遺産相続・遺産分割 2018.04.16
遺産相続における相続人の優先順位について
相続人として遺産相続に参加できる人については、民法で法定されています。遺産相続の相続人には優先順位が設定されており、自分より優先順位が上の人が存命の場合や、相続放棄をしていない場合は相続人になることはできません。
遺産相続の相続人の優先順位は、被相続人との血縁関係が近いほど優先順位が高くなるように設定されています。今回は遺産相続における相続人の優先順位についてご紹介します。
遺産相続の相続人の優先順位
遺産相続の相続人に付けられている優先順位は、一位から三位までです。
1.第一順位:被相続人の直系卑属
被相続人に子どもがいるなら、子どもが第一順位の相続人です。もし子どもが被相続人より先に死亡している場合は、子どもの子どもである孫が「代襲相続人」となり、第一の優先順位の相続人として遺産相続に参加します。
子どもには、胎児や養子、非嫡出子も含まれます。ただし、死産で生まれた胎児は最初からいなかったものと見なされます。非嫡出子については、被相続人が認知している場合に限って第一順位の相続人となります。
第二順位:被相続人の直系尊属
第一の優先順位の子どもがいない場合は、被相続人の父母や祖父母が第二の優先順位で相続人になります。
父母も祖父母もどちらも存命の場合は、両者のうち、より被相続人に世代が近い父母を優先して遺産相続の相続人とします。
遺産相続において、被相続人の父母と祖父母が一緒に相続人となることはありません。被相続人の父と祖父母が存命であれば、父だけが第二順位の相続人になります。
第三順位:被相続人の兄弟姉妹
被相続人の直系卑属、直系尊属ともにいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が第三の優先順位で相続人となります。
被相続人と片親のみ同じ兄弟(半血兄弟)の場合は、両親を同じくする兄弟の相続分の半分が相続分とされます。
兄弟姉妹が死亡しているものの子どもがいる場合は、その子どもが代襲相続人として遺産相続に参加します。
これら三段階の優先順位は、被相続人の血族に付けられている優先順位です。被相続人の配偶者には優先順位は設定されていませんが、配偶者はどんなケースでも必ず相続人になります。
配偶者の相続分は最も多い割合になることが多く、ある意味、最も優先順位の高い相続人が配偶者と言えるかもしれません。
優先順位に応じて、遺産相続の相続分は変化する
遺産相続における優先順位が高ければ高いほど、相続分の割合も大きくなります。被相続人が遺言で相続分を指定している場合は別ですが、指定がない場合は、次の法定相続分を目安として遺産分割がなされます。
配偶者と第一優先順位の子ども
配偶者:遺産全体の1/2
子ども:遺産全体の1/2 (子どもが複数いれば、1/2を頭割りする)
配偶者と第二優先順位の直系尊属
配偶者:遺産全体の2/3
直系尊属:遺産全体の1/3(直系尊属が複数いれば、1/3を頭割りする)
配偶者と兄弟姉妹
配偶者:遺産全体の3/4
兄弟姉妹:遺産全体の1/4(兄弟姉妹が複数いれば、1/4を頭割りする)
優先順位に応じた相続分割合は、代襲相続人についても同等の割合で与えられます。つまり代襲相続人が何人になろうとも、遺産相続の本来の相続人である親がもらうはずだった相続分を頭割りされることになります。
例えば、被相続人より先に死亡した被相続人の息子の子ども(孫)3人が代襲相続人となる場合、3人の孫それぞれは自分たちの父親の相続分を3等分された財産を取得します。
遺産相続の相続人になれない人とは
遺産相続の相続人は、被相続人との血縁関係や婚姻関係があるかどうかによって定められています。そのため、被相続人から見て次の続柄に当たる人は、遺産相続の相続人にはなれません。
・配偶者の連れ子
・他家の特別養子となっている実子
・義理の父母
・義理の兄弟姉妹
・義理の子ども
・内縁の夫や妻
遺産相続の優先順位が無視されるケース
遺産相続の優先順位や相続分が民法で決められているとは言え、絶対ではありません。
遺産相続の優先順位通りではない親族を指定している、または相続人ではない人に遺産を相続させるよう指示する内容の遺言書がある場合は、遺産相続の法定の優先順位よりも遺言書の内容を優先した遺産相続が行われます。
遺言書が法的に有効なものである限り、原則として民法の規定よりも遺言書の内容を優先した遺産相続が実現されることになります。
もし自分の遺産相続で、相続人になれない人にも財産を分けたいと思う場合は、法的に有効な遺言書を作成して、その旨を記載しておくことで実現できます。
まとめ
遺産相続できる相続人には、一位から三位までの優先順位があります。一般的に見れば、優先順位が高くなるほど被相続人との関係も深いことになります。
もしも、遺言書で優先順位の低い人に財産を渡したい場合は、その理由を記載するなどして、優先順位の高い相続人の気持ちにも配慮しましょう。
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