遺産相続・遺産分割 2018.03.11

遺産相続について相談できる相談先

ほとんどの人にとって、遺産相続はなじみのあるものではありません。人生で何度も直面することでもないので、いざ遺産相続の当事者になると、何をどうしたら良いのか戸惑ってしまうかもしれません。

困った時に助力を求められる遺産相続での相談先は、意外にもたくさんあります。ここでは、遺産相続の相談先として検討できる「弁護士」「司法書士」「税理士」「行政書士」などの相談先について解説します。

記事ライター:棚田行政書士

弁護士

弁護士は遺産相続だけでなく、どんな法律問題でも扱うことのできる法律の専門家です。大変心強い遺産相続での相談先となることでしょう。

弁護士は遺産相続の相談先として一般的に知られていますが、特に、遺産相続する相続人同士の仲が険悪である、すでに揉め事が起きてしまいどうにも遺産相続を進められないケースなどでは、弁護士に依頼する他ないでしょう。

遺産相続に限らず、紛争の仲裁は弁護士のみが行える業務です。他の相談先では仲裁はできません。また、相続人の法定代理人を務められるのも弁護士だけです。

法律のスペシャリストである以上は仕方ないことですが、遺産相続の相談先に弁護士を選ぶ場合の依頼費用は、他の相談先と比較して高額です。

もし遺産相続に関して争いが起きておらず、代理人の必要もないなら、弁護士以外の相談先を検討しても良いかもしれません。

 

司法書士

司法書士も、遺産相続の際の相談先として検討できます。司法書士は、法律に関する書類作成や法的な手続きを代行したりします。

司法書士に遺産相続について相談する場合の主な内容は、遺産相続する不動産の登記に関するものでしょう。

その他、遺産相続の相談先として司法書士に依頼できる内容には次のようなものがあります。

遺言書の作成、遺言執行

遺言書は、正しい形式で作成されていなければ無効となったり、効力が弱まったりする場合があります。これから遺言書を作成する段階であれば、遺産相続に関する相談先として司法書士を選択できるでしょう。

効力のある遺言は、遺言者の死後に適正に執行されてこそ存在価値があります。遺言執行者として相談先の司法書士を任命しておくと安心です。

遺産分割協議書の作成

遺産相続では、有効な遺産分割協議書を作成する必要があります。遺産の種類や額が多い場合、相続人の人数が多い場合などにはミスが生じやすいため、司法書士を遺産相続の相談先とすると良いでしょう。

相続放棄の手続き

プラスの遺産よりもマイナスの遺産の方が多い場合などには、相続放棄を選択する場合があります。この手続きも、書類作成や申請までを相談先の司法書士に依頼することができます。

遺産相続に関係する色々な業務を扱える司法書士ですが、司法書士の専門分野は何と言っても登記です。

遺産の中に不動産が含まれる場合や、相続した不動産を売却して現金化することを検討している場合などには、司法書士を遺産相続の相談先に選ぶと良いでしょう。

 

税理士

遺産相続に関係する相談先として、税理士が行うことのできる業務は、主に次のようなものです。

相続財産の評価

遺産相続で相続する財産は、その評価額を算出しなければなりません。株式や不動産など、価値の分かりにくい遺産があると大変ややこしいことになります。

準確定申告

被相続人が亡くなった年の確定申告です。遺産相続する相続人が代行します。

相続税の申告

相続税に関する心配がある場合は、税理士を遺産相続の相談先に選ぶことが多いでしょう。税理士を相談先にするなら、状況に応じて適用できる各種控除や節税のコツなどをアドバイスしてもらえます。

相続税の更正請求・修正申告

申告した相続税に間違いがあれば、後から訂正しなければなりません。この手続きも複雑なため、遺産相続の相談先として税理士に依頼することができます。

相続財産が多く高額の相続税がかかりそうな場合、価格が分かりづらい遺産が多い場合などであれば、税理士を遺産相続の相談先に選ぶことができます。

 

行政書士

行政書士の主な業務は、個人または法人からの依頼により、官公署や行政機関などに提出する書類の作成や提出を代行するというものです。

行政書士の職務範囲は、行政書士法によって次のように定められています。

・官公署に提出する書類作成
・権利義務に関する書類
・事実証明に関する書面
・実地調査に基づく図面類

遺産相続の際には、2番や3番のような業務を代行してもらうことが多くなります。

相続関係説明図の作成や、相続財産目録の作成、遺産分割協議書の作成などにおける相談先として頼ることができます。

行政書士は、これらの書類作成において必要な調査も行うことができます。特に複雑な財産もなく、相続人も少数の場合には、相談先として行政書士を選ぶことができるでしょう。

 

まとめ

遺産相続の時に相談先として検討できる弁護士以外の専門家は、業務範囲の制限の中で活動しています。状況に応じて、ニーズを満たせる遺産相続の相談先を選びましょう。

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