遺産相続・遺産分割 2018.02.14

遺産分割の割合に影響する特別受益とは?

遺産相続の際、被相続人が生前に特定の相続人に対し、財産の贈与や援助を行っていたことが分かる場合があります。被相続人の財産は被相続人のものですから、その使い道に関して相続人が文句を言うことはできません。しかし遺産分割割合を決める際には、このことが問題視される可能性があります。

では、遺産分割の割合に影響する「特別受益」と呼ばれる贈与について、考えていきましょう。

記事ライター:棚田行政書士

遺産分割の割合に影響する「特別受益」とは

被相続人の生前に贈与や援助などを受けており、他の相続人と比べてたくさんの財産をもらっている場合、そのような財産は「特別受益」と呼ばれ、遺産分割の割合に影響します。

特別受益を受けた相続人はそれによって相続分を前渡しされたものと見なされるので、遺産分割割合が変わってくることになります。

例えば、以下のような贈与・援助が特別受益と見なされます。

1.婚姻・養子縁組のための贈与

結婚の際の持参金や支度金として、また高額な嫁入り道具などを被相続人から受け取っている場合には、遺産分割割合に影響する特別受益と見なされる場合があります。

2.生活資金としての贈与

自分だけが留学資金を出してもらった場合や、不動産や自動車などをもらった場合など、他の相続人が受けていない援助を受けている場合も遺産分割割合に影響します。この他にも、単純な生活費の援助や借金の弁済、開業資金やマイホームの購入資金なども遺産分割割合に影響する特別受益です。

3.遺贈

遺贈とは、遺言の執行によって受け取ることになる財産です。「土地は○○(相続人の名前)へ贈る」などの遺言によって財産をもらったなら、これも遺産分割割合に影響する特別受益となります。

 

遺産分割割合に影響する特別受益の概念

相続人が複数いる場合、特定の相続人のみが被相続人と親しかったため、他の相続人よりも多くの援助や贈与を受けているという状況も生じ得ます。

遺産相続において遺言が見つからない場合は、各相続人が受け取る遺産の割合を決める際に、民法で定められている法定相続分が適用される場合があります。

しかし、被相続人の生前に特別な援助を何も受けてこなかった相続人からしてみると、生前にたくさんの財産をもらっている相続人も自分達と同じ割合の相続分をもらうというのは、不公平で納得がいかないと感じるかもしれません。

もちろん、被相続人自身が自分の財産をどのように使おうが誰にいくら分けようが、すべては被相続人の自由な権利です。それでも、特別受益を得ていない相続人の立場としては釈然としないものを感じるのも無理はないでしょう。特別受益を得ていた相続人との関係も悪化してしまうかもしれません。

特別受益という概念はこのように、遺産分割の割合を決める場面においてある相続人が不公平と感じるかもしれない場合、遺産分割の割合を公平なものにし、相続人全員が納得できるようにするための配慮となっています。

特別受益がある場合は、遺産分割協議での割合計算の際に特別受益分を相続財産に加えて相続分を計算します。

最終的に、特別受益を得ていた相続人の相続分からその分を差し引きくことで、公平な割合の遺産分割がなされることになります。遺産分割割合に関するこのような調整を「特別受益の持ち戻し」と呼びます。

特別受益の計算方法は、次のようになります。

(贈与財産+相続開始時の財産)×相続分-贈与・遺贈価額=特別受益を得た人の相続分

 

特別受益が遺産分割割合に影響しないケースとは

このように遺産分割割合に大きく影響する特別受益ですが、場合によっては遺産分割割合に影響しないことがあります。

ひとつのケースとして、遺産分割協議の際に他の相続人が「特別受益の持ち戻しをしなくて良い」という意思を示す場合です。この場合は、特別受益がいくらであったとしても遺産分割割合には影響しません。

または被相続人の遺言で、特別受益の持ち戻しを免除するよう指示があった場合も同様です。遺言は民法その他の法律に反しない限り優先して実現されるものなので、この場合も特別受益の金額に関わらず、遺産分割割合に影響を与えることはありません。

 

まとめ

遺産分割割合に影響する特別受益は、被相続人と特に親しかった相続人に起こりやすいことかもしれません。金額にもよりますが、特別受益について知った他の相続人はおそらく不公平感を感じるでしょう。

他の相続人との仲を悪化させないためにも、遺産分割協議の際に特別受益の持ち戻しを自ら申し出るなどして、遺産分割割合を公平なものにするよう努力することも重要です。

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