相続人・遺留分 2018.03.07

遺産相続で相続人が一人っ子の場合はどうなる?

遺産相続では、配偶者以外の相続人の相続分は人数で均等に割ることで分割されます。配偶者と子ども3人での遺産相続なら、子どもの相続分は3等分されなければなりません。しかし、子どもが一人っ子の場合、遺産相続を分割する必要はなくなります。

遺産相続でしばしば骨肉の争いが起きるのがこの遺産分割の場面であることもあり、一人っ子の遺産相続の方がスムーズに進むので有利なのではないかと思われがちです。

ここでは、一人っ子が相続人として遺産相続する際の相続分や、一人っ子であることのデメリットや留意すべき点などについて解説していきます。


記事ライター:棚田行政書士

一人っ子であることを確認する

一人っ子の遺産相続では、まず「本当に一人っ子なのか」を確認する必要があります。そんなことをわざわざ確認しなくても、子どもは自分しかいないのだから一人っ子に決まっていると断定することはできません。

被相続人が男性である場合は特にそうですが、家庭の外で誕生した子どもがいるかもしれません。もし認知している場合は、その子も子どもとして遺産相続の相続人となりますから、事実上一人っ子ではないことになります。

被相続人が女性であっても、前の結婚の時にもうけた子どもがいるなどのケースでは、その子どもも遺産相続において相続人のひとりとなります。

また、家族に内緒で養子縁組をしているというケースも少なくありません。正式な養子縁組がなされている以上は、養子も実の子と変わらない立場で遺産相続をすることになります。ですから、この場合も一人っ子ではなくなります。

家族の知らない養子や隠し子など、まるでドラマのような話だ、と感じるかもしれませんが、一般の人でもそれほど珍しいことではないのが現実です。遺産相続では一人っ子のはずと決めつけないで、まずは相続人の範囲を調査しましょう。

 

遺産相続の相続人を調査する

遺産相続できる相続人の調査は、遺産相続の最初の段階です。調査の方法は、被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍や除籍、改製原戸籍を集めて確認するというものです。

このためにはまず、被相続人の本籍のある市役所などで、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本を取得します。相続人の調査の際には戸籍にある情報すべてを閲覧する必要がありますから、必ず謄本を取得するようにします。

死亡記載のある戸籍謄本を取得したら、その戸籍謄本のひとつ前の戸籍を取得します。そして、さらにひとつ前へとさかのぼっていき、被相続人の出生の記載のある戸籍謄本を取得するまで地道に戸籍をたぐりよせていきます。

出生の記載がある戸籍謄本までの確認し、子どもが他におらず、確かに一人っ子であることを確認したら、遺産相続できる相続人の調査は終了です。

戸籍をさかのぼらなければならない理由は、婚姻や転籍によって戸籍が新しくなっていくだけでなく、何度か大規模な改製(作り直し)がされているためです。改製原戸籍とは、改製前の戸籍を言います。

最近では、年号が平成に変わったことで行われたコンピューター化の際の改製、その前は昭和32年の改製があります。確定した相続人の関係は、相続関係説明図という簡単な図にして保管しておきましょう。

 

一人っ子の相続分と控除額

一人っ子が遺産相続の相続人となる場合、たいていは被相続人の配偶者も一緒に遺産相続することでしょう。この場合、遺産全体の半分を配偶者が、もう半分を一人っ子の子どもが相続します。

一人っ子なら頭数で分割する必要がないので、半分をまるまる遺産相続できるということになります。もし配偶者がいない場合には、遺産すべてを一人っ子の子どもが遺産相続できます。

遺産を分割する必要がないため遺産相続の争いは起こりにくくなりますが、一人っ子であることで若干のデメリットも生まれます。

相続税や生命保険金の非課税枠には、相続人の人数に応じた控除額が設定されています。一人っ子の場合は必然的にこの控除額が低くなってしまうため、遺産相続した財産に対して課税される可能性が高くなります。

 

未婚・子無しで亡くなる一人っ子の遺産相続

日本では、男女ともに生涯未婚率が年々上昇しています。もし一人っ子である人が生涯未婚で子どもを持たずに亡くなった場合、その人の遺産相続では相続人がいなくなる可能性があります。

相続人のいない財産は最終的には国のものとなります。もし一人っ子の人が未婚・子無しで生きていこうとする場合には、遺言書を作成するなどして、自分の死後の財産の行く末を自分の意思で決めることも検討すると良いでしょう。

 

まとめ

遺産相続において子どもが一人っ子であることには、兄弟間の遺産相続争いが起きにくいことや、遺産分割が簡単であるなどの利点があります。

ただし相続人の人数が少ない分、控除額も少なくなります。一人っ子であることが有利か不利かは、一概には言えませんが、少なくとも相続人の調査については先入観を除いて徹底して行うようにしましょう。

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