相続人・遺留分 2018.06.02

相続開始後に相続人が行う税務上の手続きについて

相続が起こったとき、相続人はやらなければならない手続きがたくさんあります。相続手続きの中で特に注意しておかなければならないのが、税務上の手続きです。税務上の手続きには、期限が設けられていますから、期限に遅れないようにすることが必須になります。ここでは、相続開始後に相続人が行う税務上の手続きについて説明します。

記事ライター:ゆらこ行政書士

亡くなった人の相続人は税務上の手続きが必要な場合がある

相続人が行う相続手続きには期限があるものも存在する

家族など、身近な親族が亡くなった場合、自分が相続人になって財産を引き継ぐことがあります。相続人になった場合には、様々な相続手続きを行わなければなりません。

相続手続きの中には期限が決まっているものもあります。そのため、うっかり期限に遅れないように、相続手続きにとりかかる前には、いつまでに何をしなければならないかを事前に確認しておくことが大切です。

相続人が税務上の手続きを行わなければならないケースもある

相続人が行う相続手続きの中には、税務上の手続きもあります。税務上の手続きというのは期限が決まっています。

期限までに申告や納税を行わなければ、延滞税などのペナルティが課せられることになりますので、相続人になったなら、税務上の手続きが必要かどうかは、特に入念にチェックしておく必要があります。

 

相続人が準確定申告の手続きを行う必要があるケース

準確定申告とは

相続人が行う税務手続きの1つとして、準確定申告があります。準確定申告とは、亡くなった人の所得税の申告になります。確定申告が必要な納税者が亡くなった場合には、相続人がかわりに準確定申告の手続きを行う必要があります。

準確定申告の手続きが必要なケース

サラリーマンの場合、所得税については勤務先で年末調整を受けるのが通常です。サラリーマンが亡くなると、亡くなった年の所得税については年末調整が行われますから、準確定申告の手続きは不要であるケースが多くなります。

準確定申告の手続きが必要になるのは、被相続人が次のような人である場合になります。

①事業所得・不動産所得・譲渡所得がある人
②2か所以上から給与の支給を受けている人
③給与収入の金額が2,000万円を超えている人
④給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円を超えている人
⑤満期保険金を受け取った人

準確定申告の方法

準確定申告の手続きでは、相続人が2人以上いる場合、各相続人が連署による1つの書面で申告書を提出する必要があります。

共同で準確定申告の手続きができない事情がある場合には、各相続人が個別に申告書を提出することもできますが、他の相続人に申告内容を通知しなければならないことになっています。

準確定申告の期限

被相続人の相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から起算して4か月を経過した日の前日までに、被相続人の所得税の準確定申告書を提出しなければなりません。

被相続人が消費税の課税事業者の場合

被相続人が消費税の課税事業者であった場合には、消費税についても所得税と同様の準確定申告の手続きが必要になります。

 

相続人が相続税の申告の手続きを行う必要があるケース

相続税の申告とは

相続や遺贈により財産を取得した人には、国税である相続税が課税されます。相続税は申告納税方式となっており、納税者である相続人自らが税額を計算したうえで税務署に申告し、納税する必要があります。

相続税の課税対象になるケース

相続財産が少ない場合には、相続税は課税されません。相続税の課税対象となるのは、相続財産の額が、次の計算式で算出される「基礎控除額」を超える場合になります。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税の申告期限

被相続人の相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告書を提出して、相続税の申告手続きを行わなければなりません。

遺産分割が終わっていなくても申告手続きが必要

相続人が複数いる場合には、遺産分割により遺産を分ける必要があります。相続税の申告期限は10か月と短くなっているため、申告期限までに遺産分割の手続きが終わっていないこともあると思います。

遺産分割が終わっていない場合にも、10か月の申告期限までに、相続税の申告を行わなければなりません。遺産分割が終わっていない場合には、法定相続人が法定相続分どおり相続したものと仮定して相続税を計算し、申告を行うことになります。

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