遺産相続・遺産分割 2018.04.14

遺産相続において貯金はどうやって相続するの?

遺産相続で相続人に分割される財産は、被相続人の財産や権利のすべてです。それらの財産は、遺言書の内容や相続人の人数に応じて分割されます。
しかし、つい最近まで、遺産相続で遺産分割協議を経ないでも相続人へ自動的に分割されていた財産があります。それが、被相続人の貯金です。
この記事では、遺産相続の遺産分割対象としての貯金について、遺産相続で貯金を相続した場合の払い戻し方法を解説します。

記事ライター:棚田行政書士

貯金は、遺産相続の遺産分割の対象財産

遺産相続における貯金の分割に関しての基本的な考え方は、平成28年の最高裁大法廷の決定から大きく変わっています。

この決定前は、遺産相続が発生したら被相続人の貯金は相続人の相続分に応じて当然に分割されるとしていました。

しかし、決定後は、普通預金債権・通常貯金債権は遺産相続開始時に当然に分割されるのではなく、他の財産と同様に遺産分割の対象財産とするべきという見解に変わりました。

そのため、従来のように相続人が法定相続分の範囲内で貯金の払い戻し請求をしても、金融機関には断られてしまうことを銘記しておきましょう。

遺言書による指示や遺産分割協議書の提示、または遺産相続の相続人全員の合意がある場合は、被相続人の貯金を払い戻してもらうことは可能になります。

遺産相続で遺産分割の対象となる貯金額は、遺産相続開始時の貯金額をもとにすることになります。葬儀費用などで一部の貯金をすでに引き出している場合は、引き出して実際に使用した分を遺産相続のマイナスの財産として含めます。

 

遺産相続の遺言に従って貯金を相続する場合

遺産相続の時に有効な遺言書があれば、貯金その他の財産は遺言書の内容に従って分けることになります。遺言書によって貯金を相続した相続人が払い戻しを受けるには、次の書類が必要になります。

1.遺言書
2.家庭裁判所の検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の遺言の場合)
3.被相続人の戸籍謄本、または全部事項証明(死亡が確認できるもの)
4.貯金を相続する相続人(遺言執行者がいる場合は遺言執行者)の印鑑証明書
5.遺言執行者の選任審判書謄本(裁判所で遺言執行者が選任されている場合)

なお、貯金がある金融機関によっては、この他の書類を求められる可能性もあります。

 

遺産相続の遺産分割協議で貯金を相続する場合

貯金を含めた遺産相続の遺産分割協議が終了しており、遺産分割協議書を持っているなら、次の書類を金融機関に持参して貯金の払い戻しを受けることができます。

1.遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印があるもの)
2.被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
3.相続人全員の戸籍謄本、または全部事項証明書
4.相続人全員の印鑑証明書

貯金がある金融機関によっては、この他の書類を求められる可能性もあります。

 

家庭裁判所の遺産分割調停・審判によって貯金を相続する場合

遺産相続で、貯金を含む財産の分け方で揉めてしまい、調停や審判でやっと決着が着いて貯金を相続するという場合には、次の書類を持っていきましょう。

1.家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本(審判書上確定表示がない場合は審判確定証明書も必要)
2.貯金を相続する人の印鑑証明書

貯金がある金融機関によっては、この他の書類を求められる可能性もあります。

 

遺産分割協議の前に貯金を払い戻してもらうには

遺産相続の遺産分割協議の前に貯金をすべて引き出しておき、より相続人へ分割しやすい形にしておきたいと思う場合もあるでしょう。

これは遺産を分割するための払い戻しではなく、財産の形態を変える手続きに過ぎないため、金融機関でも応じてもらえます。

遺産相続の遺産分割協議の前に貯金をすべて払い戻してもらうには、次の書類が必要となります。

1.被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
2.相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
3.相続人全員の印鑑証明書

多くの金融機関ではこれらに加え、相続手続依頼書に遺産相続の相続人全員の署名押印をして提出することを求めています。

財産のかたちを変えたいだけとは言え、特定の相続人への払い戻しという事実は変わらないため、金融機関としてもトラブルを避けるために遺産相続の相続人全員の同意の有無を確認しています。

面倒に思うかもしれませんが、協力するようにしましょう。

 

まとめ

遺産相続において、貯金が遺産分割の対象財産とされてからはまだ日も浅く、遺産相続の相続人にとっては戸惑いも多いことでしょう。

遺産相続した相続人に対する貯金の払い戻しの規定は、金融機関によっても違ってきます。相続人としては大変なことですが、辛抱強く柔軟に対応していきましょう。

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