遺産相続・遺産分割 2018.02.27

遺産相続における孫の権利とは?孫に遺産を相続させる方法について

将来遺産相続が発生したら、孫に財産の一部や全部を取得させたいと思うこともあるのではないでしょうか?ここでは、遺産相続における孫の権利について説明します。孫に遺産相続させる方法や、その際の注意事項についても知っておきましょう。

記事ライター:ゆらこ行政書士

遺産相続では孫の権利はどうなっている?

・遺産相続で相続人となる人は決まっている

遺産相続が発生したときに相続人となるのは、被相続人の配偶者及び血族の一部の人です。配偶者は必ず相続人になりますが、血族については次の順位にもとづき、相続人となる人が決まります。

第1順位 子

第2順位 直系尊属

第3順位 兄弟姉妹

たとえば、第1順位の子が生きていれば、子が優先的に相続人になり、他の血族は相続人にはなりません。第1順位の子がいない場合には第2順位の直系尊属が相続人になり、子も直系尊属もいない場合には第3順位の兄弟姉妹が相続人になるというルールです。

・代襲相続するケースでは孫の権利がある

遺産相続で相続人が決まる基本的なルールは上述のとおりですが、第1順位と第3順位では代襲相続がある点に注意しておかなければなりません。代襲相続とは、本来相続人となる人が死亡している場合や、欠格・廃除により相続資格を失っている場合に、その下の世代の人が相続資格を引き継ぐことです。

第1順位の子が被相続人より前に死亡している場合、その子の子、すなわち被相続人の孫が存在していれば、代襲相続により子の相続資格を引き継いで、孫が相続人の権利を持ちます。孫が亡くなっていてその下のひ孫が生きている場合には、ひ孫が代襲相続することになります。ちなみに、第3順位では、兄弟姉妹の子、すなわち甥・姪まで代襲相続しますが、その下の世代にまで代襲されることはありません。

遺産相続では、子が死亡するなどしていて代襲相続が発生するケースでは、孫が相続人の権利を持つことになります。言いかえると、子が生きていて相続人となる場合には、孫が遺産相続することは原則としてないということです。

 

遺産相続で孫の権利を確保する方法とは?

・孫を養子にすれば必ず相続人となる

子が生きている場合には、通常、孫は相続人になりません。遺産相続において孫の権利を確保したい場合には、あらかじめ対策をとっておく必要があります。その1つが、孫を養子にする方法です。

養子は、実子と同様第1順位の相続人となり、相続できる割合についても実子と全く同じになります。孫を養子にしておけば、遺産相続の際に孫は必ず相続人となりますから、遺産相続における孫の権利が確保されることになります。

・遺産相続での孫の権利を確保するためには遺言が有効

孫に遺産相続させたい場合には、遺言を書くという方法もあります。基本的に、15歳以上の人は誰でも、遺言を書くことにより、自分の亡くなった後の財産の処分方法を指定することができます。孫は相続人にはならないけれど、孫に財産を譲りたいという場合には、孫に財産を遺贈する旨の遺言を書いておくのが有効です。

 

遺産相続で孫の権利を確保したい場合の注意点は?

・孫の遺産相続は相続税が2割加算になることがある

被相続人が残した財産が基礎控除額を超える場合には、相続税の課税対象となり、相続人や受遺者に相続税がかかることになります。相続税の課税対象となるケースでは、次の(1)~(3)に該当する人以外は、税額が2割加算されるというルールがあります。

(1) 被相続人の1親等の血族

(2) 子の代襲相続人

(3) 配偶者

遺産相続で孫の権利を確保するために孫を養子にした場合、孫は1親等の血族になりますから、(1)に該当し、2割加算の対象にならないように思うかもしれません。しかし、孫を養子にした場合には、例外的に相続税が2割加算される扱いになっています。ただし、養子である孫が同時に代襲相続人になっている場合には、2割加算の対象外となります。

また、孫に遺言を書いて財産を遺贈させる場合にも、孫の相続税は2割加算の対象となります。孫が遺産相続する場合、代襲相続以外では相続税が2割加算になるということです。

・遺言を書くなら相続人の遺留分に注意が必要

遺言を書いて孫に遺産相続させる場合、遺留分を持つ相続人がいれば、遺留分に配慮する必要があります。遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に認められた、最低限の遺産の取り分になります。

もし、孫への遺贈が相続人の遺留分を侵害している場合、遺留分を侵害された相続人は、相続開始後に孫へ遺留分減殺請求をする可能性があります。この場合、孫からその相続人に遺留分を返還しなければなりません。孫と相続人との間にトラブルを招いてしまうことにもなりますから、相続人の遺留分を確保したうえで孫へ遺贈を行った方がよいでしょう。

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