遺産相続・遺産分割 2018.04.10

介護していた相続人は、他の相続人より多く遺産相続できる?

遺産相続を行う相続人の立場や生活環境は様々です。被相続人が亡くなるまでほとんど連絡も取らず疎遠であった相続人もいれば、介護など、被相続人の身の回りの世話を長年献身的に行い、被相続人の力になってきた相続人もいるでしょう。
介護は心身ともに負担になる重労働です。遺産相続の相続人の中に被相続人の介護をしていた人がいたら、遺産相続で通常よりも多めに遺産をもらうことができるのでしょうか?この記事ではこの点を解説します。

記事ライター:棚田行政書士

介護は、遺産相続における「寄与分」に該当する可能性がある

被相続人の介護をしていた人は、遺産相続の際に「寄与分」を考慮されることで、他の相続人よりも多めに遺産相続できる可能性があります。

遺産相続における寄与分とは、遺産相続の相続人の中に、被相続人の財産形成や維持に関わる特別の貢献をした人がいる場合、その人の貢献に報いる意味で他の相続人よりも多い遺産を相続させることで、共同相続人間の公平性を図るための制度です。

遺産相続の寄与分は、遺産相続の相続財産からあらかじめその人の寄与分を控除し、控除後の遺産総額を相続財産のすべてとみなして各相続人の相続分を計算し、貢献した相続人には寄与分を上乗せすることで支払われます。

 

遺産相続における寄与分が認められやすい状況とは

遺産相続が始まる前に被相続人の介護をしていた相続人は、介護していた期間や程度によっては遺産相続で寄与分が認められる可能性があります。

しかし、遺産相続の寄与分は「○○を〇年間行った人」など、はっきりとした要件を満たすことで得られるものではありません。

遺産相続で寄与分が得られるのは「被相続人の財産維持や形成のために特別の貢献をした」人ですが、どのような働きをすれば「特別な貢献」と言えるのかについては、あまり明確な線引きはされていません。

例えば、被相続人の事業のために長年無給で働いてきた相続人や、介護を必要とする被相続人の家のバリアフリー化のための資金を提供した相続人がいた場合には、それによって被相続人の財産が維持・増加されたことは明らかであり、家族として当たり前の範疇の支援ではないため、遺産相続の際に寄与分が認められやすいでしょう。

一方、妻が夫の介護をした、または夫が妻の介護をしたなど、配偶者であれば行って当然と見なされる程度の貢献では、介護していた相続人が遺産相続で寄与分を求めることは難しいとされています。

また、同居している子どもが被相続人の介護を行っていたとしても、やはり当然の範疇と見なされてしまうでしょう。

介護自体は大変だったかもしれませんが、同居することによって子ども自身が家賃や生活費の支払いを少なからず免れている場合が多く、介護による貢献に対する報いはすでに得ているとも言えるからです。

遺産相続で寄与分が認められるかどうかは、「自分が払った犠牲や働きに対応する見返りや報酬を、遺産相続前に得ていないかどうか」で、ある程度は予想することができます。

 

介護をしていた人が寄与分をもらうためには

介護などで特別の貢献をしたと思う人が寄与分をもらうためには、遺産相続における遺産分割協議の場で「自分は特別な犠牲を払って被相続人を介護したので寄与分を認めて欲しい」と自分で主張することが必要です。

他の相続人が、介護していた人の寄与分を求めることも可能ではありますが、介護していた人の寄与分が認められるということは自分の相続分が減ることになるわけなので、それほど積極的に行う人はいないかもしれません。

遺産分割協議では、介護していた人の寄与分を認めるか、介護していた人の寄与分として適正な金額はいくらかなどを相続人同士で話し合って決めます。

遺産分割協議は相続人全員の合意がなければ成立しませんので、介護していた人が自分の寄与分に不服を持つ場合には決裂します。その後は、家庭裁判所で行われる遺産分割調停の場で、再び寄与分の主張を行うことになります。

 

介護による寄与分が認められる人の範囲とは

遺産相続では、相続人ではない人が関与できる場面と、そうでない場面があります。

遺産相続における寄与分は、遺産相続の相続人にしか認められません。そのため、被相続人の婿や嫁が介護などで特別の貢献をしてくれても、その人に寄与分が認められることはありません。

相続人ではない人に感謝の意味で遺産を贈りたいなら、遺言で指定したり、生前に贈与したりしておくことで実現できるでしょう。

 

まとめ

被相続人を介護していた人は、貢献の程度に応じて、遺産相続で他の相続人よりも多い遺産をもらえる寄与分が考慮される可能性があります。

寄与分を他の相続人に認めさせるには、客観的な証拠を残しておく方が良いので、介護日誌など、貢献した内容や期間が分かるものを作成しておくことも有効でしょう。

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