相続人・遺留分 2018.01.25

遺留分減殺請求とは?遺言と遺留分の関係を知っておこう

民法では、最低限の相続割合である遺留分が定められています。自分が相続人となっている場合、遺言により遺贈が行われていても、遺留分については取り戻しを行って相続できる可能性があります。ここでは、遺留分を取り戻す「遺留分減殺請求」について説明しますので、遺言と遺留分の関係について理解しておきましょう。

記事ライター:ゆらこ行政書士

遺留分は最低限の相続割合

・遺留分とは

遺留分とは、一部の相続人に確保されている最低限の相続割合のことです。相続人の相続割合は、法定相続分という形で民法に定められていますが、必ず法定相続分どおりに相続しなければならないわけではなく、亡くなった人(被相続人)が遺言を残していれば、遺言を優先して相続が行われるのが原則です。

しかし、被相続人の身近で暮らしていた相続人は相続財産に依存しているのが普通ですから、遺言によって自宅など何も相続できないとなると、生活に支障をきたしてしまうことが考えられます。こうしたことから、相続人のうち、特に被相続人に近い人には、たとえ遺言があっても確実に相続できる遺留分が設けられています。

・遺留分権利者とは

民法上相続人となるのは配偶者及び血族になりますが、血族については次のような優先順位があります。

 

第1順位 子(または代襲相続人)

第2順位 直系尊属

第3順位 兄弟姉妹(または代襲相続人)

 

このうち、遺留分が認められている人(遺留分権利者)は、配偶者及び血族の第1順位と第2順位の相続人になります。第3順位の兄弟姉妹及びその代襲相続人には遺留分は認められていません。

・遺留分の割合

遺留分の具体的な割合は、直系尊属のみが相続人である場合には相続財産の3分の1、それ以外の場合には相続財産の2分の1となっています。これは相続人全員での割合で、各相続人の遺留分はこれに法定相続分を乗じて算出します。なお、配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合には、兄弟姉妹には遺留分がないので、配偶者の遺留分が2分の1となります。

 

遺言で遺留分を無視した遺贈はできない

・遺贈とは

自分が亡くなったときの財産の処分方法は、遺言により指定できます。遺言により財産を処分することを遺贈といいます。遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。包括遺贈とは、目的物を特定するのではなく、財産の割合(例 半分、3分の1、20%など)を指定して遺贈する方法です。これに対し、特定遺贈とは、不動産などの特定の財産を指定して遺贈を行う方法です。

・遺留分を無視した遺贈はできない

民法では、「遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。」(964条)と定められています。遺贈は遺留分を侵害しないように行わなければならず、遺言する人の希望だけで遺留分をとり上げることはできないとされています。

・遺留分を無視した遺言が直ちに無効になるわけではない

遺留分を侵害する遺言を書いても、その遺言が直ちに無効になるわけではありません。遺留分の侵害があっても、侵害された人が何も言わなければ、遺言どおりの遺贈が行われます。一方、遺留分権利者が遺留分を取り戻したいという請求(遺留分減殺請求)を行えば、遺贈された財産のうち遺留分に相当する部分については遺留分権利者に返還しなければなりません。

 

遺留分減殺請求をするには

・遺留分減殺請求の方法

遺贈を受けたことにより遺留分を侵害している人がいる場合、遺留分を侵害された人は、遺留分減殺請求をすることができます。遺留分減殺請求について、民法では特別な方式が定められているわけではありません。相手方に対して遺留分減殺請求をする旨の意思表示が到達すれば、それで遺留分減殺請求を行ったことになります。

といっても、遺留分減殺請求を行った証拠が残っていなければ、「遺留分減殺請求された事実はない」と相手方に言われてしまう可能性があります。そのため、遺留分減殺請求を行うときには、配達証明付きの内容証明郵便を利用するのが安心です。

・遺留分減殺請求の調停や裁判も可能

遺留分減殺請求をしたにもかかわらず、遺贈を受けた人が遺留分を任意に返還しない場合、遺留分権利者は「遺留分減殺による物件返還請求調停(遺留分減殺請求調停)」を申し立て、家庭裁判所で話し合いを行って返還してもらう方法があります。

なお、遺留分減殺請求については、必ず調停を経なければならないわけではなく、いきなり遺留分減殺請求訴訟を提起して裁判で解決を図ることも可能です。

・遺留分減殺請求の時効

遺留分減殺請求は、いつまででもできるわけではありません。遺留分減殺請求権は、「相続開始及び減殺すべき遺贈があったことを知ったときから1年」もしくは「相続開始から10年」のうちいずれか早く到来する方で時効となります。

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