遺産相続・遺産分割 2018.04.18

遺産分割における同意書とは?

被相続人の遺産を分割して取得するためには、他の相続人が同意しているかを表す「同意書」が必要となる場合があります。
同意書無しでの遺産分割手続きが許されてしまうと、一部の相続人の独断による手続きや、相続人を装った第三者による手続きも可能になってしまう場合があるため、権利を守るためにも、同意書は非常に重要な書類となります。
遺産分割における同意書とは何か、遺産分割において同意書が必要な場面とはどのようなものかについて考えていきましょう。

記事ライター:棚田行政書士

相続人全員の遺産分割に関する同意を表す「同意書」

遺産分割における同意書とは、相続同意書あるいは相続人同意書と呼ばれるものです。相続同意書には遺産相続において、どの相続人がどの遺産を相続するのかが記載されます。

他の相続人の同意があることを証明するため、相続人全員または一部の署名押印がなされます。

直筆による相続人の署名、実印による押印、印鑑証明書の添付があれば、同意書は公的な書類とみなされます。

相続同意書あるいは相続人同意書という名称ではありますが、正式な名称は遺産分割に関する手続きを行う機関によって異なります。

 

遺産分割に関する同意書が必要な場面とは

遺産分割に関連してよく相続同意書の提出が求められる場面は、被相続人の預貯金がある金融機関での払い戻し請求の際です。

金融機関は預金者が死亡したと分かるとその事実を確認し、その人の口座の入出金を停止する「凍結」手続きを行います。

少し前まで、遺産相続が始まった場合、被相続人の預金は相続人の相続分に応じて自動的に分割されると考えられていたため、金融機関は凍結後の各相続人の個別請求にも応じていました。

しかし、預金の遺産分割に関する最高裁判所の見解が大きく変化したため、現在では被相続人の預貯金は遺産分割対象の遺産とみなされており、遺産分割手続きがなされてからでなければ引き出すことはできなくなっています。

預貯金の払い戻しに関する方針は各金融機関によっても異なります。しかし、ほとんどの金融機関では、遺産分割の前に一時的な必要をまかなうためのお金を引き出す場合や、遺言書による預貯金の相続人に対しては、同意書の提出を求めています。

金融機関での相続同意書は「相続手続依頼書」と呼ばれる書類が該当します。書類へ相続人全員の署名押印をし、多くの場合は印鑑証明書を添付して提出することになります。金融機関では、相続同意書の確認が特に慎重になされます。

万が一、相続人ではない人に預金を渡してしまえば、損害賠償責任を負うだけでなく金融機関としての信用も失ってしまうためです。

その他にも、事業許可の必要な事業を承継する場合にも同意書が必要になります。相続認可申請書、相続承継同意書など、提出先によって同意書の名称が異なります。また、自動車や船舶などの名義変更の際にも同意書の提出が必要です。

 

遺産分割協議書と、相続同意書の違いとは

遺産分割協議が成立すると作成される「遺産分割協議書」も、相続人全員の署名押印があるという意味では相続同意書の一種と言えます。遺産分割協議書が相続同意書と異なっている点は、書式や記載されている遺産の範囲です。

遺産分割協議書には、遺産すべてに関する詳細情報と、どの相続人がどの程度相続するのかについて事細かに記載されています。

一方、遺産分割の各種相続同意書は、ある特定の遺産の分割に関する他の相続人の同意を確認するものです。そのため書式もシンプルで、記載内容も遺産分割協議書ほど多くはありません。

 

全員の署名押印が必要な同意書と、一部の相続人の署名押印でよい同意書

遺産分割における相続同意書には、相続人全員で署名押印しなければならないものと、一部の相続人の署名押印だけでよいものがあります。

先ほど取り上げた遺産分割協議書は、相続人全員の署名押印が必要な同意書の代表格です。相続人が一人でも欠けていれば書類として無効であり、遺産分割の諸手続きには利用できません。

一方、一部の相続人が相続分の放棄をし、他の相続人へ自分の相続分を譲る場合に作成する「相続分譲渡証明書」は、相続分を譲る相続人の署名押印さえあれば有効となります。

 

まとめ

遺産分割では、様々な形態の同意書が必要になります。相続人全員の署名押印と印鑑証明書を集めるのは手間と時間のかかることですので、遺産分割は速やかに行いましょう。印鑑証明書については、発行から3カ月以内のものを使用することも忘れずにおきましょう。

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