相続人・遺留分 2018.05.29

相続人としての権利を回復する相続回復請求権とは?

相続人が行使できる権利として、相続回復請求権があります。相続回復請求権は、相続人としての権利を回復するためのものになります。ここでは、相続回復請求権について説明します。相続人としての権利が侵害された場合に備えて、回復する方法を知っておきましょう。

記事ライター:ゆらこ行政書士

相続回復請求権とは?

民法に規定されている相続人の権利

「相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様とする」(884条)という規定があります。ここでいう「相続回復の請求権」が相続回復請求権と呼ばれる権利になります。

相続回復請求権については民法884条に時効が記載されているのみで、それ以上の詳しい説明がありません。そのため、相続回復請求権がどのような権利かについては、解釈や判例によって定められています。

真正相続人が表見相続人に請求

相続回復請求権は、相続人が相続する権利を侵害されたときに、それを取り戻す権利と考えられています。相続する権利をもつ本当の相続人(真正相続人)は、相続する権利がないにもかかわらず相続財産を占有している第三者(表見相続人)に対して、相続回復請求権を行使して相続財産の自己への回復を請求できることになります。

 

相続回復請求権が行使される場合の当事者

相続回復請求権を行使できる人

相続回復請求権を行使できるのは、真正相続人になります。相続人でなくても、包括受遺者、遺言執行者、相続財産管理人などは、相続回復請求権を行使できるとされています。

一方、相続人から売買や贈与などによって相続財産の譲渡を受けた人(特定承継人)は、相続回復請求権を行使できません。ただし、特定承継人は自らの所有権にもとづいて、表見相続人に返還請求や妨害排除請求を行う権利があります。

相続回復請求権を行使する相手

相続回復請求権を行使する相手は、表見相続人になります。表見相続人とは、真正相続人でないのに、自らが相続人であると称して相続する権利を主張し、真正相続人の権利を侵害している人になります。

表見相続人となるのは、相続欠格や相続廃除によって相続する権利を失っている人、無効な養子縁組届や婚姻届により養子や配偶者となったため、相続する権利がない人などが多いといえます。

これらの人は、そもそも相続する権利がないため、相続人であるかのごとく相続財産を占有していれば、表見相続人になります。

他の共同相続人に対する相続回復請求権

相続回復請求権は、共同相続人のうちの1人または数人が、相続財産のうち自己の本来の相続持分を超える部分を占有している場合にも請求できるものとされています。

たとえば、相続した不動産は、本来、遺産分割をするまでは相続人全員の共有です。遺産分割が終わっていないのに、共同相続人のうちの1人が自分だけが相続したように不動産を占有していれば、他の共同相続人は相続する権利を侵害されたことになります。

このような場合には、不動産を占有している相続人に対して、他の共同相続人は相続回復請求権を行使して、相続財産を取り戻すことができます。

ただし、この場合の相続回復請求権の相手方となる共同相続人は、善意・無過失(他の共同相続人の相続する権利を侵害していることを知らないか、知らないことに過失がないこと)である必要があるとされています。

なぜならば、悪意(他の相続人の相続する権利を侵害していることを知っていること)の共同相続人に対しては、相続回復請求権を行使するのではなく、遺産分割を行うことで解決できるからです。

 

相続回復請求権の時効

権利行使できる期間

相続回復請求権については、権利行使できる期間が限定されています。民法884条では、相続回復請求権は、5年間権利行使しなければ、時効消滅する旨が定められています。

時効の起算点は、単に相続開始を知ったときではなく、自らが真正相続人であること及び相続から除外されていることを知ったときになります。

また、相続する権利を侵害されていることを知らなかった場合でも、相続開始から20年が経過した後は、相続回復請求権を行使できないとされています。

時効を援用できる人

時効を援用できる人、すなわち、相続回復請求権が時効になっているということを主張できる人は表見相続人のみになります。表見相続人から財産を取得した人(第三取得者)は、消滅時効を援用できないとされています。

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