遺産相続・遺産分割 2017.10.04

孫、甥、姪。もしかして代襲相続人かも。

…夏の暑い日、自動車事故で父と母が亡くなりました。
突然の知らせにわが家は悲しみにくれ、1カ月にも満たぬ間に、2人を追いかけるように祖母もこの世を去っていきました。
残されたのは、父の妹である叔母さん、そして僕です。
僕たちは、祖母の遺産がどのように相続されるのか分からず、通夜に来てくださった、母の友人である弁護士の先生に話を聞いたところ、どうやら僕は「代襲相続人」らしいのです。
「代襲相続人」っていったい何でしょうか。襲名みたいなもの?

記事ライター:今井弁護士事務所

偶然の事情による利益・不利益をできるだけ避けるべし

弁護士の先生のお話は、このようなものでした。

祖父を亡くした祖母には、2人の相続人がいました。 父と、僕の叔母さんです。 父が祖母より長生きしていた場合、父は祖母の相続人として2分の1の遺産を相続し、それを父の死後に僕が相続するはずでした。

ところが、たまたま父が祖母よりも先に死亡するという偶然の事情により、僕はその利益を受けることができなくなったというのです。 でも、別のパターンも話してくれました。 仮に父が長生きして祖母の遺産を相続したとしても、僕が父を相続するまでに父がその遺産を使い果たしてしまって、結局僕には何もいかないかもしれません。だから、僕が祖母の遺産についての利益をもらえるはずだったというのは、ぼんやりとした期待にすぎない、と。 もちろん、僕としては祖母の遺産をもらえた方が嬉しいですが、どちらのパターンもその通りという気がしませんか?

ただ、日本の民法では、今回でいう祖母の遺産を叔母さんが全て相続するというのは必ずしも公平な処理とはいえない、むしろ、父にいくはずだった分が孫である僕にいく方が望ましい、という考えのもと、祖母の遺産について、父が祖母よりも長生きしていた場合に父へいくはずだった分は、父の子であり祖母の孫である僕が相続するというルールを採用しているんだそうです。

これが「代襲相続」と呼ばれるもので、僕は「代襲相続人」にあたるのだと説明されました。

 

どんな場合に「代襲相続」になるの?

「代襲相続」を正確に定義すると、 被相続人の死亡以前に、相続人となるべき子や兄弟姉妹の

①死亡

②相続欠格

③相続廃除

を理由に相続権を失ったとき、その者の直系卑属がその者に代わって、その者の受けるべき相続分を相続すること、だそうです。

今回でいえば、“被相続人”が祖母、“相続人となるべき子”が父、そして父の“直系卑属”が僕で、父の①死亡によって、僕が「代襲相続」します。

“直系卑属”なんて初めて聞きましたが、まず、親族は配偶者を別として、直系親族と傍系親族に分けられ、直系親族とは、祖父母―父母―子―孫などをいい、傍系親族とは、兄弟姉妹やいとこなどをいうのだと教えてもらいました。 そして、親族は、世代によって尊属と卑属とに分けられ、尊属とは、自分よりも前の世代に属する人で、祖父母・父母・叔父叔母をいいます。 他方、卑属とは、自分より後の世代に属する者で、子・孫・甥・姪をいいます。

たしかに、父からすれば、僕は直系親族であり、かつ、卑属なので、僕は父の“直系卑属”にあたることになりますね。

ちなみに、今回は関係ない話ですが、「代襲相続人」となるのは、被相続人(祖母)の、①子の子と②兄弟姉妹の子だそうです。  つまり、祖母にとって僕は孫なので、①のケースなのですが、祖母の兄弟姉妹が亡くなっていて、その兄弟姉妹の方の子がいる場合には、その方も「代襲相続人」にあたりうるということです。

 

養子が絡むとむずかしい

 

僕が父の“直系卑属”にあたるというのは、そこまで難しくなくのみ込めました。

でも、養子が絡むと“直系卑属”にあたるかの判断が難しくなるそうです。

例えば、AさんはBさんを養子とする成年養子縁組をしたけれど(②)、Bさんには縁組前に生まれた子Cさんがいて(①)、縁組後にはDさんが生まれた(③)というケースを考えてみます。養子のBさんが死亡し、その後にAさんが死亡した場合、Cさん、DさんはAさんの遺産についてBさんの相続するはずだった分を代襲相続できるのでしょうか。 養子をいうのを抜きにして考えたら、Aさんが祖母、Bさんが父、という風に置き換えられるので、CさんDさんは僕と同じ立場のような気がします。

だって、Bさんからすれば、CさんDさんは直系親族であり、かつ、卑属なので、Bさんの“直系卑属”ですよね。そうすると、僕と同じように、CさんDさんは「代襲相続人」なのでしょうか。

結論からいうと、Cさんは「代襲相続人」ではなく、「代襲相続人」なのはDさんだけなんだそうです。

どういうことなんでしょう。 弁護士の先生は以下のように説明をしてくれました。

養子であるBさんの、養親であるAさんと、Bさんが養子縁組をした時点での親族であるCさんとは、親族関係に立たないということになって、CさんはAさんの直系卑属ではないということですね。 但し書きというのは例外を定めた規定らしく、このようにきちんと例外にあたらないかについても考えないと、結局だれが「代襲相続人」なのかが分からないですね。

 

結びに

今回ご紹介した「代襲相続人」は、普段あまり聞かない言葉だと思います。

「僕」と全く同じ状況とはいえなくても、この記事を参考にイメージを作っていただければと思います。

法律の仕組みを知って、しっかりと備えておきましょう。

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