遺産相続・遺産分割 2018.01.26
遺産分割協議はどのようにして行う?遺産分割の手順について
親族が亡くなったときには、相続人で遺産を分ける遺産分割の手続きが必要になります。遺産分割は相続人全員による話し合いで行うのが原則となっており、この話し合いのことを遺産分割協議といいます。ここでは、遺産分割協議を行って遺産分割する手順について説明します。
まずは相続人と相続財産の確定
・戸籍謄本を取り寄せて相続人を調べる
相続が開始したら、最初にしなければならないのが相続人確定の作業です。「相続人はこれだけ」と思っていても、被相続人や被相続人の親に隠し子がいて、その人が相続人になるケースもあります。相続人の確定のためには、相続関係がわかる戸籍謄本一式を取り寄せて調べる必要があります。
戸籍謄本は、本籍地の役所で取得できます。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せ、そこから相続人を探っていき、相続人が生前していることがわかる戸籍謄本まで取得します。相続人が確定すれば、相続関係説明図を作っておくとわかりやすいでしょう。
・相続財産調査をして相続財産の内容を調べる
相続財産についても、具体的な内容を調べて確定する必要があります。不動産などは最初からわかっていることが多いですが、被相続人の自宅を探してみると、相続人も知らなかった預金や株式などの財産が出てくることもあります。相続財産が確定したら、誰が見てもわかりやすいように、財産目録を作成しておくとよいでしょう。
遺産分割協議を行う
・遺産分割協議は相続人全員で行う
相続人及び相続財産が確定したら、相続人全員で遺産分割のための話し合い(遺産分割協議)を行います。一部の相続人を除いて行った遺産分割協議は無効となってしまいますから、相続人全員に連絡をとって話し合いをする必要があります。
・全員集合する必要はない
遺産分割協議は、相続人全員が一堂に会して行う必要はありません。どんな形であれ相続人全員の意思が一致すれば、それで話し合いが成立したことになります。電話や手紙のやりとりで意思確認をし、出来上がった遺産分割協議書に署名捺印する形で遺産分割協議が行われることも多くなっています。
・遺産分割協議の期限
遺産分割協議には法律上の期限はありません。ただし、相続税の申告の際に遺産分割が終わっていなければ、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などの特例が使えませんから、申告が必要なケースでは申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月)までに遺産分割協議をした方がよいでしょう。申告期限までに遺産分割ができない場合にも、手続きすることにより3年以内であれば特例を利用できる可能性があります。
遺産分割協議書を作成する
・遺産分割協議書はなぜ必要?
遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議書を作成する必要があります。遺産分割協議書の作成は法律上義務付けられているものではありません。しかし、たとえば「遺産分割協議で自分が預金を相続することに決まった」と主張しても、それを証明する書面がなければ当然ながら金融機関は信用してくれませんから、預金の相続手続きができないことになってしまいます。実際には遺産分割協議書を作成することで、遺産分割協議が成立したといえる状態になります。
・遺産分割協議書の作成方法
遺産分割協議書には決まった書式はありませんので、書籍やインターネットを参照しながら作成しましょう。ただし、遺産分割協議書では相続財産を正確に特定し、誰が相続するのかを明確に記載しておく必要があります。記載が不十分であれば相続手続きができず、遺産分割協議書を作成し直さなければならないこともあります。遺産分割協議書の作成に不安がある場合には、行政書士などの専門家に依頼するのがおすすめです。
・印鑑証明書を添付
遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添付する必要があります。実印を押すことで、本人の意思に間違いがないことの証明になります。
なお、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書は、不動産の相続登記をする際にも添付して提出しますが、この場合には発行から3ヶ月以内という有効期限はありません。一方、金融機関に提出する場合には、3ヶ月や6ヶ月などの印鑑証明書の有効期限が設けられていることがありますから注意しておきましょう。
・遺産分割協議書は1通でよい?
遺産分割協議書は、それぞれの相続手続きに使うことになりますから、1通だけしか作っていなければ不便になることがあります。遺産分割協議書は何通必要かを考えて作成するようにしましょう。
なお、すべての財産について1通の遺産分割協議書にまとめる必要はありません。相続する財産ごとに遺産分割協議書を作り、その財産を相続する人が持っておくという方法もあります。
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