相続人・遺留分 2018.02.22

遺留分とは何か

遺産相続では、遺言があれば遺言通りの仕方で遺産が分割されます。しかし、遺言の通りに遺産を分割してしまうと、ほとんどあるいは全く遺産を受け取れない相続人が出てくる場合もあります。

被相続人の意思とは言え、遺産をすべて他人へ贈るなど、極端な内容の遺言が遺される可能性もあります。このような場合に相続人の権利を守る働きをするのが、遺留分です。遺留分とは何か、遺留分とは誰が持つ権利なのかについて、詳しく解説します。

記事ライター:棚田行政書士

遺留分とは

遺留分とは、民法で定められている法定相続人の権利です。法定相続人の権利としての遺留分とは「どんなに少なくとも遺産のうち、これだけは相続できる」と保証されている分を意味しています。

遺留分とは、遺言によっても侵害することのできない権利です。例えば遺言で、「遺産はすべて○○(愛人)へ」など、家族以外の人に全財産を贈るなどとされてしまうと、遺された家族のその後の生活が破綻してしまうことでしょう。遺留分とは、このような事態を防ぐために設けられた法令と言えます。

民法で定められているところによる遺留分とは、次のようなものです。

民法第1028条「遺留分」
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、左の額を受ける。

1.直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の三分の一
2.その他の場合には、被相続人の財産の二分の一

この条文に従って考えると、遺留分とは、法定相続人が誰か、またどのような組み合わせの法定相続人となるかによって違ってくるということが分かります。

 

法定相続人と、その組み合わせによる遺留分とは

では、一般的に考えられる法定相続人と、その組み合わせによる遺留分の割合を見てみましょう。

6つのケースで考えます。

1.配偶者のみが法定相続人である場合の遺留分とは?

この場合の遺留分とは、遺産全体の2分の1です。配偶者のみが法定相続人なら、最低でも遺産の半分を受け取ることができるということになります。

2.配偶者と子どもが法定相続人の場合の遺留分とは?

この場合の遺留分とは、配偶者が遺産全体の4分の1を、子どもが4分の1となります。子どもが複数人いる場合は、4分の1を人数で均等に割ります。

3.配偶者と父母が法定相続人の場合の遺留分とは?

この場合の遺留分とは、配偶者が遺産全体の6分の2を、父母が6分の1となります。父母が2人とも法定相続人として存在している場合は、6分の1を2で割った分が父母それぞれの相続分です。

4.配偶者と兄弟姉妹が法定相続人の場合の遺留分とは?

この場合の遺留分とは、配偶者が遺産全体の2分の1を相続します。兄弟姉妹の遺留分はありません。これについては後ほど詳しく解説します。

5.子どもだけが法定相続人である場合の遺留分とは?

この場合の遺留分とは、遺産全体の2分の1です。子どもが複数人いる場合は、人数で均等に割ります。

6.父母のみが法定相続人である場合の遺留分とは?

この場合の遺留分とは、遺産全体の3分の1です。父母のみの場合に限り、遺産全体に占める遺留分の割合は半分以下になります。

 

兄弟姉妹の遺留分とは

被相続人の兄弟姉妹も、法定相続人になる場合があります。しかし前述の通り、兄弟姉妹には遺留分が用意されていません。これはなぜなのでしょうか?

兄弟姉妹に遺留分がない理由は、遺留分という制度の趣旨にあるとされています。遺留分とは、被相続人の財産形成または維持のための貢献に対する報いや、被相続人が亡くなった後に遺される遺族の生活保障という考えを基盤としています。

普通、被相続人の配偶者や子どもは被相続人と長年一緒に生活し、財産を築くために様々な面で協力します。父母や祖父母といった直系尊属も、被相続人を養育したり教育を受けさせたりと、被相続人の財産形成に大きく貢献するのが一般的でしょう。

しかし兄弟姉妹の場合、成人すれば生活を別にし、それぞれの家庭を持つのが一般的です。つまり、被相続人の財産形成へ大きく貢献することも考えにくく、被相続人の死亡が自分の生活に及ぼす影響も少ないと考えられます。

そのため、兄弟姉妹には遺留分がないのです。たとえ兄弟姉妹が被相続人と同居し、生計をともにしていたとしても遺留分はありません。

 

まとめ

遺留分とは、兄弟姉妹を除く相続人が最低限受け取ることのできる取り分のことです。遺留分にも満たない遺産しかもらえない場合は、遺留分を返してもらうために遺留分減殺請求を行いましょう。

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