相続人・遺留分 2018.02.02

相続における遺留分は兄弟姉妹には認められない

遺留分とは、相続の際に一定の相続人が必ず取得できることが民法上保障されている相続財産の割合のことで、遺言によっても奪うことができないとされているものです。ここでは、遺留分と兄弟姉妹の関係について説明します。兄弟姉妹は他の相続人とは立場が少し違うことを理解しておきましょう。

記事ライター:ゆらこ行政書士

遺留分は誰にどれだけ認められている?

・遺留分がある相続人

遺留分は、すべての相続人に認められているわけではありません。相続人になれる人は亡くなった人の配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹になりますが、このうち遺留分が認められている相続人(遺留分権利者)は、配偶者、子、直系尊属になります。兄弟姉妹には遺留分はありません。

なお、代襲相続人については、被代襲者の遺留分を引き継ぎます。すなわち、子の代襲相続人には遺留分がありますが、兄弟姉妹の代襲相続人には遺留分はありません。

・遺留分の割合

遺留分について、民法では直系尊属のみが相続人である場合には被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合には被相続人の財産の2分の1と定められています。これは遺留分権利者全員で持つ遺留分の割合になります。この遺留分を、兄弟姉妹を除く相続人(=遺留分権利者)が法定相続分に応じて分ける形になりますから、各相続人の遺留分は次のようになります。

(1) 相続人が配偶者と子の場合…配偶者4分の1、子4分の1

(2) 相続人が配偶者と直系尊属の場合…配偶者3分の1、直系尊属6分の1

(3) 相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合…配偶者2分の1、兄弟姉妹は遺留分なし

(4) 相続人が配偶者のみの場合…配偶者2分の1

(5) 相続人が子のみの場合…子2分の1

(6) 相続人が直系尊属のみの場合…直系尊属3分の1

(7) 相続人が兄弟姉妹のみの場合…兄弟姉妹は遺留分なし

・遺留分は侵害されたときに取り戻すことができる

遺言により遺留分が侵害された場合に、遺留分権利者は何もしなくても遺留分を確保できるわけではありません。遺留分を取り戻すためには、現実に遺留分を侵害している人(受遺者など)に対して、遺留分減殺請求という取り戻しの請求を行う必要があります。遺留分減殺請求をしないまま一定期間が経過すれば、遺言通りの相続が確定してしまうことになります。

 

遺留分が兄弟姉妹に認められていない理由とは?

・残された家族の生活保障のために遺留分がある

たとえば遺言で全財産を親族以外の第三者に遺贈することも可能であるとすると、亡くなった人の家族が財産を全く相続できないケースが出てきます。亡くなった人の家族は、通常、亡くなった人の財産に依存している度合いが高いですから、何も相続できなければ直ちに生活が困窮してしまうことも考えられます。

遺留分には、残された家族の生活を保障するという意味があります。特に、配偶者や子供は亡くなった人と同居しているケースも多いですから、遺留分として確保できる割合も大きくなっています。

・兄弟姉妹が亡くなった人の財産に依存しているケースは少ない

相続人の中でも兄弟姉妹は、亡くなった人からみて比較的遠い関係になります。大人になれば兄弟姉妹が同居しているケースも少なく、亡くなった人の財産を相続できないことにより生活が困窮してしまうこともあまりないと考えられます。兄弟姉妹に遺留分が認められていないのは、このような理由からです。

 

遺留分のない兄弟姉妹に相続させない方法は?

・遺言書を作成するなら遺留分に注意

将来の相続トラブルを予防するために、遺言書を作成しておくという方法があります。遺言書を作成すれば、相続人全員で遺産分割協議を行って遺産分けをする必要がなくなりますから、相続開始後に争いになるのを防ぐ効果があります。

ただし、遺言書を作成するときには、遺留分に気を付けなければなりません。遺言書で財産を特定の人に遺贈したい場合でも、それ以外に遺留分を持っている相続人がいれば、遺留分を確保しておく必要があります。遺留分を無視して遺言書を作成してしまうと、遺留分減殺請求をされ、かえってトラブルになることがあります。

・遺言書を書けば兄弟姉妹に相続させずにすむ

遺言書を作成するときに頭を悩ませる遺留分ですが、兄弟姉妹が相続人になる場合には関係がありません。兄弟姉妹が相続人になるケースで、兄弟姉妹以外に財産を残したい場合には、遺言書が効力を発揮します。

たとえば、子供がいない夫婦の場合には、配偶者と兄弟姉妹が相続人になるケースも多くなります。この場合、配偶者に全財産を相続させる旨の遺言を書いても、兄弟姉妹には遺留分がありませんから、遺留分減殺請求をされる心配はありません。もし遺言書を書いていなければ、配偶者と兄弟姉妹との間で相続開始後に争いが生じることがありますから、遺言書を書いておく必要性が高いといえます。

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