相続人・遺留分 2018.02.15
相続人がいない場合どうなる?
相続人が行方不明なために相続人がいない場合
相続人である血族の行方が分からないために相続人がいない場合は、その相続人が行方不明となっている期間によって必要な手続きが異なります。相続人がいない期間が7年未満か、7年以上かで、次のように違いが出てきます。
1.行方不明の期間が7年未満の場合
この場合は家庭裁判所へ、いない相続人の財産管理人の選任申立てを行います。
必要書類は、以下のものです。
・不在者財産管理人の選任申立て書
・行方不明者および申立人の戸籍謄本
・不在者財産管理人候補者の戸籍謄本および住民票
・不在の事実を証明する資料
・遺産分割協議書案など
場合によっては、これよりも多くの書類が必要になることがあります。
不在者財産管理人の選任申立てが出来るのは、行方不明の相続人の配偶者や他の相続人、被相続人の債権者などの利害関係者などです。いない相続人の財産管理人(不在者財産管理人)の候補になれるのは、被相続人の親族など、いない相続人と利害関係にない人です。
親族などの中に適任な人がいない場合は、家庭裁判所が弁護士などの第三者を不在者財産管理人として選任します。不在者財産管理人が決まったら、いない相続人の代わりに遺産分割を行う権限を得るために「権限外行為許可」の申立てを行うことも必要です。
2.行方不明の期間が7年以上の場合
相続人がいない期間が7年以上であるなら、家庭裁判所へ「失踪宣告」を申し立てます。この場合は、いない相続人は死亡したものと見なして遺産分割協議を行うことができるようになります。
ただし、いない相続人に子どもがいた場合は、その子どもが遺産分割協議に参加することになります。7年以上いない相続人であっても死亡したことにはしたくない場合は、失踪宣告ではなく不在者財産管理人の選任を選ぶこともできます。
相続人となり得る血族がいない、または相続人全員が相続放棄した場合など
相続人となるような家族がいない場合や、相続人がいても全員が相続放棄してしまうと相続人はいないことになります。この場合は、遺産を管理する人を選任するため、家庭裁判所へ「相続財産管理人の選任申立て」を行います。
相続人がいない遺産は、最終的には国に帰属する資産となります。しかしその前に、本当に相続人がいないのかどうか、また相続人ではないとしても遺産を分けてもらうに値する人(特別縁故者)はいないのかどうかが調査されます。
1年以上の時間をかけて以下のような手続きを行い、それでも相続人が見つからない場合は「相続人不存在」が確定します。
1.相続財産管理人の選任申立て
被相続人の債権者や受遺者など、利害関係者が相続財産管理人の選任申立てを行います。相続財産管理人が選任されたことは公告されます。相続人を捜索する第1段階です。
2.債権申し出の催告
相続人および債権者がいる場合は名乗り出るよう催告がなされます。相続人を捜索する第2段階です。
3.相続人捜索の公告
2回の公告でも相続人が現れない場合、3回目の公告がされます。相続人捜索はここからさらに6カ月を費やして行われ、それでも相続人が見つからない場合には、相続人不存在が確定します。
相続人不存在が確定した後は、相続人や債権者が現れてもすべて無効とされます。相続人不存在確定後には、特別縁故者が財産分与を請求できます。
特別縁故者とは、被相続人と生計をともにして長年家族同然に生活していた内縁の配偶者や養子や友人、また被相続人の療養看護に努めた婿や嫁など、相続人ではないものの被相続人と特別な関係にあった人です。
財産分与を希望する特別縁故者は、相続人不存在が確定した後3カ月以内に被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ請求します。分与請求を認めるかどうか、遺産のうちいくらを分与するかは家庭裁判所の審判によって決定されます。
相続人がいない場合のまとめ
相続人がいない場合は、いない理由に応じた対処が必要です。もし相続人不存在になりそうな場合は、生前に遺書を作成しておくことで遺産の行方をコントロールすることができます。
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