相続人・遺留分 2018.03.17

遺産相続で重要な相続人を確定させる手順

遺産相続では、被相続人の家族などが相続人となって相続を行います。

家族としては被相続人の人生を知っていると思っていても、結婚関係外に子どもがいたり養子縁組を結んでいたりと、相続人となるべき存在が他所にいることが分かるケースも珍しくありません。
相続人の範囲を確定することは、遺産相続の手続きを一度で終了させ、余計な手間を増やさないために非常に重要です。

記事ライター:棚田行政書士

相続人の範囲を確定させることはなぜ重要?

遺産相続で特に慎重になるべきなのが、遺産を各相続人へ分割するための「遺産分割協議」という段階です。しかし、相続人の範囲が確定できていないと、この遺産分割協議を行うことができません。そのため、相続人の確定は重要な段階と言えます。

被相続人の家族や親族は全員把握しているはずなのに、確定させるための調査などする必要があるのかと疑問に思う方もおられるかもしれません。

結論から言うと、どんな場合でも思い込みは捨て、相続人の確定作業を行う必要があります。

相続人の確定のためには、被相続人の戸籍を追跡調査します。被相続人は前にも結婚して子どもをもうけていたり、婚外子を認知していたりするかもしれず、それは戸籍を見なければ分からないことだからです。

相続人が確定できていない状態で遺産分割協議を行うと、その後で相続人の漏れが発覚した場合、遺産分割協議はすべて一からやり直さなくてはならなくなります。これは非常に面倒なことになりますので、必ず相続人の確定作業を行いましょう。

 

相続人を確定する方法

では、相続人を確定する手続きの方法をご紹介しましょう。先ほども述べたように相続人の範囲を確定するためには、被相続人の戸籍をたどって調査をする必要があります。

被相続人の戸籍を出生時から死亡時まですべて集め、確かに他の相続人がいないと確定できれば、そこで初めて相続人が確定することになります。

まず、被相続人の最後の本籍地で戸籍謄本・除籍謄本を取得します。次に、そこに記載されている情報をもとにひとつ前の戸籍・除籍、または改製原戸籍を取得します。

この作業を地道に繰り返していき、被相続人の出生の記載がある戸籍を取得したら、戸籍集めは完了します。あとは戸籍の内容を熟読し、自分たちが知らない子どもや養子、血族がいないかを調査してやっと相続人が確定します。

戸籍では、婚姻や転籍、戸籍の改製などによって戸籍が新しく編製される時に、すでに除籍されている構成員は省かれることになります。そのため戸籍をずっとたどって調査しないと、正しい相続人を確定することができないのです。

被相続人の最後の本籍地や戸籍のある市区町村が遠方の場合は、郵送でも戸籍を請求することができます。

ただし、戸籍を請求できるのは、原則として被相続人の戸籍の構成員、または直系の親族などに限られています。第三者が請求する場合には、委任状が必要になります。

 

相続人が確定したら「相続関係説明図」の作成を

無事に相続人の範囲が確定したら、その内容を「相続関係説明図」という図にしておきましょう。これは、確定した相続人が誰で、被相続人とどのような関係にある人かを図の形にしてまとめた書類です。

相続関係説明図は必ず作成しなければならない書類ではありませんが、これがあれば相続手続きの際に戸籍謄本を返還してもらえたり、第三者への説明が容易であったりと、色々とメリットがあります。

相続関係説明図のタイトルは、被相続人の名前と「相続関係説明図」などとしましょう。その下に、被相続人の住所氏名、死亡の年月日を記載します。

次に、確定した相続人を続柄別に分けて記載します。夫婦は二重線でつなぎ、そこから伸びる線の先にはその夫婦の子どもを記載します。

遺産分割協議が終了したら、確定した相続人の名前の横に、遺産相続における状態を記載すると良いでしょう。

例えば、何らかの遺産を相続する人の名前の横には「相続」、相続放棄した人がいるなら「相続放棄」、遺産分割協議の結果、遺産を相続しないことが確定した人には「遺産分割」などと記載します。

 

まとめ

被相続人の死亡当時の家族が知らない被相続人の血族がいる可能性があるため、相続人の確定は非常に重要な作業です。確定した調査結果を記す相続関係説明図は、第三者から見て分かりやすいかどうかもポイントです。

相続人同士の関係が複雑で作成に自信がない場合には、司法書士や弁護士などに作成を依頼してしまうのも良いでしょう。

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