相続人・遺留分 2018.06.04
親の相続人になったなら知っておきたいこと
自分の親が亡くなり、相続人となった場合には、注意しなければならないことがたくさんあります。ここでは、親の相続人になったときに知っておきたいことについてまとめています。
親が亡くなれば子は相続人になる
子は第1順位の相続人
人が亡くなったとき、相続人になる人の範囲と優先順位は、民法に規定されています。配偶者以外では、子が第1順位の相続人となっています。親が亡くなったら、子は必ず相続人となります。
親子の関係というのは切れるものではありませんから、長い間会っていない親でも、相続の際にはかかわらなければならないことになります。
子の相続分は皆平等
親が亡くなったとき、子が複数いる場合には、全員が相続人になります。長男が多く相続できるというようなことはなく、兄弟は皆平等に親の財産を相続する権利があります。亡くなった親に実子のほか養子がいる場合には、養子も実子と同様の相続権をもちます。
親が認知しただけの子(非嫡出子)がいるケースもあると思います。親の非嫡出子も相続人となります。平成25年の民法改正により、現在は非嫡出子の相続分は嫡出子と同等となっています。
相続人全員で遺産分割協議を行う必要がある
遺産分割協議とは?
相続人が複数いる場合には、相続開始と同時に遺産を相続人全員で共有することになります。具体的な遺産分けは、相続人全員の話し合いによって行う必要があり、相続人全員で行う遺産分けの話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。
親の遺産分割協議では兄弟全員に連絡をとる必要がある
親の相続の場合には、生きていればもう一方の親と、子である兄弟全員が相続人になります。一部の相続人を除いて遺産分割協議を行っても無効になってしまうため、遺産分割協議を行う際には、親の相続人全員に連絡をとる必要があります。
兄弟の連絡先がわからない場合には?
大人になると、兄弟といっても疎遠になっているケースもあります。親の前婚の際の子や親が認知しただけの子などは、兄弟と言っても、連絡先も知らないケースもあるでしょう。
遺産分割協議を行う前提として、相続人全員の連絡先をつきとめる必要があります。自分ではどうしようもない場合には、弁護士に相続人調査を依頼し、代理人として他の相続人に連絡をとってもらいましょう。
親の相続手続きをする際のその他の注意点
親が借金をしていれば相続放棄を検討
親が借金を残して亡くなった場合、何も手続きしなければ、相続人が借金を相続することになります。借金の相続を逃れるためには、相続放棄の手続きをする必要があります。
ただし、相続放棄をすれば最初から相続人ではなかったことになるため、親の財産も相続できなくなってしまいます。親の残した自宅を相続したい場合などは、他の方法を検討した方が無難です。
相続放棄をする場合には、相続開始を知ったときから3か月以内に、家庭裁判所で相続放棄の申述の手続きをしなければなりません。何もしないまま期限を過ぎてしまうと、それ以降相続放棄ができなくなり、相続人として親の借金を引き継いでしまうことになるため、十分注意が必要です。
先代の相続手続きをしなければならない場合がある
亡くなった父親が残した自宅不動産の相続登記をしようとしたら、先代である祖父の名義のままになっていたということもよくあります。親の相続手続きをする前提として、先代から親への相続手続きをしなければならないケースもみられます。
先代の相続手続きをする場合には、先代の相続人全員も含めて遺産分割協議を行わなければなりません。複数の相続が関係してくる場合には、相続登記の手続きが複雑になるため、司法書士に依頼するのが安心です。
相続税が課税されるケースがある
親の残した財産が、相続税の基礎控除額を超える場合には、相続税の課税対象となります。相続税の基礎控除額は、次の式で計算します。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
相続税が課税される場合には、相続開始を知ったときから10ヶ月以内に相続税の申告を行う必要があります。申告期限に遅れると、延滞税などのペナルティが課されてしまいます。
遺言により相続できなくなった場合には遺留分減殺請求ができる
相続では遺言が優先するため、親が自分以外の兄弟にだけに財産を相続させる遺言を残していれば、自分は財産を相続できません。遺言により財産を相続できなくなった場合でも、子には遺留分という最低限の取り分があるため、財産の取り戻しができます。
子が財産の取り戻しをするには、相続開始を知ったときから1年以内に遺留分減殺請求を行う必要があります。ただし、相続開始から10年を経過した場合には、遺留分減殺請求はできなくなってしまいます。
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