相続人・遺留分 2018.02.18

相続人が兄弟の場合の相続分と注意点

被相続人の遺産は、その相続人の間で均等に配分されます。多くのケースでは、被相続人の配偶者と子どもなどが相続人となります。しかしまれに、子どもや父母などがおらず、被相続人の兄弟姉妹が相続人となることがあります。

兄弟姉妹の場合、相続において他の相続人と大きく異なる点が出てきます。この記事では、相続人が兄弟姉妹である場合には相続分はどうなるのか、何に注意すべきなのかを解説します。

記事ライター:棚田行政書士

相続人が兄弟姉妹になるケース

相続には、法定の順位があります。

第一順位は、被相続人の子どももしくは孫です。
第二順位は、被相続人の父母や祖父母といった、直系尊属です。
そして、第三順位が被相続人の兄弟姉妹です。

それぞれの順位の相続人は、同時に相続人となることはありません。例えば、子どもと父母が同時に相続人になることはありません。しかしどのケースでも、配偶者は常に相続人となります。配偶者と子ども、配偶者と父母といった組み合わせになります。

下位の順位の相続人は、上位の順位の相続人がいない場合に相続人となります。つまり、第二順位の父母・祖父母は、第一順位の子どもがいない場合でなければ相続人にはなりません。

兄弟姉妹は第三順位ですから、被相続人の子どもも直系尊属もいない場合に相続人となります。相続人がいない状態とは、元々存在しないことや死亡していること、また相続放棄していることを指します。

 

相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合の相続分とは

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合は、配偶者が遺産総額のうち3/4を、兄弟姉妹が1/4を相続分とします。兄弟姉妹の人数が複数の場合は、1/4を兄弟姉妹の人数で割ります。両親を同じくしていない異父・異母兄弟姉妹などが相続人となる場合は、両親を同じくする兄弟姉妹の相続分のうちの1/2が相続分となります。

・相続人が兄弟姉妹のみの場合の相続分

ごくまれに、配偶者も子どもも父母も祖父母もおらず、兄弟姉妹のみが法定相続人となる場合があります。この場合は、遺産の総額を兄弟姉妹の人数で割ったものが各相続人の相続分となります。兄弟姉妹が2人なら半分ずつ、3人なら3分の1ずつが相続分です。

 

相続人である兄弟姉妹が死亡している場合、再代襲相続はできない

相続人である兄弟姉妹が被相続人よりも先に死亡している場合には、代襲相続が可能です。兄弟姉妹の場合の代襲相続は、その子ども(被相続人から見た甥か姪)のみが代襲相続人となることができます。

兄弟姉妹の子どもが養子である場合も、被代襲者である兄弟姉妹が亡くなる前に養子縁組を結んでいる場合には、被相続人の甥や姪として代襲相続人となることができます。

被相続人の子どもや孫などの直系卑属であれば、何代でも下へ繰り下げて代襲相続できるという「再代襲相続」という制度がありますが、兄弟姉妹の場合は一代限りです。甥や姪の子どもが再代襲することはできません。

民法改正以前には、相続人が兄弟姉妹の場合でも再代襲相続が認められていました。しかしそれでは、被相続人と血のつながりの薄い甥や姪またその子どもに被相続人の財産が渡ってしまうこととなります。

それほど親しくない親族の遺産が転がり込むというのは、相続人にとっては非常に都合の良いこととなってしまいます。そのような相続人を生まないようにという意味でも、現在では兄弟姉妹の再代襲相続に制限が課されています。

兄弟姉妹の代襲相続人となった甥や姪も、相続分は被代襲者と同様です。代襲相続人が複数の場合は、被代襲者の相続分を人数で割ります。

 

兄弟姉妹には、遺留分がない

相続には、遺留分という制度があります。被相続人がどのような遺言を残したにせよ、どのような生前贈与を行ってきたにせよ、遺族が最低限受け取ることができると保護されている相続分のことです。

遺留分を保証されているのは、被相続人の配偶者と子ども、父母や祖父母など直系尊属のみです。兄弟姉妹が相続人となる場合は、どんなに被相続人と親しかったとしても遺留分の保証はありません。

ですから遺産がどんなに少なかったとしても、生前贈与を受けている人から取り戻すことはできません。当然、相続人である兄弟姉妹の代襲相続人となる甥や姪にも、遺留分はありません。

 

まとめ

兄弟姉妹が相続人となるケースは、配偶者と一緒に相続する場合か、兄弟姉妹のみが相続人となる場合です。兄弟姉妹には遺留分がないこと、また再代襲相続はできないという点に注意して、遺産分割をしましょう。

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