場合には、既に提出している書類がありますから、相続定期預金預入の際の必要書類は少なくて済みます。
相続定期預金のメリットとデメリット
▼相続定期預金のメリット
・金利が高いのでお得
相続定期預金のいちばんのメリットは、通常の預金商品に比べてかなり高い金利が設定されている点です。超低金利時代といわれる現代ですから、少しでも高い金利の預金に預けられるというのは魅力です。
・すぐに使う予定がない資金を預入できる
相続で資金を受け取ったけれど、すぐに使う予定がないという場合、普通預金に預入してもお金はほとんど増えません。一方、相続定期預金に預入しておけば、普通預金によりも金利分が多少増えることになります。相続定期預金はそもそも短期間しか預入できませんから、使い道の決まっていない資金を預入しておくのにピッタリです。
・相続税の納税準備資金を預入できる
相続税の納税が必要な場合には、まとまった現金を用意する必要があります。相続税の申告・納税は相続開始を知った時から10ヶ月以内に行わなければなりませんから、短期の預入で高金利を享受できる相続定期預金は、相続税の納税準備資金の預入先としてもちょうど良いといえます。
▼相続定期預金のデメリット
・申し込み手続きが面倒
相続定期預金のデメリットとして、申し込み手続きが面倒という点があります。通常の定期預金であればお金を用意するだけでかまいませんが、相続定期預金の場合には提出しなければならない書類が多くなってしまいます。
・預入できる時期が限られている
相続定期預金は、相続手続き完了後1年以内、資金取得後1年以内など、預入できる時期に期限があります。相続で資金を取得した後、何年も経過してから相続定期預金に預入するというわけにはいきません。相続定期預金の利用を考えている場合、相続手続きが終わったら、すぐに預入先を決めて手続きする必要があります。
・金利が優遇される期間が短い
高金利の相続定期預金に預入できるのは、長くても1年程度です。その後、他の金融機関に預け替えするとなると損することがありますから、最初に金融機関をよく検討してから預入する必要があります。
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